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男の意地を貫いて 日は沈み、夜の帳が街に降りる。 午後六時。一応の退庁時刻である。 「今日も、何もせずに終わるのか……」 久瀬は暗澹たる思いで鞄を手にして、席を立つ。 天井の蛍光灯を消して廊下へ出た。 驚くべきことに、情報調査室の薄暗い廊下に並ぶ扉のほとんどがすでに施錠されていた。 開かれている部や班も天井の明かりが落とされていて、闇の中でぽつぽつとデスクライトの点いた机が散見できるのみ。それすらも空席が多く、かろうじて管理職らしき職員の姿を見つけても、ラ