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11年かかって次男と再会~今までごめんねへの返事が「もう時効だよ」

長女、長男と一緒に暮らし始めましたが、次男とは会うことさえできていませんでした。
次男は末っ子という事で、上の子2人を育てていた時より、子育てに余裕もあり、とにかく可愛くて、孫のような感覚でした。

次男が3歳の時に離婚し、5歳までは会っていましたが、それっきりでした。
たまに次男の夢を見ます。夢の中の次男は5歳の頃のままで、「ごめんね、ごめんね」と次男を私が抱きしめていて、目が覚めた時には切なさでいっぱいの気持ちが残ったまま、私の中では一向に大きくならないのです。

長男に次男に会いたいと話をすると、私と会ったことを父親に知られたら、次男が怒られて、可哀そうだから、ダメだと言われてしまいます。
次男は小さかったので、私の事は覚えてないだろうし、次男が20歳になったら、長男が連れてくるからと。
長男は次男の小学6年生の時に撮影した写真をスマホで送ってくれました。
大きくなったものの、顔は小さい頃のままでした。

中学は長男と同じ中学でしたが、高校になったら、どこの高校に行くかも分からなくなってしまう。
中学3年生までには絶対に会いに行こうと思っていました。
私の事を覚えていないのなら、見にいくだけなら分からないと思い、次男が中学3年生の時に、公開授業に行きました。

公開授業は1週間ありました。
休日だと、父親や継母が来る可能性もあると思い、万が一のことを考えて、初日の平日に朝一番で行きました。
行ってみると、平日だからか親は誰も来ていません。
いやぁ目立つなと思いつつもせっかく来たので、次男のクラスを探しました。
教室の廊下側に生徒が書いた文集が貼りだしてあり、次男の名前があったので、クラスは分かりました。

ところが、中を覗いても次男がいません。

他のクラスも全部覗きましたが、次男を見つける事ができませんでした。

1人の男の子が教室から出てきたので、「〇〇君てどこにいるか分かる?」と聞いたら、どうやら1クラスで2つに分かれて授業をしていることを教えてもらいました。

でもそこに行っても次男を見つける事ができませんでした。

廊下で途方にくれていると、副担任の先生が話しかけてくれて、「どうぞ教室の中へお入りください。」と。

思い切って聞いてみました。
私「〇〇はこのクラスですか?実は、私は〇〇の実母なんですがクラスが分からなくて」
先生「事情は聞いています。〇〇君なら、〇組ですよ。」
先生も事情を知っているのかと思いつつ、そのクラスはすでに何度も覗いていたクラスでした。
また覗いても見つかりません。

もう一度その先生に、居ないのですがと聞いてみると、先生が見に行ってくれて、「いますよ、あそこに」と示された子は私が思っていた次男とは変わっていて、全く分からなかったのです。

母親なのに、自分の息子が分からなかったということが衝撃で、とてもショックでした。

教えていただいた先生には、中学3年生で受験生なので、私が来たことで次男に刺激を与えたくないこと、また父親に知られると問題が大きくなってしまうため、伝えないで欲しいと話しました。

先生の話から、父親はすでに学校側と何度もやり合っている事がうかがい知れました。
そのため、私のお願いもすぐに理解してくれました。
娘が家出してきた時も警察官が、父親について問題視していましたが、学校でもすでにやらかしているんだと思いました。

この公開授業の数か月後、文化祭のような行事があり、体育館に全校生徒が集まり、親も参加できるというもので、私も見に行きました。

プログラムは分からなかったので、次男が出るのかどうかも分からず見ていました。

すると、あるお母さんから声を掛けられました。
昔、ご近所付き合いのあった方でした。
その方と連絡先を交換し、次男の進学する高校が分かったら教えて欲しいとお願いしました。

そんな訳で、それから数か月後、次男の高校もその方から教えてもらうことができました。

ですが、やはり長男から次男に会うのは止められていた為、高校にすぐには行けませんでした。

次男が高校2年生の文化祭の時に、なぜか「今でしょ!」と思い、行きました。
高校の行事はホームページで分かります。

行ってみると、広いし人は多いし、次男に会うのは難しいなと思うほどでした。
学年しか分からず、クラスも分からない。

感覚的に、2年生は2階だろうと思い、端から見ていこうと思いました。

一番最初に行ったクラスは、教室は2年生だったものの、1年生がやっていました。

そんなに上手くいかないかと思いながらも、隣のクラスに行き、「〇〇君はいますか?」と聞くと、「〇〇居ますよ、あれ?でも今居ないな、呼んできましょうか?」と、なんとドンピシャ!
その申し入れはとっさに断りました。

その後、人ごみの中、どうしたものかと廊下をしばらくうろうろしていると、次男がお友達と一緒に私の前に現れました。

どうやら、先ほど「呼んできましょうか?」と言ってくれたお友達が、訪ねてきたのはあの人だよということで、連れてきてくれたようでした。

次男は人違いではないかと言う感じで「僕ですか?何か用ですか?」
私「大きくなったね、良い高校に入れて本当に良かった」母親ですとは言えずに、親戚の叔母さんのような感じで話していると

次男「もしかして〇〇さん?」と私の名前を言いました。

私「...はい。」次男は私の顔はやはり覚えていませんでした。
当時5歳でしたし、仕方ありません。

学校の帰りに話しができるか聞くと、大丈夫だと言ってくれたので、校門のところで待っていました。

次男と色々話をすることができました。
そして、「これまでの事は申し訳なかった、ごめんね。」と伝えると

次男「親父から、もし会ったらあーしろこーしろって言われてきたけど、もう時効だよ。」と優しく言ってくれました。

ずっと会いたいと思っていたこと、大切な次男だという事を伝えました。

それからは、たまに会うことができるようになりました。

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