DALF C2受験雑記など
早いもので、駐在(帯同)開始から1年以上、DELF B2受験からちょうど1年が経過しました。
前回の更新から今までに、
・パリオリンピック/パラリンピックのボランティア参加
・第一志望の大学院合格
・DALF C2受験
・アパルトマンの配管故障(現在進行形)
など、さまざまなことが起こりました。
配管の故障以外は、いずれも記事にして残したいと思うのですが、今日は取り急ぎ、DALF C2の受験雑感を忘れないうちに書き残しておこうと思いキーを叩いています。
DALF C2とは?
DALF C2はフランス国民教育省が認定するフランス語資格のうち、最上級のものである。C2に求められる能力は以下のとおり。
試験の内容は、
筆記試験(読解・文書作成/CPE <Comprehénsion et production écrites>)
試験時間:3時間30分
試験内容 :3つの文書(計2000語程度)と付属資料(図表、グラフ、風刺画など)を基に、最低700語で記事、エッセイ、オープンレターなどを執筆する。
数多の過去の受験者の先輩たちがブログで述べているとおり、700語はあっという間に紙が埋まる(回答用紙は4ページしかないので本当にギリギリ)し、3時間半では文法や言い回しを気にする余裕もなく、とにかく書き上げるので精一杯である。
口頭表現試験(聴解・口頭表現/CPO<Comprehénsion et production orales>)
試験時間:計2時間(音源聞き取り30分⇒準備60分⇒本番30分)
試験の流れ:
①15分程度の音源を2回聴き取る
②60分で③の準備をする
③試験官の前で以下の口頭表現試験。
・音源のCompte Rendu(約5~10分)
・与えられたSujetに沿ってMonologue Suivi(約10分)
・試験官とのDébat(約10分)
CPOはとにかく、最初の音源聞き取りが苦行である。15分ぶっ通し×2回、集中力を切らさずメモを取るのは大変で、かつ固有名詞や人の名前を聞き逃したときの絶望感は半端ではない。相当な集中力と聴解力を求められる内容で、今まで受けてきた仏検1級よりも英検1級よりもTOEFLよりも辛かった。
CPE・CPO共通でC1以下のレベルと大きく違うのは、C1まで別々に評価されていた4技能(CO・PO・CE・PE)が2分野に集約されることであり、Comprehénsionの技能がProductionの成果物の中で評価される。
そのため、求められる成果物がC1に比べてかなりヘビーになる(例:C1のPE⇒250語前後でエッセイ+220語前後でサンテーズ/C2⇒700語以上の成果物)。
※余談だが、CPE/CPOともにテーマを選ぶことは不可能。
そのため、運も点数を左右する要素たり得る。
CPOは会場によっては選択肢が存在することもあるらしいが……?
3度の受験と答案開示に至るまで
さて今回、はじめて答案と採点用紙を開示したため、そこまでの受験の流れと開示してみての感想を書き連ねたい。
前回記事のC1合格の勢いのまま、最短で申し込める3月受験にダメ元で申し込み、まあダメな点数で不合格。
※3月には大学院の書類審査もあったので、今考えれば全く正気の沙汰ではない。
そのまま大学院に落ちた時に備えるため、6月受験に申し込んだが、結果として6月上旬に第一志望の大学院に合格したため、必死になれず不合格。
そして最短で申し込める8月受験に申し込んだが、直前までオリンピックのボランティアで疲弊しており満足な対策はできず、かつCPOで苦手な分野のSujetを引いてしまい……結果は不明(執筆時点では結果未到着)だが手ごたえは微妙。
1年間、市民講座+独学でフランス語の勉強をしてきたものの、C2レベルになるとインターネットで見つかるB2・C1の良質な教材たちが嘘のように消え失せ、有料の対策講座も見つけられず(パリ市民講座ではDELFまでしかなく、日本人会でもDALF C1までしかない)この数か月間は本当に道標も松明もない夜道をさまよっているようだった。
答案と採点用紙を見てみよう!
