CHARACTERS
“表”の部隊 / Main Squad
・シオン
扶桑流剣術の遣い手。戦局を先読みする能力に長けていて、司令塔として実質的な部隊長役を担う。
エルフのように見えるが血筋は人間で、いわゆる“取り替え子”だという。幼い頃から相当な苦労をしたらしく、それ以上は過去の話をしたがらない。そもそも彼女がどこで剣術を学んだのか、どうやって戦術指揮を身につけたのかも。
・メレディナ
魔術と神術の両方を修めて賢者の資格を得た才女。
〔永き民(エルフの旧称)〕が担った氏族の使命に忠実で、決して短くない半生のほぼ全てを学術と研究に捧げてきた。四半世紀ほど前からは世界中の史跡や遺跡を巡る旅を始めたが、それも「旧帝国期の埋もれた知識を現世に取り戻す」という氏族の使命に拠るらしい。
実は彼女、立場上はシオンの主にあたる。灰化した状態で寺院に安置されていたシオンを大枚はたいて蘇生させ、旅の護衛として雇用したのが二人の出会いであり、全ての始まりだった。
・マイグス
遠方の小国、その一地方を治める貧乏領主の五男坊。曾祖父母の代まで遡れば名家の傍流に辿り着くのだとか。
曲がりなりにも貴族なので、幼い頃から武術、礼儀作法、帝王学、神学の基礎などをみっちりと叩き込まれてきた。現在はそれらの修行の総仕上げとなる見聞旅行の最中にある。
いかにも部隊のリーダーに向いていそうな身の上なれど、何不自由なく清く正しく育てられたため他人を疑うことが苦手で、性格的にも単純率直かつ直情型。戦術指揮はかなり以前からシオンに丸投げしており、対外的な場面でのみ代表然として振舞っている。
本人曰く「神輿は軽いほうがいいんだ、担ぐほうも楽だろ?」とのこと。
・ガノフ
マイグスの従者で目付役。
祖派の僧籍を持ち高度な神術を駆使するが、戦場においては〔剛の民〕らしく腕力にモノを言わせ鎚鉾をブン回して戦うほうが性に合っているらしい。
部隊の中ではメレディナに次ぐ年長で、それ相応に昔気質……と言えば聞こえはいいが、価値観がひと昔もふた昔も前からアップデートされていない頑固者と表現した方が正確である。当節風に「ドワーフ」なんて呼ぶと本気で怒るし、女のシオンが男のマイグスを差し置いて戦場で皆を指図することも快く思っていない。メレディナのことも(貧相柔弱なエルフなど足手まといなだけだから)疎ましく思っている。
・ヒムゼ
元は傭兵団の一員だったが、上司や同僚と反目して脱退。正規兵になれば食い扶持に困ることはないと考えてオード軍の新兵募集に応じ、最終試練の直前からシオンたちの部隊に参加するようになる。
身体能力が高く関節も生まれつき柔軟で、捕縛されても簡単に縄抜けし、背丈の三倍程度の壁なら大抵乗り越えられる。さらに手先もおそろしく器用で、罠や機械装置の扱いに長け、針金一本あればたいていの錠前を外してしまう。戦いにおいては死角からの奇襲を得意とし、投げナイフや礫を使ってシオンやマイグスの立ち回りを完璧に補佐してみせる。
斥候としては間違いなく一流で頼りになる逸材なのだが、不明瞭な出自と寡黙な性格が災いして部隊の面々とうまく馴染めずにいる。
・ネフェル
内外ともに「ポンコツ魔術師」と呼ばれる困った男。
ただ、魔術師としての腕が悪いわけではない。むしろ良い。発動率は良くて三割と言われる最高位魔法も滅多に失敗しないし、時には呪文の詠唱や結印(手指や腕などを使って魔術回路を作ること)も省略、最短最速で術を発動させる離れ業を見せることも。今現在オード領内に居を構えている魔術師の中でも指折りの実力者なのは確かだ。
ただし、ビビリで、根性なしで、志が低く、愚痴が多く、いつも腰が引けていて、悲観的で、卑屈で、責任感がなく、すぐに他人を嫉み嫉み、隙あらば楽をして、あわよくば逃げだそうとする。とにかく人格面が絶望的。
“裏”の部隊 / Sub Squad
・リュウカイ
???
軍の関係者
・マーファ
ノームの賢者で、シオンたちを監督する立場にある。が、厳密に言えば彼女は軍人でも近衛隊でもない。オード大公領において軍務を含む庶務一般を掌握する執政官である。
乙女と呼んで差し支えない年齢に見えるものの、これは肉体老化が極端に遅くなっているだけらしい。その要因は複合的で、生まれ持った魔力の大きさ、溢れんばかりの活力、慈愛の心と信仰の篤さ故に神から賜った寵愛などなど。ある意味「聖者」に近い存在であるゆえか、彼女は誰に対しても幼い子供を諭す母親のように語りかけてくる。
ちなみに、彼女に付き従う奇妙なネコは〔バステト〕という。いわゆる使い魔なのだが、けっして悪魔的な存在ではない。むしろ神聖なるものの御使いだ。マーファとの関係も主従ではなく「友人」なのだそう。