本尊の形式と内容の区別の問題
日蓮の本尊について議論する場合には、形式と内容を区別することが重要である。そのことは、勝呂信静さんの『日蓮思想の根本問題』(教育新潮社、1965年)において、「形式と思想」という表現によって以下のように指摘されている。
“あまり本尊論議がやかましいので、日蓮宗では本尊が統一されていないという人すらある。しかし、本尊論議を行なっている学者も、また第三者の立場からそれを批判する人たちも、そこに考え方の混乱があって、一そう議論を判りにくくしているようである。それは一口にいうと、本