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今年の漢字は「爪」
爪の世話をした2024年だった。
そういえば私って深爪すぎ……?となった2024年1月からネイルサロンでジェルネイルをしてもらうようになった。ジェルは自爪より硬いので、自爪のように易々と齧りとることができず(私は爪を噛む癖がある)、ジェルネイルを続けている間は爪が伸びた。今年は人生で初めて私の爪が縦長になった年だ。
爪を齧りとっていたくらいだからもともと爪への美意識はないに等しかった。指先をきれいにしているとちゃんときれいにしている人だな、と人から思ってもらえることは知っていたけど、とはいえ寝ている間に、意識のない間に噛んでしまって朝起きたらガタガタの深爪になっているのだから仕方がない。
ジェルネイルをしてから、人の爪に目が行くようになった。
信号待ちのときにとなりでスマホをいじっている女性や、電車で吊り革を持っている女性。ネイルを始める前はネイルは若い女の人がやっているものだと思い込んでいたけど、まわりを見てみるとそうでもない。貫禄のあるマダムもかなりデコレーションされたネイルをしていたりする。
私はネイルを始めるまで、爪に好きなものを乗せるという発想が全くなかった。ネイリストさんに流行っているネイルのデザインを聞いたり、友達のネイルを見せてもらったりすると、爪のデザインの多様さに驚かされた。
私がジェルネイルを始めたのは2024年1月だった。「今どんなデザインをオーダーされるお客さんが多いですか?」とネイリストさんに聞いたら、「そうですね、お正月前は紅白とか金みたいなおめでたい派手なデザインが人気だったんですけど、今はチョコっぽいデザインですね。来月バレンタイン来ますし」と教えてもらった。爪に季節を乗せることができるとは知らなかった。夏には爽やかな色が流行り、秋にはこっくりした色が流行るらしい。
爪は顔よりも自由度が高い。顔には決まったパーツがあるが、爪にはない。爪は完全な面だからなんでも好きなものが描けるのだ。
SNSで「ネイル」と検索すると色々なデザインが出てくる。ゴールデンカムイのファンのお姉さんらしき人は爪に一面の宇佐美を描いていた。
ジェルネイルを始めて半年ほどで爪はそれなりに伸びた。
昔から長い爪に憧れていたので、ずっと深爪だった自分の指に長い爪がついているのは不思議な感じだった。
しかし、長い爪には長い爪なりのデメリットがあった。指先がほとんど使い物にならない。27年間深爪だった私は触覚の相当の割合を指先の感覚に頼っていたが、指よりも長く伸びる爪が指に乗ると、指先の触覚が使えなくなる。指の腹を使う、という動作が私に身についていないので、長い爪のときはiPhoneのカメラのシャッターを何度も押し逃した。
結局自分にベストな長さの爪は、深爪ではない、しかしギリギリ指から出ないショートネイルに落ち着いた。
私は仕事で客先を訪問することがあり、上司に「ネイルってしていても問題ないですか?」と聞いたところ、「長くないし別にいいんじゃない?」とのことだった。ビジネスマナー的には色柄よりも長くないことが重要なのかもしれない。
ジェルネイルは爪をやすりで削る。あまり頻繁にジェルネイルをするとどんどん爪が薄くなって弱ってしまうので、たまに休息期間として自爪で過ごしている。これを書いている今はまさにその期間だ。
この休息期間にもネイルケアをするようきなった。深爪だったときには絶対にしなかったことだ。
クリスマスのセールで、ネイルオイルをふたつ買った。ひとつは保湿力が高いもの。これはホームケア用。もうひとつは持ち運びができるペン型のもの。外出先や旅行先ではこちらを塗る。
私は忙しくなるとついついセルフケアをサボるので、仕事が立て込んでいる時期にはネイルケアも忘れてしまうこともあるのだが、できるだけ毎日するように心がけている。今はジェルネイルに頼りながら爪の調子を整えているけど、最終的には自爪できれいな爪になりたい。