Educational Design×保育園|仕事も人生も楽しむチームを目指してーVision共創プロジェクトVol.6【ファシリテーター植竹】
自己紹介
Learning in Context(以下、LiC)のファシリテーター・植竹です。
現在、千葉県にある某保育園さんと一緒にVision共創プロジェクトに取り組んでいます。
今回のプロジェクトでは、プロジェクト全体の設計と、ファシリテーターとして、「参加者一人ひとりが無意識に持っている認識やバイアスを可視化・意識化し、新たな文脈や認知を形成する」という役割を担っています。
この記事の中では、特に【ファシリテーター】として、プロジェクトの現場で個人そして組織が現状どんなことを考えていて、その背景にあるものはなにかを観察し、そしてその状態に合わせてアプローチしたこととその結果について書いていきます。
プロジェクトや学びの可視化を行なう役割で一緒にプロジェクトを実施しているドキュメンテーター・宮田も同じプロジェクトについて別記事を書いています。下打ち合わせなしにそれぞれの立場、目線で振り返っているので、ぜひ当記事と見比べてみていただければ幸いです。
これまでの振り返り
「プロジェクトの目的」に対する認識の収束の必要性
前回の第5回を終え、保育現場で働く一人ひとりの保育者(今回は保育士だけでなく栄養士もプロジェクトに参加しています)が、保育園を子どもたちのための施設として運営するために大切にしたいと考えていることが概ね決まってきました。
●保育園の最大受益者
●子ども観(子どもたちはどんな能力を持った存在か)
●保育園のミッション(社会的な使命)
●保育園のコンセプト(ミッションに対する方向性や切り口)
その一方で、このプロジェクトの目的について認識のバラつきがあることを感じていました。
そのため第6回は議論を進めたり、深堀るのではなく、ここまで進んできた道のりの確認とこれから進んでいく方向について共通理解を得ることを目的に実施しました。
今回のプロジェクト・得た学びと共有知
上記の通り、第6回ではこれまで実施してきた内容やそのための環境設定について種明かしを行ないながら、改めて今回のプロジェクトの全体の目的に対しての理解を深めることを「点と点を線でつなぐ」というテーマで行ないました。
<アジェンダ>
●プロジェクトの振り返り
-なぜ?なんのために?何を目指しているの?
-メソッドの共有|対話が生み出す「CoCreation(共創)」と「学び」
●個々人の振り返り
-それぞれが考えてきたこと、学んできたことは?
-一人ひとりのGoodポイント
●今後に向けて
-私たちが向かう先は?
「道筋」の振り返りと「行先」の確認が理解を加速させる
プロジェクトのはじまりから現在、そして未来を見つめ直しす時間を作ったことで、メンバー一人ひとりのプロジェクトへの思い入れやモチベーションが上がっていくのが伝わってきました。
「どうしてこのメンバーが選ばれたのか」「どうして複数園ある中でこの園が選ばれたのか」「どうして園を飛び出して別会場でプロジェクトを行なうのか」そのほか様々な環境設定についての疑問も拾い上げながら話し合いを行ないました。
このことを通じてそれぞれに抱いていた誤解や勘違いが溶け、メンバー同士の距離がグッと近くなり、プロジェクトを成功させよう、という一体感が高まりました。
私自身、「一緒に創り上げている」という意識が生まれることで、自分がここにいていい、という自己肯定感や安心が生まれ、結果的に生産性が高まると信じています。
今回は振り返りを通じて、メンバー一人ひとりがそれを感じることができた時間でした。
「学びの場」でもあることを実感
今回のプロジェクトは「共通概念をつくる」という体をなしていますが、同時に参加者の学びの場としても設計していました。
いわゆる「研修」のように答えの決まったなにかを覚えたり、できるようにするのではなく、
答えのない問い(ex, 保育園の社会的使命はなにか?)に対して、
時代の流れや社会背景、世界的な潮流なども踏まえて
自分たちなりの「納得解」を対話によって創り上げる。
その過程で自分の中の無意識に出会ったり、他者理解を図って、
自分の中の違和感などに気づき、考えること
を目的としています。
対話を行なう中で、「知らない」ことも多く出てきます。
僕たちは「知らない」ことが悪いのではなく、「知らない」ことを発見したことを喜びます。
こうした「学びの場」であることを認識したメンバーからは、「話を積み重ねることでクリアになったり、逆にモヤモヤしたりしていたのはそういうことか!」と新しい学びの世界を楽しんでいる様子でした。
まとめ
「知らない」ことと「考える」こと
これまでプロジェクトを進める中で、「知らないから考えられない」と思考がストップしそうになる場面が何度かありました。
もしかしたら私たちの中に「答えが決まっている」「知識がないと答えにたどり着けない」という前提があるのではないでしょうか。
確かに知識は「考える」上で重要です。
ですが「分からないからこそ考える」ことこそが「考える」という行為の本質なのではないかと思っています。
「あーかもしれない、こーかもしれない」と想像力を働かせながら、思考すること、このことの重要性を今回のプロジェクトを通して感じてもらえたように思います。
これはもしかしたら、子どもたちとの関わりにおいても、重要なヒントになるのでは…?
保育者は人のいいところを見つける天才
だと思っています。であってほしいと願っています。
子どもたちの行動や仕草のいいところを見つけ、拾い上げ、その価値を認識できるようにするのは、保育者の専門性のひとつであると保育の現場を見るたびに感じます。
一方で、保育者自身がいいところを褒められたり、それに気づく機会が少ないとも感じています。
今回のプロジェクトの中で、それぞれのいいところを見つけて伝える、というワークを実施したところ、伝えるほうも聞くほうも、顔を真っ赤にしながら照れている姿がありました。
このワークを通じて、確実にメンバー間の距離がさらに近づいていました。
「普段から互いにいいところを見つけ、伝えられるチームになりたい」そんな憧れも生まれました。
「では、日常の仕事の中で、保育者同士、子ども、保護者、たくさんいいところを見つけて伝えてください!」これを今回の宿題として、提示しました。
次のプロジェクトまでの間で、それぞれの人の関係性にどんな変化が起こるか、楽しみです。
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