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糸魚川翡翠と出雲碧玉

ふと、2024年に仕入れたジュエリー用のルースは日本産の石が多いことに気がつきました。

今回作品にしたのはその中から、数年前から惹かれている糸魚川翡翠と、ルース屋さんで一際存在感を醸し出していた、「出雲碧玉」「出雲石」と呼ばれている島根県産ジャスパー。

糸魚川の翡翠は約5億2000万年前にできたもので、「世界最古の翡翠」といわれています。
また、翡翠を加工し始めたのは約5,000年前の縄文時代中期、この糸魚川翡翠が最初だったのだそう。
つまり、人間が翡翠を加工して装飾品として身につけたのはこの糸魚川翡翠が始まりなのです。

糸魚川翡翠は「日本の神々が宿る石」として知られており、古くから強い力があると信じられているそうです。

今回、光に翳すと透けるような優しい白の中に、うっすらと緑色の部分も伺える美しい糸魚川翡翠の、楕円型の円柱の形を活かして横からも光を取り込めるよう古代遺跡にある神殿のイメージで制作しました。

糸魚川翡翠はライトを当てたときに光を通すものが高品質といわれていますが、この白いルースもうっすらですが光を通します。
一見不透明な石に見えるのに光を通すなんて不思議。

よく見ると白の中に緑も見えます。

高さがあるデザインなので、サイドの美しさも楽しめます。
この神殿風デザインはLIBEROS の定番、【Tempio】シリーズです。


そしてもう1点は島根県産のジャスパー。
「出雲碧玉」「出雲石」ともよばれています。

島根県はかつて出雲の国とよばれ数々の神話の舞台となった地で、神々が集まる地でも知られています。

そんな土地で採れる出雲碧玉は、古くから邪気払いのお守りとされてきた石。
出雲大社などでよく見かける出雲碧玉の勾玉は魔除けのほか健康長寿や家庭円満や縁結びなどさまざまな願いをかなえる幸運のお守りで有名ですよね。

今回ルース屋さんで目に留まったのは、緑色が多い出雲碧玉の中でも赤茶色の石。
一見すると黒にも見えますが、この濃い赤茶色は私の好きな色。

大地を思わせるような濃い赤茶色のジャスパーを、神の領域と現世を隔てる「結界」の意味を持つしめ縄をイメージしたデザインを施したシルバーリングに仕立てました。

両サイドにLIBEROSの名前を刻んでいます。味わいのある手彫りです(笑)

神社の鳥居に飾られている大きなしめ縄は、神の領域と現世を隔てる『結界』の役割をしていると知り、リングのデザインにも取り入れてみました。

ジャスパーの雰囲気に合わせて、素材のシルバー925は燻しで黒っぽく。
リングの腕の部分もボリュームたっぷりでずっしりと重みを感じるほどですが、これもジャスパーという石の持つイメージに合わせたこだわり。

というのも、ジャスパーは地球の大地を象徴する石と言われているように、どっしりと落ち着いた気持ちにさせてくれる石。
地に足をつけ、生命力を沸き立たせ、勇気を出して前に進めるようなお守りになってくれると思います。

ところで、

糸魚川翡翠も出雲碧玉も、古代の日本における装身具、「勾玉」で有名ですよね。

糸魚川翡翠の勾玉は縄文時代から古墳時代にかけてよく用いられていましたが、日本の翡翠文化は奈良時代以降に忽然と途絶えてしまい、
それと入れ替わるように緑の宝石の代表として珍重されるようになっていったのが出雲碧玉だそうです。

今回、糸魚川翡翠と出雲碧玉、どちらも「日本の神々が宿る石」と言われているという共通点があり、古来から強い力があると信じられている石。

装身具だけでなく呪術的な要素もあるといわれている勾玉に使われるような特別な石だったのですね。

宝石のような華やかさや派手さはないけれど、神々の力が宿っていると崇められてきたほどの威厳と優しさが備わったこの石たちを、LIBEROSのお守りジュエリーとしてご紹介させていただきました。


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