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第2回『組織を変える5つの対話』読書会|アジャイル読書会@札幌

アジャイル読書会@札幌は、札幌でアジャイル開発を実践する(したい)メンバーが集まる、熱い読書会です。
参加者同士のディスカッションを経て、自分の仕事に活かすヒントを見つけることを目的に活動しております。
現在『組織を変える5つの対話』を読み進めております。

読書会の形式は、書籍の各章に毎回担当者を割り当てて、事前に発表のスライドを作成し、当日発表、その後ディスカッションのような形式です。

今回は11人の参加となり、かつての隆盛を取り戻すかのような賑わいでした。私としては、仕事へのヒントが得られて、とても満足な読書会となりました。

個人的な振り返りとして、読書会を通じて感じたことや、読書会後に振り返った事を、以下にまとめています。

第3章 信頼を築く対話

ウエスギさんの発表。

■3.4 対話:人のためのテスト駆動開発

参加者のディスカッションの中で、多くの時間を使い活発に議論されたのは、「人のためのテスト駆動開発」という、エンジニアの誰もが初めて見るキーワードである。
発表者のウエスギさんより、なんのこっちゃ?という相談のような切り口でディスカッションが始められたが、結論がまとまる段階になって、ようやく私も理解ができるようになった。
おそらく読書会に参加していなかったら、私は永遠になんのこっちゃ状態を脱出できなかっただろう。

以下は私が理解した「人のためのテスト駆動開発」のまとめである。

・前提として、組織における現在の状態が、テスト駆動開発でいうところの、エラーが発生した状態である。
・何がエラーを出力させているかというと「自身が信念に基づいて行動している事」でエラーが生じている。
 エラーが発生する理由は、自身と他者がそれぞれ「自身が信念に基づいて行動している事」で、お互いの解釈(ストーリー)に違いがある為に行動が違っている為である。

・エラーを改善していく、とするのであれば、エラーの原因を探らなければならない。エラーが起きているのだから、リファクタリングが必要である。エラーがどこにあるかを、「推論のはしご」を利用してあぶり出すのだ。

【推論のはしご】
7.行動
6.信念
5.結論
4.過程
3.意味
2.データの選択
1.観測可能なデータ

・はしごであるから、1→2→3→4→5→6→7、のように登っていく。
・対話の中で、お互いの解釈(ストーリー)の食い違いを見つける事が、エラー検出の方法である。
・エラーを見つけたのであれば、一旦そこで立ち止まって、リファクタリングをする。(この部分が、テスト駆動開発に似ている)
・リファクタリング後に再度テスト(お互いの食い違いの変化を確認)をする。
・エラーが解消(食い違いが解消)したのであれば、推論のハシゴは次の階段をのぼる。
・最終的にお互いの行動が変わる事を目指して一段ずつハシゴを登る。内省を経て「自身が信念に基づいて行動している事」の変容に、双方が自ら合意する事で、お互いの行動変容を実現する。

ちょっとした例をあげるが、私は最近職場で以下のようなやりとりをした。

(1) 私「以前の会議(私が不参加であったが、議事録で確認)で決定した事項で、時期が来たら動き出す事を合意していた件、すでに動くべき時期の認識だが、現状はどうか?」
(2) A「以前の会議では、システムのリリース後に検討開始でも遅くないという温度感であったため、検討していない。だがすぐに動くべきと理解した。MTGを行うか?」
(3) 私「私はその温度感であることを(議事録には記載がなかったため)認識していなかった。ご認識のとおり、システムのリリース後に検討としたい。」
(4) A「承知した」

この例はAさんが(2)にて、私が(3)にてお互いに『弱みを見せる(自己開示)』した事によって、チャット上でものの数分で終話した。
後からこのやりとりを振り返ると『お互いに信頼がある状態』であることがわかる。
なぜなら、「1.観測可能なデータ=(1)」のやりとりから始めて、一気に「推論のはしご」2~7を駆け抜けて、行動変容にまで落とし込む事に成功したためである。

仮に、信頼関係がお互いの間になければ、Aさんからは以下のような返答(防御的な反応)だったかもしれない。

A「そんな話は聞いてない(寝耳に水だ、あれから状況が変わっていてもおかしくないくらいの時間が経過している。改めて関係者を集めて頭から説明してくれなければ困る)」

■「解釈」と「ストーリー(ルビ)」という言葉の意味の関連性

本書の「解釈」という文言に「ストーリー」というルビが振られている事への違和感は、参加者のディスカッションの中で多く示されていた。
「解釈」という言葉の意味と、「ストーリー」という言葉の意味が、全く紐づかない、という理由だ。

実のところ、私はあまり違和感を持っていなかった。

事実 → 解釈 → 行動

というメカニズム(空・雨・傘フレームワーク)においては、事実に対する客観性と対照的に、解釈とは主観でありその人個人の「ナラティブ(物語・ストーリー)」によってもたらされるものであるから、のように考えているからだ。

補足であるが、
ナラティブ(物語・ストーリー)は個人の過去の経験や、保有する知識・スキルなどから構成されている。
ナラティブ(物語・ストーリー)は個々人で全く違うものを保有している為、双方には必ずギャップが存在するところから、人間関係は開始される。

本書ではハイパフォーマンスな組織を実現するために、ギャップを埋める事により、組織の中に信頼関係を確立する事を、対話の手法の基本的な最初のステップ、と説明している。

■補足:信頼とは

私は本書にて、60ページの「信頼」を説明している部分が気になった。

信頼という言葉の定義として辞書を引用し、以下のように説明している。
「相手が嘘をつかず、頼ることができて、言ったことをやってくれると信じること」

となると、逆に信頼できないとは、以下のような状態かな。
「相手が嘘をついていて、頼ることができない。言った事は行ってくれる事が期待できない」

しかし本書では、上の辞書の定義では充分ではないと言い切った上で、
「解釈(ストーリー)」が一致していること
、としている。

本章以降は、この信頼の定義に基づいて、実践的で具体的な方法の説明が行われる。

第4章 不安を乗り越える対話

フジカワさんの発表。

■不安チャート

第4章のディスカッションの中で一番多くの時間を費やしたのは、不安チャートの説明のところだった。

ダニエル・カール著「ファストアンドスロー」の話題(システムⅠ、システムⅡ)が本書の中で引用されていた為、実践的な体験などが多く語られた。
学術的な裏付けにはまだ課題が残されているものの、これを知っているだけでも随分と仕事の内容が違ってくる、のようなコメントがあった。

システムⅠが働くと直感的に辻褄合わせが行われるが、システムⅡにより検討することで、それの間違いに気が付く事ができる。間違いに気づいた状態で不安チャートの作成に進む事が、手順として紹介されている。

信頼関係の構築の為に、みんなの不安をチーム全体で見える化する(たとえばホワイトボードに貼っておく)と、良いのではないか、それがアジャイルらしい取り組みである、というコメントがあった。

■補足:逸脱の常態化

この言葉を聞いてはっとした(モヤモヤしていたことが初めて言語化できた!)のは、

「プロジェクト管理ツールで、タスクの期限日が過ぎているのにもかかわらず、誰も反応せずに放置、のような状態は、まさに”逸脱の常態化”」

、という事である。

逸脱の常態化は、表面化していない不安要素が原因で生じるという事が書かれており、これは初めて知った事である。

■懇親会の様子

美味しいご飯をいただきました。(私は飲めないですが、お酒も美味しいようです)


■次回開催

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回の開催が決定しておりますので、関心を持たれた方は、ご参加ください!





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