遺伝病note案内
このnoteは誰で無料で読むことが出来る。なぜこのnoteを書くのかというと、私としてはnoteを始めるにあたって遺伝病についてそれなりに力をいれて記事を書いてきたのに、私のタイトルのつけ方が悪かったのか、読者諸氏の需要にそんなに合ってないのか想定より全然読まれていないので、是非とも今回の機会に遺伝病noteが三作あることを知ってもらいたいと思う。
1. 遺伝病とは
ちなみに遺伝病、より正確には遺伝性疾患とはそもそも何であろうか。ちなみに遺伝子とは何かについては、以下の無料noteで説明している。要は遺伝子とは、人間を形成する上での道具やパーツを作る設計図である。
遺伝性疾患の説明は以下の日本医学会連合のページにある。
以上の通りで、要は受精卵のレベルで既に重要遺伝子に変異が入っていて、出生後に深刻な異常が生じる疾患を遺伝性疾患と呼ぶ。
それでは各遺伝性疾患を説明するnoteを紹介していきたいと思う。
2. ダウン症、ハンチントン病、早老症
こちらのnoteでは、ダウン症とハンチントン病、そしてハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(早老症)の三つの遺伝病について紹介している。
ダウン症は最もよく知られた遺伝性疾患であり、ヒトの染色体では最小と言われる21番染色体が、健常者では二本有しているが、ダウン症患者は三本有していることにより生じる。21番染色体にはタンパク質をコードする遺伝子が最新のデータベースによると215個存在しているが、こちらの発現量が1.5倍になってしまうことにより多面的な異常が生じる疾患である。具体的にどのような異常が生じるのかや、なぜ余分の21番染色体を得てしまうのか、どのように治療をしようと試みているのかなどは上のnoteで説明している。
ハンチントン病は、大脳中心部にある神経細胞が変性・脱落することにより進行性の不随意運動、認知力低下の症状が現れる遺伝性疾患であり、特に35-44歳で発症しやすいと言われる。治療法は現時点では存在しないが、なぜまだ存在しないのか、詳細ではどういう異常が起きているのかなどについては上のnoteに書かれている。こちらの記事では実際にどういう症状が起きるのかの動画も見ることができるようにしている。
ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群は早老症として有名で、平均寿命は13歳である。記事の方ではどの遺伝子に変異が入り、どのような異常が起きるのか、またどこが異常が起きていないのか(こちらも重要)についても説明し、また早老症患者一人であったサム・バーン氏の生前の講演動画も見られるようにしている。
3. 魚鱗癬、トリーチャーコリンズ症候群、サイクロピア
本稿では魚鱗癬とトリーチャーコリンズ症候群、そしてサイクロピアを紹介し、また最後の方の章では妖怪伝承と異形の形質を示す遺伝性疾患の関係性について考えたことを書いてる。
魚鱗癬は皮膚のバリア機能が障害され、胎児の時から皮膚の表面の角層が非常に厚くなる病気であり、出生前のエコーなどでは特に異常がみあたらないが、出生した際には健常の赤ん坊と一見全く異なる外見なことから大変なショックを周囲に与えうる疾患である。いかなる遺伝子の異常が起きているのかなどの詳細はこちらの記事で説明している。
トリーチャーコリンズ症候群は、顔面形態の不調和が特徴的な症状として見られる疾患である。本稿では実際の遺伝子異常がどうなっているのかを説明するとともに、実際の本症候群の患者の動画などが見られるようにしてある。実はそれほど珍しい遺伝性疾患ではないと言われている。
サイクロピアは一つ目になってしまう遺伝性疾患であり、人間の場合は基本的に致死性であるが、本疾患に類似した形質は他の動物などでもみられることがある、本稿ではそれなりに詳細にどういった遺伝子の異常や機構で一つ目になりうるのかなども説明している。
それにしてもサイクロピアを見れば一つ目小僧や西洋の神話に出てくるサイクロプスなどを想像するのはそれほど不自然でもない。異形になりうる遺伝性疾患はそれはそれで様々な創作物が誕生するもとになってのではないかと推測したので、遺伝病と民間伝承の関わりについて後半で記述している。
4. ウィリアムズ症候群、色素性乾皮症、小人症
本稿ではウィリアムズ症候群、色素性乾皮症、小人症(ドワーフィズム)の三つを紹介している。
ウィリアムズ症候群とはエルフのような妖精様の容貌になることと、人見知りがあまりない性格になるとても変わった遺伝性疾患である(知的障害などの複数の異常も併発している)。本疾患は2本持っている7番染色体の片方に微細な部分に異常が生じてしまい、20個の遺伝子群の欠損が起きることによって生じている。こちらの章では遺伝子や遺伝病に関する研究についての手法の説明もしている。
色素性乾皮症は日の光を浴びると激しい日焼けの反応が生じ、皮膚がんになる確率も健常者の数千倍も高くなってしまう疾患であり、患者はUVから身を守れる宇宙服のように特殊なスーツを着て外出することを余儀なくされてしまう。この遺伝性疾患のメカニズムの研究は大いに分子生物学への貢献となった。そのあたりも本稿では説明している。
小人症(dwarfism)は顕著な低身長を示す病態のこと指し、英語をみるとドワーフィズムと読めるが、言うまでもなくドワーフ(dwarf)から来ている。本症候群は様々な要因が考えられると言われているが、いくつかは原因遺伝子が特定され、また原因メカニズムの理解が進んでいるものもあり、多少の治療法(改善法)が見つかりつつあるものもあり、そのあたりの詳細を本稿では紹介している。
5. おわりに
本稿では三つのnoteについて紹介し、その内訳としては9種類の遺伝病について解説をしていた。遺伝病は基本的に治療手段がない疾患が多く深刻なものが多い。例えるならば最初から重要な部品が破損しているか、もしくは最初から歯車が抜けているような機械のような状況であるために、昔であれば新生児や子供のうちに生涯を終えるケースが多かったのは言うまでもない。しかしながら科学や医学の進歩はいくつかのケースについてはかなり治療・改善を図ることが実現でき、比較的長く生きることが出来るようにもなってきた。そして遺伝病を研究することは、人間の構造を理解することに大きくつながるところがあり、大いに生物学および医学を進歩させてきた。
ある病気についてその原因を明らかにすることはできても、それを改善させることは完全に別問題でより困難な挑戦となる場合が多い。また多少の改善に成功してもあくまで延命であって、遠からずお迎えが来ることは不可避である場合も多い。しかし人間は必ず死ぬ生物であり、これは遺伝性疾患に限った話でもないが、数か月や1年の延命であっても、その”作った時間”により家族や重要な人々と最後の時間を作ることがしっかりできたならば、こういった研究・治療は大変価値があり、意義に満ち溢れていると考えている。
ではこんなところで本稿は終えようと思っているが、ぜひ遺伝病のnoteについても読者諸氏には興味をもってもらいたいところである。