SE2あとがき
これで〔サイズミック・エモーション〕に関する大半の文書は公開し終わりました。
厳密に言うと「チーム・サイズミック」結成後初となる長編作品で、人類の存亡をかけた大事件になる〔3〕の企画書がまだありまして。
さらにはその後もシリーズが続くなら、日向みつき出生の秘密に関わる「宿敵」の存在(実はこのエピソードの最後の方で少しだけ存在をにおわせています)もきちんと設定されており、さらにさらに、みつきと隆平の恋物語(?)がどう進展し、どう結ばれて、そして別れの時を迎える……つまり、シリーズそのものがどういう終わりを迎えるのか、そこらまでしっかり構想が立てられております。
それらに関係するテキストは、いっぱい残っているのですけれども。
ただ、それらは著者本人の頭の中にあるアイデアと合わせてようやく意味がわかる、そういう類の断片的な記述にすぎません。
第三者がとりあえず読める形に持っていくだけでもけっこうな労力がかかります。そして、その結果として得られるものはあらすじ程度のラフがせいぜい。それでも見たいという方はたぶんいらっしゃらないと思いますし、いたとしても「すんません結構しんどいしコストもかかるんで勘弁して下さい」としか言い様がなく……。
こんな言い方をするのは何ですが、もともと1巻(#01と#02)を出版した時点で終わってしまった作品です。
売れなかったから。注目されなかったから。本作もそんな理由で消えていった有象無象の作品のひとつに過ぎません。元々は著者の気まぐれで無償公開に踏み切ったものなので、これ以上の追加作業については、誠に勝手ながらご遠慮させていただければと思います。
まあ、それはそれとして。
今回、その「気まぐれ」がなければ、20年近く前の自分のテキストと向き合うことはありませんでした。
その膨大な量の文章を見ながら、よくもここまでやったもんだ、と。それが今の正直な気持ちです。
若さ故の勢いみたいなものもあったんでしょうけど、今はとてもここまで愚直に自分の作品と向き合えません。もっというなら、この熱量に向き合ってくれる読者はそうそう居ないと思います。コンテンツ供給過多になった現代ならなおのこと。無料で読めて暇潰しになれば良い、というのが今の読者のデフォであって、昔のような「ファン」はもういないか、あるいはいまだに昔の作品を愛し続けているかのどちらかです。
一つの企画に対するカロリーを下げて、もう少し数を打つ方向に進めていれば……これだけ書けるヤツなんだからヒットの一つや二つ手に入ったんじゃないかなあ、なんて。
まあでも、時代、というのもあったのかもしれません。
当時はまだライトノベルは右肩上がりに成長を続けていて、まともなレーベルならヒットしなくてもとりあえず三冊くらいは出してくれました。だから、三冊は出せるという前提で物語を組み立てられたわけです。そして、それ以上に続いた場合の仕込みもしておいた。
当時の担当編集にも、そんな要請をされた記憶もあります。自分だけだとここまで頑張れませんからね。
でも、それを考慮しても……やっぱ頑張りすぎ、かなぁ。
そのくらい、自分の作品を信じてたんでしょうね。日向みつきを、久瀬隆平を、チーム・サイズミックを愛してたんでしょう。
他人事のように、そんなことを思います。
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サイズミック・エモーション
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