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RTA in Japanが好きという話

はじめに 

みなさんはRTA in Japan(以下、RiJ)というイベントをご存知だろうか。
年二回、数日間昼夜ぶっ通しで行われるゲームプレイのイベントである。
ほかのゲームイベントと何が違うのか、それはRTA(リアルタイムアタック)をしている点だ。

RTAとは、ゲームを最初からプレイして実時間でどれだけ早くクリアできるのかを競う遊び方です。
実時間で時間を競うことから、リアルタイムアタックと呼ばれており、RTAはReal Time Attackの頭文字を取った略称です。

タイムアタックは海外ではSpeedrunという呼び方でも親しまれており、世界各国で楽しまれているゲームの遊び方です。

RTA in Japan公式サイト https://rtain.jp/ より

これのなにが面白いのか。……なんかもう全てである。
そういう話をTwitter(現X)やBlueskyなどで今までえんえん話してきたのだが、まとめて書きたいな…となったのでここにまとめることとする。
いやほんと好きで…年二回のこれを楽しみに生きていると言っても過言ではないんですよ…


出会いのきっかけ

みなさんは小さい頃、あまりに難しくクリアできなかった、あるいはクリアまで非常に時間のかかったゲームがあるだろうか。
私は山ほどある。そのうちのひとつが「風のクロノア2」だった。
もちろん難易度が高くともその世界には魅せられていたし、クリアまでの時間も大切な思い出のひとつ。深く愛しているタイトルである。
そんな作品がある年末、突如Twitterのトレンドに入る。すわ新情報か!?と同じくクロノア好きな妹と慌てて調べると、

そこにはなんか強烈にプレイのうまいひとたちが爆速でクロノアをプレイしている景色が広がっていた。
そして、走者さんと解説さんの全員が深くクロノアを愛していた。
わ…私だってクロノアの歌は歌えますけどね!?
でも到底この速度ではプレイできない。恐ろしい試行回数がそこにあるのを私は即座に理解した。この人たち、ただならぬ熱量で私の好きなゲームのことが好きだ……!!!
RTAというゲームプレイのジャンルを知らなかった私にとってこの出会いはあまりに鮮烈で、以降いろいろRiJについて調べはじめる切っ掛けとなった。
「その作品を好きな人たちが」「技術を日々洗練し作品を研究し」「時にはバグを駆使して」「誰よりも早くプレイする」というゲームのオタクの極みみたいなことをしている、そこがRiJを大変好きであるポイントのひとつだ。

RiJはチャリティイベント

本イベントはチャリティイベントとなります。
イベントを通して得られた収益は、税金などを除く全額を国境なき医師団に寄付する予定となります。

https://rtain.jp/rtaij/rta-in-japan-winter-2024/

RiJは海外のスピードラン・チャリティイベントGames Done Quickを参考に作られたイベントである。以下はかつてGDQに対して、RiJ主催のもか氏が聞いた言葉だ。

「GDQが出来る前までは、マリオを早くクリアできても何にもならなかった世界だった。ただ、GDQが出来てからは、マリオを早くクリアすれば人を救える、という価値観を生み出すことができた」(中略)この価値観を持ち込みたいと思ったのが、「RTA in Japan」がチャリティイベントであることの理由です。

RTA in Japan Summer 2022閉会の挨拶の中で
同イベントがチャリティイベントである理由について、主催のもか氏https://www.gamespark.jp/article/2022/08/27/121756.html

ゲーム配信とお金の関係でよくない流れが起こりがちな昨今、このようなクリアな指針があるのは見ている側としても安心感がある。
また、アパレルブランド無敵時間さんで、対象となっている商品(主にRiJのイメージキャラクターRTAちゃんやRちゃんのグッズ)を買うとそれも寄付につながる。

近年では寄付額に応じてゲーム内の選択肢や名前などを変える投票も行われている。楽しく寄付ができるイベントとなっているのである。
CMなんかでどこそこの国に寄付を、みたいなフレーズはよく耳にすれど、そんな余裕ないしなーで聞き流していた私が国境なき医師団さんに寄付する日が来るとは思わなかった。
配信を見るだけでも寄付の一助となるそうなので、私はRiJの時期になるとジャカスカRTなどで宣伝してみんな見よ〜!!と書き込んでいる。
好きなゲームの配信で明るく笑って感動して(時にはドン引いて)、ついでにどこかの誰かを救えるのはこれ以上ない善いことだと私は思う。
2024年夏の大会ではRiJ全体での合計寄付額がついに一億を突破しており、最近では大会終わりに国境なき医師団さんから感謝を伝えるビデオレターが届くようになった。これもひとえに運営・走者・解説・スタッフのみなさんと寄付を送った視聴者たちのおかげである。偉業。

楽しいRiJのアーカイブたち

ここからはいくつか好きな回を貼っていこうと思う。どんな走りがあるのか気になる方はここから見てみるのも良いだろう。(えらそう)

