コーディングだけがLe Wagon Tokyoじゃない
Le Wagon Tokyoの生徒はコーディングに多大な時間を費やします。厳密には400時間以上です。私たちのプログラムは「手を動かしながら学ぶ」といった実践的なスタイルを重要視しており、理論に関する座学は最小限に抑えています。レクチャーでも、毎日の課題でも、ライブコードセッションでも、ほとんどテキストエディタへのコードの打ち込みに時間を費やします。
全てのプログラムは「手を動かしながら学ぶ」実践主義を基本として、理論に関する座学を最小限に抑えます。
Le Wagon Tokyoの最終目標は未来のデベロッパー、アントレプレナー、プロダクトマネジャーなどを育てることです。なので、仕事探しやスタートアップの立ち上げに必要なソフトスキルも大事にしています。それはチームワークと協調性、UX/UIデザイン、ピッチと製品開発などなど。で、そんなスキルがどうやって身につくのでしょうか?それは、実際に実践することで学ぶのです。
この教育方法は完全に既存のフレームワークに当てはまるわけではありませんが、近年の業界で必要とされるスキルに沿ったもので、ブートキャンプの生徒もここで学んだソフトスキルを日々の仕事で活用しています。では、一体どのようにしてLe Wagon Tokyoはコーディング以外のことを教えているのか、紹介してゆきたいと思います。
チームワークとコラボレーション
Le Wagon Tokyoでプロジェクトウィークに入る時、まず第一に生徒に伝えることは、「優秀なデベロッパーを集めたら立派なプロダクトができるという訳では全く無い」ということです。実は、プロのデベロッパーがコーディングに費やす時間は1日のうち半分以下で、ほとんどはコラボレーションに時間を費やしているのです。
ツール
GitHubはよく使われているツールなので、プロジェクトウィーク中はブランチとかマージコンフリクトに毎日一定の時間を割くことになります。つまり、初日から、最も軽視されているであろうGitHubのスキルについて学ぶことになります。それは、「意味があるコミットメッセージを書くこと」です。(つまり、「やっとこのフィーチャーが動いた!」とか書いても全く意味がないということです。)
プロジェクトマネジメントに関しては、リストとカードさえあれば十分だと考えています。Trelloというアプリはこの仕事にぴったりです。このアプリを使って、ユーザーストーリーを書く、フィーチャーを頭に入れて開発する、仕事を小分けにして作業しやすくすることなどが学べます。
最後に、Slackはスタートアップから大企業まで仕事場で一番人気あるメッセージアプリとなっています。日々のメッセージは全部Slackを通してやりとりされます。このアプリのおかげで日本にいるLe Wagon Tokyoの生徒は海外の生徒ともコンタクトを取れるのです。
ベストプラクティス(最適な方法の習慣づけ)
コーディングに関しては様々なベストプラクティスがありますが、普通の座学では教えられないようなものもあります。IT業界で需要が高いスキル:SRP、変数の宣言、テスト駆動開発、クリーンコードを書くスキルなどは実習して勉強するしかないのです。
ベストプラクティス(最適な方法の習慣)はどうやって身につくのでしょうか?まずは、コードを書くときは「この方法しか使わない」というルールを決めることです。また、我々の教師陣は、悪い習慣を嗅ぎ分けるプロになってしまったので、生徒さんが書いたコードがベストプラクティスに沿っているかをスグに判断できます。さらには、Rubocopを使ってコードに正しいインデントがついているか確認できます。
このベストプラクティスはチームワークの一種です。このベストプラクティスを使うと、人が書いたコードの理解に費やす時間が少なくなります。例えば、引き継いだ仕事を理解して完成させるまでに2時間かかっていたものが、20分で出来たりするのです!
