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【北米エンタメニュースまとめ】「SHOGUN 将軍」米エミー賞、「あさきゆめみし」フランス語で出版、X上などでの話題をどう商売につなげるか

日々の北米エンタメ市場のニュースなどのまとめです。拾い切れていないものもあるのでぜひリクエストお待ちしております。感想も歓迎です。


「SHOGUN 将軍」米エミー賞受賞

すでに日本語でもいろいろ報道されていますが、真田広之さん主演のドラマ「SHOGUN将軍」のエミー賞受賞。本当にめでたい。もちろん座組や資金は米企業主導ですが「日本史」というテーマがちゃんとエンタメにすれば英語圏で受けるというのはこれからの創作にも参考になるのでしょうか?個人的には衣装の作りこみなどちゃんと役者や演技、脚本以外のところにもこだわったところもいいところだったのかなと思いました。Xにも投稿したのですが、このヒットを受けて、日本の時代劇がもっと輸出されて新作が作られるようにならないですかね。(本当は大河ドラマを輸出してほしいけれどもなかなか難しいらしいので、輸出市場を見据えた作品を作ってもらうしかない)


斎藤なずな先生の「Offshore Lightning」、イグナッツ賞受賞

米国に短編集ブームなのか。斎藤なずな先生の「Offshore Lighting」がThe Small Press Expoでイグナッツ賞を受賞しました。小規模出版社の作品への賞とのことです。こちらも斎藤先生の初期短編などを英語版で出したものだそうです。

VizMedia、米国で「Bleach」のイベント

海外のコミックコンベンションにあわせて、日本のアニメに関するイベントの開催が相次いでいます。コミコンにファンが多く来るのにあわせたサービスかつPRですが、強いIPになれば単独でイベントが開催できる。ということでVizMedia、「Bleach」のアニメ放送にあわせて、LAとNYCで日本の声優を招いたイベントを開催します。アニメの上映と声優のトーク、サイン会でお客さんが呼べるとみたのでしょう。なお、登壇する声優はNYCCのイベントにも参加します。



「あさきゆめみし」、フランス語で出版

大和和紀先生の傑作のひとつ「あさきゆめみし」がフランスで出版されます。インタビューなども掲載されるもよう。可能な限りカラーページも掲載されるということなのですごく豪華になりそう。日本人のようにこれでフランス語圏の人にも源氏物語や平安時代が身近になってほしい。


「佐々木と宮野」の発禁処分はいかに起きたか


フロリダ州のカウンティーのひとつで、日本のBL漫画「佐々木と宮野」の翻訳版が地域に通う生徒の親からの申し立てで、学校図書館の棚から取り除かれることになりました。実質的な発禁処分です。その背景について、カウンティーの委員会のメンバーに聞いた記事です。申し立てをした人はMoms for Libertyという、子供に「不適切」とされる書籍を「禁書」としたい親の集まりのメンバーだそうです。申し立ての書類をみても、どう見ても誤解しているなとしか受け取れないのですが、内容が許せない人は許せないのだろうなと思いました。これのあと、特に日本の漫画について禁書の申し立てはないようですが、引き続き動向からは目が離せないようです。


「K MANGA」、日本国内で配信開始 英語学習のキャンペーンも

講談社の漫画配信サービス「マガジンポケット」の英語版の「K MANGA」が国内で配信サービスをスタートしました。英語学習のキャンペーンと一緒なのが面白いです。コメント欄でファンとの交流を促す一方で、K MANGAは米国のみのサービスだったので、日本国内の英語に親和性がある人へのサービスなのかなと思います。が、その前に英語版を米国以外でアクセスできるようにするのが先なのではないかと思いました。


「ヒロアカ」最新映画、全米公開へ

漫画「僕のヒーローアカデミア」の最新映画が全米公開です。配給には東宝の海外子会社が関連しているのでヒットすれば東宝の映画事業にもプラスです。


ネット上などの局地的人気をどうビジネスに生かすか?

つらつらとXを見ていたら、最近単行本が出た「ラブ・バレット」が英語圏の百合コミュニティの人に受けていました。もちろん「英語版を出して」の声もあるのですが、その前にまず日本語版を日本以外の地域からAmazonでかって存在感を示すということをやっていました。ラブ・バレットの作者はこれに気が付いており、英語でお礼を伝えていました。(なおラブ・バレットは百合の文脈で恋愛だけではないアクションがあるところが特に面白いと思われているそうです)すでにファンアートも描かれています。

作者のXはこちら。


こういう局地的に人気が出たものを、実際の商売につなげるにはどうすればいいのか?現地語を買ってファンであることを示すというのは、初期のタイBLや中華BLの日本のファンがやっていましたが、英語圏の漫画ファンもやってくれると思うと嬉しいです。ラブ・バレットについてはうまいこと現地出版社がライセンスを取得してぜひ翻訳版出てほしい。こういうのを見ると、漫画の翻訳版、アニメを通じて日本発のコンテンツが面白いと知り、いろいろ探してくれている人がいるのだなと実感します。

例えば先週紹介した「魔法少女ダンデライオン」はVizMediaというプラットフォームを持っているところにつながることで英語版の同時配信が始まったわけですが、そういうのがもう少し気軽にできるようになればいいなと思います。

というのがいい話なのですが、それがネガティブになることも。


こちらは小学館のコロコロコミック編集部が発表。コロコロで連載中の「漆黒のハリネズミ シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」が無断転載・翻訳されているとのこと。話題になって公式版を支えてくれるならいいのですが、読みたいがためにファンが「暴走」してしまうと出版社側も警告を出さざるをえなくなります。まあソニックは英語圏での人気が非常に高いので読みたいという気持ちはわかるのですが。せめて公式版をデジタル版で買って読んでほしいものです。


「鬼滅の刃」インドでも ソニー系、イベントで市場開拓

ソニーグループのアニメ配信会社Crunchyrollのインド進出の話です。9月末にニューデリーで開催されるアニメのイベント「「Mela! Mela! Anime Japan」は日本企業も多く出店するとのことなので、盛り上がりがどんな感じなのか気になります。あと、インドはまだまだ平均所得が低く、アニメをスマートフォンで見る人が多いので、字幕よりも吹き替えが好まれるというのは興味深いです。漫画についてはまだまだなのですかね?アニメ関連のグッズとしての商圏のほうが大きくなりそうです。


伊藤潤二先生、韓国でファンイベント開催へ

伊藤潤二先生ブームですね。米国での漫画の人気、アニメの配信、そして世界中から人を集めた原画展に続き、韓国でファンイベントを開催するとのことです。それより体験型展示「ホラーハウス」が気になります。


Webtoonの課金額、日本は韓国の3倍


韓国のWebtoon市場の分析記事です。ネイバー系のWebtun Entertainmentの決算記事からの分析ですが、韓国のWebtoon市場が停滞している中で、日本は堅調で、日本で展開するアプリでの課金額は韓国の3倍だそうです。(アプリで配信しているのはWebtoon作品に限られませんが)。Webtoonに限らず、日本の漫画市場はアプリ発のヒット作も出てきており、日本の読者は意外にデジタルコンテンツへの課金へのハードルが低いのかもと最近思い始めました。


追加
この企画を始めるきっかけになった菊池健さんのマンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。


足元のアプリ発作品の活況は、約10年前から始まっていたのですね。雑誌メディアではないですが、地道にファンを育て、いまや海外ファンも取り込んでいると思います。特に集英社の「Manga Plus」が大きかったと思います。

今週はここまでー。引き続きよろしくお願いいたします。

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