(簡単な)用語解説

Any%…「なんでもあり」の意。バグを駆使して最速クリアを目指す。
Glitchless…「バグなし」の意。技術を磨いた最速プレイが見られる。
また、変化球でNo Major Glitchとすることもある。これはあまりにもプレイ記録に影響が出るバグは使わず、他の小さなバグは利用していくということ。
All◯◯… すべてのステージあるいはレベルをクリアする意。バグありか無しかはその時々。
目隠し…目を隠す、つまり画面を見ないで最速クリア。怖…
RiJでもいままで複数名がこのカテゴリで出場している。怖…(畏怖)

過去話題になっていた回

街へいこうよ どうぶつの森 第2回街森借金返済王決定戦
このRTAからRiJの知名度が上がっていったな、という体感がある回。ハイスピードスローライフという言葉が爆誕した。

リングフィットアドベンチャー
なんと元アナウンサーというガチの方が実況をしていた珍しい回。同接18万人を記録した。見事な走りと解説は必見。

ときめきメモリアル
「ノイローゼを維持」
がトレンドに入ってしまった回。容姿一桁ってどんなビジュアルなんでしょうね…
大きなバグもなく、また1時間程度で見やすいのでおすすめ。

会場の一体感

運営スタッフさんがゲーム内の朝の体操を一緒にしていたり
(クレヨンしんちゃん オラと博士の夏休み おわらない七日間の旅)

観客のみなさんが劇中の観客と同じポーズをしていたり、

観客が電車の吊り革を持って参戦したり(???)

観客もスタッフも走者解説と一緒になってゲームを楽しんでいる様子がそこかしこに見られ、非常〜〜〜〜〜に楽しい。遊び心のある人たちがたくさんいるのがとても好きだ。

ネタバレ阻止回

RTAというプレイの都合上、爆速で進行しているためゲームのネタバレを見ずに進むことが多々ある。
OMORIというゲームでは寄付額投票でどのエンディングを見るか決めていたのだが、票が割れるなか突然ネタバレ阻止の石油王が現れ「エンディングを見ない」が選ばれた。本当に最初の方しかプレイしていないうえ英語版でのプレイであるため、雰囲気が気になる方にはおすすめ。(本当に?)

※石油王…お金持ち、転じてたくさんお金を突っ込む人の意。RiJでは特に寄付する人全体がそう呼ばれている(たぶん)。Twitchのチャット欄では寄付する人が現れると石油王さん!?とはやしたてる流れがある。

時々出る超人

2024夏のポケモン初代ではひとりで赤・緑を同時にプレイし図鑑を完成させるRTAをされている方がおり、人間業とは思えない動きをしていたのでぜひ最初だけでも見て恐れおののいてほしい。怖い。ソロ並走プレイしながらコメント欄を読むな。怖い。(褒めてます)

こちらは言わずと知れた著名なダンスゲームのRTAなのだが、なんと解説が不在のため走者さんがダンスゲームをプレイしながら解説も同時に行っている。ダンスしてるのに解説を?????どういうこと???
…ぜひ実際の動画を確認して冷や汗をかいてほしい。

解説さんを呼ぶか呼ばないかは走者さんの任意なのだが、まれに制作者さんが解説に来ることがある(???)。バグ多用のRTAの場合はちょっとかわいそう。

また、プレイし終わった走者さんに「完走した感想」を聞く、というお決まりのフレーズがあり、それがあってかRiJは全体にしょうもなダジャレの宝庫でもある。ぜひいっしょに凍えてほしい。
さらに、作品の走る時間と実際の放映時間を合わせる傾向がある。具体的に言うと「ゴルフは朝」「ホラーは深夜枠」など。アタック25のRTA開始時間は地上波でアタック25が放映していた13時頃に合わせるなど、遊び心に事欠かない運営である。


おわりに

私はゲームが好きだがうまくない。また、過去にプレイした好きなゲームをやり直したくても、プレイするための時間や環境がどうしても用意できないときもある。
ならばせめて作業している隣でゲームのうまい友達に好きなタイトルをプレイしていてほしい。
そういう時間が欲しいなあと思ったとき、今の私にはRiJがある。
実際に走者や解説であるとか、またスタッフとして関わることは今のところ難しい。だが私はいち視聴者としてRiJが好きだ。この善意とおちゃめさで形作られているすてきな催しを応援するために私もなにか出来ないか、そう思ってこの記事を書いている。

私の好きなゲームを心から楽しそうにプレイする人たちがたくさんいる。
知らないゲームを買ってみたくなるような、たいへん魅力的なプレイを見せてくれる人がいる。
そんな人たちにたくさん出会えるのが、RiJの素晴らしいところだ。

非公式アーカイブ集のリンク

こちらはいるかん氏による非公式アーカイブ集である。Twitchは検索性が低く、しかしYoutubeのアーカイブでは当時のコメントが観られない… ので、こちらを紹介させていただく。
ぜひこちらで試しに好きな作品名を入れて検索し、RTAを見てみてほしい。あなたの好きな作品、とんでもない速度でクリアされているかもしれません…


さて、2024年を締めくくる大会は下記のtwichチャンネルで2024/12/25(水)15:00から配信開始予定だ。
Amazonプライムに入っている場合プライム特典で無料でサブスク(!)することが可能なので、ぜひ今からでも登録してみてほしい!

今年の冬も見られる限り見ます!!!
RiJに関わる全ての人々へ、GL!!!

























これは読まなくてもいい個人の願望。


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