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エリート崩れの核弾頭 東京都中央区、築地。 場外市場商店街の一隅にある大衆食堂、そのカウンターで、二十代半ば過ぎの青年が遅い昼食を摂っていた。店内に客は彼だけだ。ネクタイを緩めてシャツの第一ボタンを外し、店の看板メニューである海鮮丼をほおばっている。 「美味しいかい?」 食堂の厨房から、店番をしている店主夫人が声をかける。青年の食べっぷりが気に入ったらしい。 「……はい」 口中のものを飲み下してから、青年は答えた。 「うちは狭くて汚い店だけど、出してるもんに