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澄んだ余裕のあるオトナになろう

 2020年の手帳を決めた。今までのヨガ手帳から変わって来年は神崎恵さんのスケジュール帳を選んだ。以前待ち合わせまでに時間があるときに読んだ「世界でいちばん美しいのは誰?」という神崎さんの本。人は見た目がすべてじゃないとは思うけど、見た目以外がすべてじゃないのも真実だと考えている自分にはとても良い刺激になった本だった。特に女のパーツでもひとつ整えると印象が変わることや色の使い方、気持ちの持ちようなど、なんだか「憧れの大人」への道が見えたような気がした。挙式前ということもあって、綺麗でいることは一緒にいる人たちへのマナーだ、とプレッシャーに感じるほどだった。だからこそこの本に救われた部分もあった。

 読み終わって最初に26cmのヘアアイロンを買った。ストレートアイロンしか持っていなかったのだ。その当時ミディアムくらいの髪だった自分にはちょうどいい、と思い立った。難しいテクニックは自信がないけれど、ヘアアイロンは櫛くらいの感覚で使いこなせるようになったら自分が変わるかもしれない。そう思えた。(現在奮闘中)一度髪を伸ばして、いろいろアレンジができるように精進しようと思う。女子力がちょっとだけ上がった気がした。

 そのあと着手したのは、日焼け止めの徹底だった。あらゆる老化の原因は紫外線と言われるほど防ぐべきものだと認識はあったものの、生来のアトピー肌で日常使いにちょうどいい日やけ止めを決めきれずいつも中途半端だった。いいものはそれなりのお値段もするし…と甘んじていることもあった。あとからシミ取りの治療をするよりは最初からきちんと防ごう。そう思いお化粧の工程を1つ増やした。

 そして座り仕事でむくみがある私はお風呂上りにストレッチ兼マッサージを徹底するようになった。指で足をつまんだり流したり、かっさでなぞったり、着圧ソックスを履いてみたり。きちんとそのあとには常温のお水を飲んで流す。丁寧にやればやるほど翌朝の軽さも違うから、といつしか毎日すべきルーティンになった。

 挙式が近くなり、少しでも節約をしなければ!と始めたお弁当作り。春頃からは主人の分も作るようになった。お弁当箱に入れるサイズの作り置きを常に4品程度キープするのはなかなか。通勤時間は1時間、主人の方が朝ゆっくりで夜早く帰ってくるのに、なんで私が…と余裕なくイライラすることも多かった。しんどいというと「しんどいしんどい言われてまで作ったもの食べたくないわ」と言われたりする。そして落ち込むし腹も立つ。でも帰ったらきちんと朝干した洗濯を取り込まなければいけないし、お弁当も作らなければいけないし、しっかりストレッチもしなければいけない。お化粧もきちんと落とさなければいけない。周りの人に迷惑をかけてしまうからいつも綺麗でいようと心掛けなければいけない。気づけば仕事のストレスも家に持ち込むようになった。でも大人なんだから愚痴ばかり言ってはいけない。迷惑をかけてはいけない。家では積極的に主人の仕事の愚痴を聞き、いい嫁でなければいけない。『~しなければいけない』がどんどん増えて、逃げ場がなくなった。家族にも仕事にもすべてにいい顔をしなければならない気がして。自分の時間はどこにあるのか見失ってしまった。だんだん「顔が疲れてるよ」とか「目の焦点が合ってないよ」と主人が心配をし始めた。それでも私は、そんな心配をかけるようなダメな嫁であってはいけない。そう思わせてしまう自分が未熟なんだ、と落ち込んだ。誰かに愚痴を言いたいときがあっても角が立つのは迷惑をかけそうでできなかった。

 ふと、何もかも許してくれる人はいるのか?と考えたことがあった。答えはすぐに出た。そんな人は誰にもいないと思った。誰もがつらい時に話を聞いてもらえるわけじゃないし、それぞれにいろんなものを背負って抱えて生きていると思う。自分だけがしんどいわけじゃない。一方で、それは絶対に大変!と思える生活を軽やかに過ごしている方もいる。そういう方は周りまで柔らかくしていく雰囲気がある。これだ。その違いがきっと自分に足りていない部分なんだろう、と腑に落ちた。そんな憧れの女性の1人が神崎恵さんだった。

 素敵でいよう。きちんと自分なりの折り合いを見つけて柔らかくしなやかで澄んだ女性になろう。それを来年の目標にしようと、スケジュール帳を手に取った。自分が濁らないような生き方を探す1年となるように、今からここに記しておこうと思う。

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