そんな中で二度も不合格を食らえば、一度は使ってみたかったシステムがある。答案と採点用紙の開示だ。
日本の試験センターは不明だが、ルーアンでは試験から半年以内に事務局に依頼すれば、合否にかかわらず答案を開示することができる。
今回受験前日に時間があったので、3月・6月分を開示してみた。
CPEについて
答案に赤入れなどはされておらず、採点表しか見えなかった中での感想。
①採点官によって点の付け方の甘さ(辛さ)がかなり違う。
今回開示して衝撃的だったのが、採点官によってかなり点数に乖離があったことだ。具体的には、8点も違った。
②内容は及第点だが、文法・語彙面が弱い。
以下の採点表のとおり、採点は5項目に分かれて内容面と文法・語彙面を測るものとなっている。
私の場合、内容はC2レベルに達していたものの、文法・語彙面(採点表下部)が相当足を引っ張っていることが判明した。
CPE採点表(PDF)⇒https://www.france-education-international.fr/document/grille-cepe-c2
CPOについて
こちらはCPEとは異なり、面接中のメモが見られるのでとても有益だった。
気づいたことは以下のとおり。
①CPE同様、内容はC2(C2+)に達しているが、文法・語彙面が弱い。
Compte Rendu, Monologue, Débatのうち最低一項目はC2+に達していて喜ばしかったが、やはり文法・語彙面が大幅な減点対象となっていた。
②CPEより採点者による点の付け方に乖離がない。
CPOはCPEと異なり、採点官2名と受験者で同じ空間を共有するからか、採点官による点の乖離が少なく、納得感のある結果が出ていた。
③良いところだけでなく、悪いポイントも相当程度に記録されている。
過去の受験者で開示した人のブログに「『この人はこのniveauに達していない』という採点官のコメントがあって悲しかった」という話があったように記憶しているが、私も例に漏れず、
・冠詞のミス
・動詞活用のミス
・発音が曖昧/間違えている箇所
を相当数(本当に凄まじい数だった)書き込まれており、このポイントで少々落ち込んでしまった。
しばしば「受験中に良い表現を使ったら試験官がメモを取ってくれた!」という話を聞いていたので、とくに6月は若い女性の試験官が多くメモを取っていたのに喜んでいたのだが、それはほぼ「ダメ出し」のメモだったという悲しい真実が明るみになったのだ……。
ただそれでも、CPOは合格射程圏内に達していたので、あらゆるテストの合格点が7割程度の日本人からすると、採点の辛さと合格ラインの差異の大きさが少々むずがゆかった。
CPO採点表(PDF)⇒https://www.france-education-international.fr/document/grille-copo-c2
開示して考えたこと
今回初めて採点用紙を見てまず思ったことは、
「落ちてしまっても過度に落ち込む必要はない」
ということだ。
実際、今回「一番採点が良かった場合のCPO+CPEの点数」は四捨五入して50点、十分合格が狙える範疇だった。
もちろん、「50点なんてスコアとしてあり得ない!!」というご意見もあるかもしれないが、合格は合格。
気に入らなければ受け直せばいいだけの話で、まずはこの社会で求められている「半分」に達することが大切だと思う。
そして、「なんだかんだ開示してよかった」とも思った。
ダメ出しの多さにはショックを受けたが、不合格な以上それが当たり前。
むしろ、どこで加点してもらえたかがわかってとても勉強になったし、一部項目がC2+の評価をいただけたことは、自信につながった。
それでも開示して1時間ほどは、ショックでルーアンの日差しを浴びながら日本の歌を聴くことしかできなかったが、重い足取りでホテルに帰り、参考書を開いて目に入ったのが、しおり代わりになんとなく挟んでいた昨年のB2の受験票だった。
1年前の同じ日に、私は必死こきながらB2を受けていたのだ。
1年でB2受験からC2受験。生活を立ち上げ、大学院を受験し、オリンピックで疲弊した中でも、私のフランス語はちゃんと前に進んでいるではないか。
もし今回ダメならDALF対策ができる先生を探し、きちんと対策して、修士1年生が終わったあとに、万全の準備をして高得点を狙おう。
そう気持ちを切り替えさせてくれた、過去の受験票でした。
最後に。メンタルにある程度自信のある方は、一度答案を開示することを強くおすすめして、今回の記事を締めたいと思います!
2024年9月30日追記:8月受験、だめでした。オーラルは合格点を超えましたが、エクリが足を引っ張りました。
2024年度中に合格報告ができるよう頑張ります。