見出し画像

甲状線乳頭がんの手術と費用

2. 手術の決定

「がん」という病気になったことよりも、「がんになって、未来がかわる」かもしれないことのほうが、私はショックだった。できれば、このまま海外で働き続けたい。でも、「がん患者」というラベルを貼られた私はもう公募に受からないのかもしれない。本当は来年夏までの任期のこの仕事も諦め、帰国しなければいけないのかと思ったとき、はじめて涙が出た。

そして、両親は私の想像どおり「日本に帰国して手術・治療をしたほうがいい」といった。まわりの人も「ひとまず健康を優先に」と声をかけてくれたけど、これからも私は生きていく。だから、私は日本でまた一から検査をし、手術の日程を決め、その前後はコロナが落ち着き再赴任できるまでは仕事もなく、ただ「病人」になることが嫌だった。

ただし、アメリカで手術・入院をする場合は莫大な費用が掛かる。私の場合は一泊二日の入院だけで、総額約28,000ドル(約300万円)。最終的には検査費用や術後の検査・処置も含め、1,000万円以上かかっていた。これらは全額保険会社がカバーしてくれることになったものの、この交渉も一悶着あり、両親とも意見が分かれ、がんがわかってからの一週間は精神的につらかった。でも、最終的には両親も仕事の関係者も、こちらでお世話になっている人たちも、みんな私の意見を尊重してくれた。

ちなみに、私が確認したことは、以下の5つ。

1. 入院と手術に係る費用総額の見積もり

2. 手術の方法(日本とアメリカの違い)

3. 保険の適用範囲内であるか(薬の購入なども含め、いつまで適用されるのか)

4. どのくらいの休職期間が必要か

それから、人生ではじめての手術と入院生活に向けて、ちょっといいパジャマを用意することにした。

周りにも少しずつ甲状腺がんと診断され、手術することを伝えはじめた。思っている以上にいろんな人が「何かあったら言ってね」と声をかけてくれたことが嬉しかった。とくに、ここで家族をつくり、仕事をし、生活をしている人たちは、外国人として生活する大変さを理解しているから、お世辞ではなくて本心でそうやって話してくれているように感じた。

次は手術実施と手術後の話。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?