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東海汽船ミステリーきっぷ旅(さるびあ丸編)

ミステリーきっぷこと伊豆諸島島流しガチャ

東海汽船のミステリーきっぷツアーに参加した。

当日、乗船券を発券するまで行き先不明のミステリーツアーである。

東京の竹芝桟橋を22時に出航し、翌日に伊豆諸島のどこかの島に着く。
行き先は大島、利島、新島、式根島、神津島のうちのどこかという島流しガチャである。

全然ミステリーじゃなかった行き先

発券にてはじめて行き先が告げられるミステリーきっぷだが、わたしは実は発券前の段階ですでに自分の行き先が大島であることをわかっていた。

なぜわかったかというと、普通に運行状況と天候を調べたからである。

わたしの出発日は、大島以外の島の運行状況が「条件付き就航」になっていた。
条件付き就航とは、「いちおう向かうけど、到着地の海上状況によっては接岸できないかも」というものである。飛行機にも似たようなものがある。

ミステリーきっぷで船に乗る客は、「絶対に行かなければならない島があるわけではないが、面白そうだからどこかの島に行きたい」という状態である。
なんとしても行かなければいけない島でもないのに、もしかしたら上陸できずとんぼ返りの可能性のある条件付き就航の行き先が選ばれるとは考えにくい。

このような理由で、発見前に運行状況を調べた時点で「大島だな…」と予想はできた。ミステリーきっぷをせっかく買ったのに、迂闊に運行状況を調べてしまったためまったくミステリーではなくなってしまった。なんのためにミステリーきっぷを買ったのか自分でもわからない。

名探偵コナンで、コナンが行き先不明のミステリートレインの行き先を、他の電車の運行状況から推理していた回があった。そんなコナンを見たとき、「せっかくのミステリートレインなのに…」と思ったが、まさかの自分も同じことをやってしまった。勝てなかった。ミステリーを暴きたいという気持ちにわたしは勝てなかった。ミステリーをミステリーのままにしておとなしく待っている才能がわたしにはなかった。

自分の行き先が大島であることをわかっていたため、発券前に旅客船ターミナルで大島のチラシをもらったり、スマホで大島の観光地を調べたりと有意義な時間を過ごした。

さるびあ丸で帆高くんになったつもりで夜景をみる

さるびあ丸に乗った。

さるびあ丸

『天気の子』で帆高くんが東京に家出してきたときに乗ってきた船である。

『天気の子』(新海誠)東宝

彼は伊豆諸島の神津島出身であるらしい。
このカットにも使われているように、東京湾に入ったさるびあ丸は、レインボーブリッジの下を潜る。橋を渡ることはあっても潜ることは滅多にないので、珍しい角度からレインボーブリッジを見ることができる。下から見るレインボーブリッジは迫力があり、神津島からひとりでやってきてこの巨大な橋をくぐったとき、帆高くんはどんな気持ちだったのだろうと思った。

さらに進むと、羽田空港が見える。
夜の羽田空港の上空には、フライトライトを点灯させている飛行機が何機もおり、ぐるぐると旋回している様子が見られる。折り鶴のメリーゴーランドのようで見ていて楽しい。

羽田空港も過ぎると、そろそろ夜景は見えなくなる。ひたすら暗い夜の海しか見えない。
夕食は普通に食べたのになぜかお腹が空いたので、23時前にシーフード味のカップラーメンをデッキの席で食べた。カップラーメンは船内の自販機で売っている。
船内に戻るとき、近くの席にいたカップルに「そのカップラーメン、船内で買えるんですか?」と聞かれたので、自販機の場所を教えた。「めっちゃいい匂いでした」と言われた。

2等和室 どこでも寝られる才能があると快適

部屋は2等和室だった。雑魚寝部屋である。

さるびあ丸 2等和室

雑魚寝部屋とはいえ、プライバシーに配慮して顔の部分にはパーテションがついている。
スペースはかなり狭いが、このパーテーションのおかげで隣の人のことは案外気にならない。

