小児科の待ち合いで気づいた長男と自分の成長
待ち合い室の片すみに座り、長男はタブレットでYouTubeを見てムフムフ笑い、母である私は本を読みながら含み笑していた。
周囲からはオタク親子が、ニヤニヤしているようにしか見えないだろう。だけど、私は長男と自分の成長を感じるひとときだった。
小児科の待ち時間は長い
私はこの1週間に2回小児科に通った。
一度目は次男の発熱、二度目は長男の発熱。
今回長男の熱は40度まで上がり、だいぶ辛そうで、看病する私も寝不足だった。ぼうっとする頭で小児科の受付が開くのを待つ。診察開始時間の45分前だが、すでに3人ほど並んでいる。
たとえ、早めに受付をしても結局待ち時間は1時間半くらいになる。早くから待つか、遅くから待つかのどちらか。
多動の我が子の思い出
私は、待ち時間に長男の多動で幾度と悩まされてきた。小児科の待ち合いだけではなく、ベビー体操教室や、キッズヨガ体験……
長男は入口のドアをエンドレスに開け閉めしたり、ベビースイミングの体験では更衣室から爆走して行方不明になったこともある。スーパーで会計後に袋詰めするときも、息子から目を離さず袋詰めしていたら、度々カゴに忘れ物をして帰っていた。
「お母さん、大変ですね」
そう言ってくれるとありがたかったが、ヨガの先生には「お母さんがちきんと受け止めてあげないから」と言われ、しばらく落ち込んだこともある。
多動のある子の子育てをしていると、「待ち時間」は憂鬱を通り越して恐怖でもある。
小児科では、子ども目線の絵本や玩具も置いてある。家にはないおもちゃに興奮して「お母さんもコレ見て! 一緒にしよ!」と、母親参加型の遊びを提案されるのだ。
発熱や感染症の疑いで受診していると、息子とまわりの子たちとの距離感も気になる。ウルトラマンがM78星雲に帰るふりをしながら、人のいないところへ誘導していた。
久しぶりの小児科待合室
いつも、気持ちが落ちつかない小児科の待ち時間だったことを思い出す。長男は小学生になり、小児科のお世話になることも少なくなり、今回久しぶりの受診だった。
熱がある長男のためにYouTube鑑賞用のタブレットを持参した。普段は、YouTubeは見せすぎないようにしているが、体調の悪さを紛らわせるために持参した。
長男はまいぜんシスターズを観てムフムフ笑い、待合のソファから降りてウロウロすることはなかった。YouTube効果と発熱のしんどさでおとなしく座っているのかもしれない。だけど、幼い頃連れてきたときの待ち時間との違いに、長男の成長を感じた。
私自身も、YouTubeみせてもいいやん、という余裕ができたのだ。
憧れの座って待つ時間
私は、待ち合いの本棚からヨシタケシンスケさんの『ヨチヨチチチ』を手に取った。長男の横で本を読みながら待合室で過ごすことは、幼い息子を連れていたときの私にとって夢に見た時間だ。
おもちゃコーナーに年中さんくらいの子どもがトミカの駐車場をひっくり返し、それを片付けるママの姿が見える。彼女は子どもに優しい声掛けをしながら付き合っていた。
「どうしてうちの子は落ち着きがないんだろう」
いつもまわりのおとなしい子と比べイライラしていた私と、正反対のママの姿だった。
その姿が尊くて、少し涙ぐんでしまった。もう、あの時間は戻ってこない。
「よく頑張ってるよ」と、過去の自分に伝えたい。
理想のママではないけれど、自分なりに精一杯やっていた。
長男の体調は良くなり、そろそろ登校できそうだ。
今日も小児科の待合室には頑張る父母たちが順番待ちしているのだろう。
育児に疲れたときに読みたい一冊⤴︎
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