余録 20241029
「平等な選挙権と多数決の原則を組み合わせただけで利益を平等に配分できるわけではない。勝者総取りのシステムでは恒久的な少数派を生む可能性もある」。そう指摘したのは米政治学者、マンスブリッジ博士だ▲民主主義研究で知られる女性学者は話し合いや議論で最善の答えを見つける前に多数決で決着をつけようとする政治のあり方を「敵対的民主主義」と呼んだ。市民の利害が常に衝突していることを前提としているからだという▲約40年前の著作からの引用だが、今の米国の政治状況はまさに「敵対的」に映る。
勝者総取り winner take all (승자 독식 방식)
→ 州投票によってもっとも多い票を獲得した候補者が該当州に配分された選挙人団を全て占める方式
恒久的(こうきゅうてき)永久、永遠 (항구적)
敵対的民主主義 적대적 민주주의 adversary democracy
著作 저작
映る 보이다
女性の中絶の権利や銃規制などをめぐって民主、共和両党の議論がすれ違う。大統領選で勝利すれば、価値観まで決定権を握ることにつながりかねない▲ともすれば日本でも「多数決が正義」の選挙万能主義がまかり通ってきた。1強体制ではなおさら「敵対的」な姿勢が目立った。自公過半数割れの衆院選は政治のあり方を再考する機会になりうる▲野党は裏金問題で国民からノーを突きつけられた自民党との連立協議に消極的だ。
中絶の権利 낙태권
銃規制 총기규제
まかり通る(通用する、通じる)통용하다
再考(熟慮、再議、見直す) 재고, 재검토
自公連立政権(自公、自公政権)자공연립 정권
石破茂首相が続投しても少数与党の政権運営を迫られそうである。緊急課題の政治改革や予算編成も低姿勢で野党側の協力を仰ぐ必要がある。「敵対的」では立ち往生する▲異なる意見に耳を傾け、立場を修正していく議論は「熟議民主主義」と呼ばれる。中露など権威主義国の台頭で民主主義の危機が叫ばれる今こそ従来型の政治の見直しが求められている。「熟議」の国会論戦が見たい。
続投 중임, 재임
緊急課題 (喫緊の課題) 가장 시급한 문제 (과제)
低姿勢(遠慮がち、控えめ、遠慮、謙虚)저자세
仰ぐ 요구하다
立ち往生する (行き詰まる、手詰まりになる)오도 가도 못한다
熟議民主主義 숙의민주주의
危機が叫ばれる 위기에 빠지다
従来型 기존
熟議
→ 他者の意見に耳を傾けながら自らの立場を修正しようとする態度を持って議論すること
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