擬音と会話文のみで文豪の小説を書くとラノベになる試み
【坊っちゃん】 原作:夏目漱石
がやがや
「見ろよ、あいつ新築の二階で外なんか眺めている」
「いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい」
「何をこれくらいの高さ、飛んでみせらぁ」
ぴょん。どすん。
グッキシ。
「うわあああ、本当に飛び降りやがった」
「二階から飛び降りて腰を抜かす奴があるか」
「この次は抜かさずに飛んで見せます」
「全くお前は小さい頃から無鉄砲でどうしようもないな」
◆
「どうだ、この西洋製のナイフ。見ろよ。綺麗な刃をしているだろ」
「うーん、光る事は光るが切れそうもない」
「切れぬ事があるか、何でも切ってみせらぁ」
「何でもなら君の指を切ってみろ」
「何だ指ぐらいこの通りだ」
ズバーッ!
「うわあああ、本当に切りやがった」
「ナイフで自分の指を切りつけるやつがあるか」
「この次は綺麗に切り落として見せます」
「全くお前は無鉄砲にも程があるぞ」
◆
「ここの栗の木になる栗は命より大事な栗だ。だが、質屋の勘太郎という十三四の倅が栗を盗みにくる。質屋には色々と世話になっているだけにどうしたものか」
「だったらおれが捕まえてやるよ」
がさがさ。ざざー。
「きやがったな勘太郎。今日こそ年貢の納め時だ」
「くそー。こうなったらやってやる」
「ふん。二つばかり年上だからって、おれに勝てると思うなよ」
「うわああああ!」
「ちょ、おま、おれの袷の袖の中に頭が入っているぞ」
「これでもくらえ!」
ガブッ!
「いたたたた、この野郎おれの二の腕に食い付きやがった。そっちがその気なら垣根ごと突き落としてやる」
ドン! がさー。ごろごろドスン。
「うわあああ、本当に突き落としやがった」
「うちの子がお宅の垣根を壊してしまって申し訳ありませんでした。ほら、あんたも謝りな」
「この次は垣根を壊さずに捕まえて見せます」
「馬鹿言ってんじゃないよ。お前は本当に無鉄砲なんだから」
「そうだ、突き落としたときに勘太郎に引きちぎられた袷の袖も返してくれよ」
「少しは反省しなさい。すみません。すみません」
まとめ
ラノベになった