コラボレーション
Le Wagon Tokyoでは毎日チームメンバーの役割をきちんと伝えてから始めます。これはスクラムの根幹で、Le Wagon Tokyoで使用される最も重要なチームマネージメントの方法論です。
プロジェクトウィークの時は教師陣がスクラムマスターとして、不安要素を解消し、タスクの優先順位をつけ、みんなが最も生産的な1日を送れるようにします。
プロダクト・ドリブン(製品駆動)開発
コードを書けるというのは素晴らしいスキルです。プロダクトを作ることが出来ます。製品開発を中心軸に据えた(プロダクト・ドリブン)このブートキャンプは、そういった開発に重要なチャレンジ全てが毎日の課題に組み込まれるよう設計されています。
イテレーション
デモデイにピッチするプロダクトは2週間ほどを費やして開発されます。毎回ローンチできるような状態のウェブアプリを作るというイテレーションを行うことで、迅速にバグを見つけたり、細かいデザインの調整をしたりして、全体的なユーザービリティも改善することができます。
最後の2週間は3回の小規模ピッチセッションのを行い、常に締め切りのプレッシャーをかけて、どのチームも必ずある程度の完成形は出来上がっているように準備させていきます。この「作成・ピッチ・学ぶ」のサイクルを積み重ね、早くから使えるソフトウェアを作り続けることは、アジャイルソフトウェア開発の根幹です。
ユーザーストーリーを常に頭に入れておく
「コードとは、製品を作るための道具でしかない」というのは大原則ですが、製品のフィーチャーはユーザーの求めているもののみ追加するべきだとも考えています。これは当然のように思われるかもしれませんが、未だにエンドユーザーに意味がない技術的な自己満足フィーチャーを中心に据えて開発してしまうデベロッパーや企業家は多いです。
興味深いことに、デモデイで見られる一番素晴らしい技術的フィーチャーは、開発プロセスの最後の方で加えられたものである、といったことがしばしばです。そういった要素は必ずといって良いほど、ユーザーの使用性を高くする目的で入れられています。なので、Le Wagon Tokyoで開発されるウェブアプリのそういった要素は「クール」とか「面白そう」という自己満足的な理由で加えられることはないのです。
最終的プロジェクトのビジョンを持つ
素晴らしいウェブアプリはどのようにして生まれるのでしょうか?優秀なデベロッパーを1つの部屋に2週間閉じ込めたら出来あがるだろう…と思っていませんか?そんな簡単な事ではないのです。
東京のブートキャンプを3年間続けて私たちが気づいたのは、素晴らしい製品を作るのにはチームの士気と製品のビジョンが何よりも一番重要だということです。
このようなソフトスキルのおかげでプロダクトマネージャーのようなユーザー中心的な仕事もできます。
製品のビジョンがなければ、一貫性のあるヴィジュアルアイデンティティや、ユーザージャーニーのある製品を届けることはできないのです。つまり、はじめのアイデアが製品の特別なフィーチャーに集中しすぎて、実際のニーズをや全体の目的を忘れてしまうと、なくても困らない製品(nice-to-have product)が生まれてしまいます。ちゃんとしたビジョンがあれば自然と、論理的にユーザージャーニーをまとめ、ユーザーのニーズ満たすアプリを作成できます。
このようなソフトスキルのおかげで、我々の生徒はより良いエンジニアになるだけではなく、プロダクトマネージャーのようなユーザー中心的な仕事もできるようになります。
UX・UIデザインとピッチ
あなたが普段使っているアプリはなぜ美しい見た目で、且つ、使いやすいのか考えたことはありますか?なぜスタートアップの創業者はみんな、会社を上手にピッチできるのか考えたことはありますか?理由は自然淘汰です。つまり、使い難いアプリは削除されて、ピッチが下手くそな創業者は開業資金をもらえないのです。
アプリ開発とピッチはどうやって上手になれるのでしょうか?練習あるのみです。
ピッチ
ブートキャンプに参加すると、最低でも合計8回のピッチセッションを行うことになります。
Le Wagon Tokyoのピッチ訓練は、正直、自慢できるほど効果的です。すごくシャイな人もステージで楽しく発表できるようになります。結果が動くか動かないかの二進数的なコーディングとは異なり、ピッチではスペクトラムで色々な言葉とトーンを選択してアイデアを伝えます。
また、完璧なピッチはどんな製品でも売り込むことができます。お客さんの目を引いて、ニーズに共感してもらい、製品のシンプルさを見せるのです。
UX・UIデザイン
プログラムの半分が終わってから、一日外へ出てデザイナーの生活を体験してみます。午前9時から午後6時まで、製品ピッチの書き方、ユーザーペルソナ、ユーザージャーニーの書き方、機能プロトタイプのデザインなどを勉強します。
この内容で1日は短すぎると思うかもしれませんが、1日で必要なことは全て学べます。他の会社ではこのプロセスは普段1ヶ月か2ヶ月かかりますが、Le Wagon Tokyoでは製品のプロトタイプは1日でできるということを皆さんに知って欲しいです。
プロダクトスプリントでは製品のプロトタイプは1日でできるということを学ぶ
Le Wagon Tokyoの「作成・ピッチ・学ぶ」のプロセスではUIとデザインに関してもとても重要で、如何にしてカラーパレットやボーダーの角丸、シャドウなどのアプリ調整をするべきかも学ぶことができます。
デザイナーじゃなくても美しいアプリを作れるということを皆さんに理解してもらうことで、人々にありがちなデザインに関する精神的な壁を崩します。スタートアップを創業したかったら「私はデザイナーではない」という言い訳はもう通用しません!
フルスタックエンジニア、プロダクトマネジャー、アントレプレナーに必要なスキルセット
殆どの生徒はコードを習って「技術的なスキル」を得ることを期待してブートキャンプに参加します。
ブートキャンプの終わりには、殆どの生徒はエンジニア、アントレプレナー、プロダクトマネージャーなどんな業界のどんな仕事をしてもコーディングの技術的なスキルは必要な能力の一部でしかないことに気づきます。最終的にはコラボレーションと、短時間でのプロトタイプ作成の重要さを学ぶでしょう。
しかしながら、Le Wagon Tokyoを唯一無二のものにしているのは、学べるスキルの内容ではなく、それを学ぶ方法です。Le Wagon Tokyoには眠たい2時間の座学などありません。くる日も来る日も手を動かし、知らず知らずのうちに、必須のソフトスキルが身についているのです。
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