漆板 Siita
山と海を繋ぐ漆塗りウッドサーフボード
株式会社堤淺吉漆店 ・ 一般社団法人パースペクティブ
[ 概要 ]
木の樹液から作られる漆は日本では1万年以上もの間、防水・防錆塗料や接着剤として人々の暮らしの中にあり、修理して長く使いつなぐ工芸の営みの一つとして続いてきました。大量生産・大量消費社会の現代ではこの半世紀で漆の使用量は500トンから23トンへ減少し、そのスピードはまるで地球環境の悪化のようで、たくさんのモノが便利に簡単に作られる中で人と自然の距離は離れていきました。
「一度漆を日常に取り戻すにはどうしたらいいか?」と考えた時にヒントになったのがサーフボードでした。海や山で遊ぶ中で自然の素晴らしさや偉大さを感じるようになり、またそれを次の世代にも残したいと考える中で、自然の中で遊ぶ人たちにこそ漆の価値は伝わるのではないかと考え、漆塗りウッドサーフボード「Siita」は生まれました。
地元の材を使い、手仕事にこだわりつくられている「Siita」。磨き上げられた漆の撥水性は水面での抵抗を最小限に抑え加速を引き出すことから、波と一つになるサーフボードにふさわしい素材でした。
漆が人々に必要なモノとして日常に戻ってきた時、きれいな地球と共に漆の文化も次世代に繋ぐことができると信じています。
[ 具体的な効果 ]
2020年「日本伝統工芸再生コンテスト」最優秀賞
2022年「PFV賞 - FAMILY IS SUSTAINABILITY」ノミネート
2023年 Forbes JAPAN「CULTURE-PRENEURS AWARD 2023」
2019年、一般社団法人パースペクティブを立ち上げる。ウルシの木やサーフボードに使う桐は植えて伐採するまで15年かかることから、林業が盛んな京都市京北地域でウルシの木の植樹や桐の木の育成も行う。
活動の中で深まった林業家との連携の中で派生した、クマが爪や牙で樹皮を剥ぐ「クマ剥ぎ」がされてしまった木に新しい価値を生み出す「ベアーズウッドプロジェクト」も進行。軽くて木目の面白い杉の木をサーフボード、家の床材、家具、ボルダリングのホールドなどへ活用。
LIBRARYのnoteではこのような事例を今後も紹介していきます。
日本にて伝統工芸や循環産業、自然資源の活用、地域振興などの活動をされている方々や興味のある方々が繋がり、意見や情報を交わし合い、その発展を目指すコミュニティ「LIBRARY」が活動の軸になっています。
興味がありましたらコミュニティ「LIBRARY」にもお気軽にご参加ください。