また、さるびあ丸には女性専用席がある。わたしが割り当てられたのも女性専用の部屋だった。
8人部屋で、6席は埋まっていた。

「夜行船はおっさんたちが酒を飲んで喋るのでうるさい」と誰かから聞いたことがあったが、全くそんなことはなかった。みんな本を読んだり漫画を読んだり寝たりで思い思いに過ごしていた。ちなみに、出航から30分ほど経つと電波がほぼ届かなくなり、ネットは使えなくなる。基本的に出航してしてしまったら電波はないものと思ったほうがよい。

23時半が消灯時間だった。消灯時間なんてまるで修学旅行のような響きだ。
消灯時間を過ぎると、船内の一部の照明を除き、消灯される。そして客室での会話や食事は禁止となる。

わたしは仕事帰りにさるびあ丸に飛び乗って普通に疲れていたため、消灯時間になってすぐに寝た。夜間に同室の人のいびきで一度目が覚めたが、またすぐに寝た。次に起きたのは翌日5時半、あと30分で大島に到着のアナウンスで起こされた。

そういえばわたしは昔からどこでも寝られるタイプだった。電車で寝て、飛行機で寝て、そしてやはり船でも寝た。硬い床の上で、「硬いな〜」と思いながらもしっかり寝た。どこでも寝られるという才能は旅行に有利に働く。

持ち物

夜行船に乗るのは初めてだったので、事前に持っていくべきものを調べた。酔い止め薬、耳栓、雑魚寝部屋なら軽量マットレス、飲食物、Kindleなどを持ち込むよう推奨するブログが多かった。

持って行ってよかったもの

・タオル
タオルの貸し出しはない。朝起きた後トイレの洗面台で顔を拭くのに使う。
わたしは使わなかったが、船内にはシャワー室もある。ここでもタオルの貸し出しはないため、タオルを持っていかないとビショビショのまま服を着る羽目になる。

推奨されていたが要らなかったもの

・耳栓
騒音は気にならなかった。船なので確かにずっと機械音はなっているのだが、すぐに慣れて気にならなくなった。「下の方でブーーーンってなんか音鳴ってるな〜」と思っているうちに寝た。同じ部屋の人のいびきで一瞬起きたが、「姉のほうがいびきうるさいな」と思って、すぐにまた寝た。

・酔い止め薬
酔わなかった。わたしは乗り物酔いをしたことがないのだが、夜行船は初めてだったため、念のために買っていった。が、案の定酔わなかったので出番はなかった。これでわたしは陸海空酔わないことがわかった。
ちなみに、東京から伊豆諸島の航路は比較的穏やかであることが多いらしい。荒れまくる海を航る船に乗ったら話は別かもしれない。

・飲食物
船内で売っているので持ち込まなくてもよい。船内での価格も特段高くはなかった。さらに、船内にはレストランもある。
飲食物は嵩張るので、わざわざ持ち込まなくてもいいかなという気がした。

・Kindle
行きも帰りもほぼ寝ていたため。

持っていけばよかったもの

・軽量の寝袋やマットレス
和室の床は硬い。わたしはコートを下敷きにして寝たが、それでも硬い。
船内では1枚100円で毛布を貸し出している。私は1枚借りて掛け布団がわりに使ったが、人によっては2枚借りて、うち1枚は床に敷いて寝ていた。
Amazonで探してみると、安価な寝袋やマットレスが結構あるようだ。
今回は7時間程度の船旅だったため必要なかったが、もっと長い時間乗っていなければならないなら床の自分の間に何かしら柔らかいものがあったほうがいい。

・ポシェット的な小さい鞄
貴重品を持ち歩くためのバッグがあったらよかった。うっかりリュックひとつで船に乗ったため、デッキに出るのに全ての荷物を持ち歩く羽目になった。財布とスマホが入るくらいのバッグはあったほうがよかった。

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