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【最ラブ七不思議・その5】日本版に登場していない艦船がある?

 複数の国や地域で配信されているオンラインゲームの場合、ローカライズで特定のバージョンだけ登場するキャラクターと言うのが(特にコラボレーション関係では)よくあります。最ラブの場合も例外ではなく日本版に登場していない艦船が2018年10月現在で2隻存在していますが、理由はそれぞれ異なっているようです。

扶桑(繁体字中文版のみ登場)

 まずは繁体字中文版『請命令! 提督SAMA』だけ登場している扶桑(画像左)。あの「違法建築」と呼ばれるタワー型の艦橋を持つことで有名な日本の戦艦で、航空戦艦への改造計画があったことでも知られています。

 この扶桑について特筆すべき事項は、何と言って艦船擬人化ジャンルの金字塔『Battle Ship Girl -鋼鉄少女-』で有名な台湾の漫画家・皇宇(ZECO)さんがキャラクターデザインを行ったこと。扶桑の登場は『提督SAMA』がリリースされた翌月にサプライズで発表され、ゲームのスタートダッシュに大きく貢献しました。

 性能としてはフッドの上位互換に当たり、スキル「武家栄耀」は敵艦隊への全体攻撃に気絶効果をプラス。協力関係は「優雅」「リーダー型」「確固不動」「日本」の4種類で、同系統のサムライガールな吹雪と全く同じと言う所が目を引きます。

 2017年末に登場してから今年9月の1周年まではアプリのアイコンに起用され、Facebookでは引き続きアイコンが使用されるなど『提督SAMA』の顔となっているだけに、日本版を含めて登場が待望されています。

舜臣(日本版以外に登場)

 もう1隻、日本版に登場していないのが李舜臣(イ・スンシン、画像右)。2003年に就役した韓国海軍の駆逐艦・忠武公李舜臣(충무공 이순신、チュンムゴン・イ・スンシン)が基になっています。

 前回のコラムで説明したように、本作は『少女艦隊』と題して韓国で最初にリリースされましたがゲーム内に登場する艦船の多くが現役だった第二次世界大戦当時で縛ると韓国にゆかりのある艦船は一切出せないと言うことになってしまうため、架空艦船が2隻登場していました。運営元のGamepubではリリース後に改めて新規登場艦船のデザインコンテストを開催し、大賞に輝いたのはペンネーム「パラソル」さんが描いた「忠武公李舜臣」でした(ゲーム内での実装に当たっては、メインイラストレーターのMadYYさんがリファインしている)。舜臣はプリンツ・オイゲンと並んでゲーム内では数少ないオッドアイが特徴ですが、元のデザイン案を見るとこのオッドアイが韓国の国旗に由来していることがわかります。このコンテストでの応募要件では、実在の艦船を基にしたものかどうかは問われなかったのですが結果的に自国の現役艦船がベースになったものが大賞になりました。

 ところが、既に退役している艦ならばまだしも現役艦船を登場させることに韓国海軍が難色を示したらしく、舜臣はゲームでの登場時には「ミリネ」(미리네)と言う変名の使用を余儀なくされてしまっています。このあたりは中国大陸版『艦姫』で大半の日本艦がリリース時の規制(現在は緩和された)により変名で登場しているあたりと共通の事情と言えるかも知れません。namu.wikiではこのあたりの事情に触れないままミリネを春香(日本版では「ローズ」)や九尾狐(日本版では「アンナ」)と同じ「パチモン」扱いしていますが、韓国版以外では基の艦に即して「李舜臣」(Yi Sun-sin)名義で登場しているため正確な記述とは言えません。

 ところが、この舜臣は日本版“だけ”登場していません。登場していない理由についてGamepubは特にアナウンスしていませんが、韓国では日本の戦国時代を舞台にしたゲームを出す場合、クレーム対策で文禄・慶長の役(朝鮮出兵)の当事者である豊臣秀吉や加藤清正を登場させないのが慣例化しているためその逆で秀吉の侵攻を退けた武将の名前を冠した艦船の登場を日本版に限り自粛していることが考えられます。Gamepubのこの措置に関しては賛否両論あるところだと思いますが、個人的には「過剰な自粛であり、普通に日本版へ登場させるべき」だと思っています。

日本版“だけ”登場している艦船と図鑑番号の対応

 扶桑と舜臣の逆で、日本版“だけ”に登場している艦船も存在します。それは2017年12月から今年1月まで開催された『キング・オブ・ファイターズ』とのコラボレーションにより登場した不知火舞(巡洋艦)と麻宮アテナ(駆逐艦)の「擬人化」ならぬ「艦船化」した2隻で、日本版以外でもこの2隻に割り当てられた図鑑番号(舞はNo.061、アテナはNo.062)は空いたままになっています。

 逆に、日本版でも未登場の扶桑(No.056)と舜臣(No.059)は図鑑番号が空欄になっています。現在のところNo.049と066はどのバージョンの図鑑でも欠番になっていますが、一部の情報では049がイギリスの空母フォーミダブル(イラストリアスの姉妹艦)、056がソ連の駆逐艦レニングラード(『艦姫』と『請命令! 提督SAMA』の全サーバー大戦告知画像でそれらしきキャラクターが登場している)とされていました。ただし、056は扶桑に割り当てられたため「未定」扱いだった066がレニングラードの図鑑番号となる可能性があります。

 また、繁体字版『提督SAMA』でも韓国版『少女艦隊』が行ったのと同じように、扶桑のキャラクターデザインを担当したZECOさんを審査委員長に迎えてイラストコンテストが開催されました。こちらのデザイン部門で大賞を取ったのは戦後の一時期に中華民国海軍へ貸し出され「霊甫」と名付けられていたイギリス海軍の駆逐艦メンディップですが、残念ながらこちらは「将来ゲームに登場させる予定」とされながら1年近くを経過しても追加に関する情報が出ていません。

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