![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/122936839/rectangle_large_type_2_34dcbb063cf0d1fb3a722e632816d634.png?width=1200)
心はきっと届くもの #贈りnote
おだんごさんの企画に参加させていただきます。
この企画、おだんごさんらしいおだんごさんならでは
愛の🍡三色だんご✨だなぁって。
愛と愛と愛を並べたら、おだんごさんになるんだね。
どなた宛にしようか、やっぱりnoteの中のお友達にしようと思って考えていました。ところが、あの人のお顔もこの人のお顔も浮かんできて、タマリマセンネンキュウとなってしまいました。
そして、思い浮かんだ人がいます。もう届けられない手紙、おだんごさんの企画にのって飛んでいきますように。
アネッタ様
拝啓ごめんください。(って英語でどう書くんでしょうね)
ノルウェーの冬、あれは二十六年前のクリスマスのことでした。
オスロ中央駅から夜遅い電車に乗って、あなたの住む街に向かいました。雪と夜に包まれた初めてのノルウェーに胸をときめかせながら、しんしんと進む電車はまるで銀河鉄道のようだと思ったことを思い出します。
そうしてたどり着いた小さな駅、もう日付を跨いだ深夜です。改札を抜けた私の目に飛び込んできたのは、雪の中を走ってくる臨月のあなた。大きなお腹をものともせず、ボブの金髪に縁取られて大きな笑顔でこちらに向かって疾走してきました。
アネッタ、やめて〜〜。歩いて〜〜〜。
滑って転んだら大変だから〜〜。
と叫んだ私に「だいじょうぶよ!」とにっこり微笑んだあなたは、私より五つも年下だったけれど、十歳くらい年上に感じるくらい貫禄がありました。
家族で使っている小さな別荘を丸ごと貸してくれて、ノルウェー料理を振る舞ってくれたり、古く歴史のある街を案内して日本の白はんぺんそっくりのフィッシュケーキを紹介してくれたことも、イケメン(という言葉を使うのが恥ずかしいくらいにカッコよかった)な入籍間近な恋人も一緒に山盛りのムール貝を食べたことも、昨日のことのように思い出します。どれもこれも食べ物のことばっかりじゃない!と言われそうですね。そうなんです。食べ物のことばかり、思い出します。
いえいえいえ、そんなことはありませんよ。雪で真っ白な小さな港に並んでいた、カラフルな小さな家も可愛かったなあとか、編み物ができないとノルウェー女性とは言えないのよといいながらせっせと赤ちゃんのセーターを編んでいた姿も、お母さんや妹さんと一緒に「ノルウェーワッフルだって美味しいよ!」といいながら、みんなでワッフルを作ったことも、あ、また食べ物に話が戻ってしまったね。全部全部楽しくって愛おしい思い出です。
でも何より、あなたの凜とした強さを思い出します。あなたはこう言いましたよね。
私、ピルを飲んでたのよ。
飲み忘れてないの。
ピルの説明に「99%妊娠を予防します」って
書いてあったの。
だからこの子は1パーセントの可能性で
生まれてくる奇跡の子なのよ!
と。それからこうもいいました。
産む子供はこの子1人って決めてるの。
世の中にはたくさんの子どもたちが
親を失って家族を求めてるから
産む代わりに何人か養子として
受け入れようと思ってる
私は衝撃を受けました。まだ二十代そこそこのあなたの凜とした言葉に。自分がまだ赤ちゃんみたいな世間知らずだとも。あなたはもっと考えて、もっと自分の意思で、そして自分の力で生きていくべきだということを教えてくれたのです。
あれから、母として妻として、何より一人の女性として素敵に生きてきたでしょうね。その年月を聞いてみたいのです。私も頑張ってきたよ、いろんなことがあったけど、とゆっくり話してみたかったのです。でも残念ながら連絡先が今はわかりません。
けれど、この手紙はきっとあなたのところに届くと思います。風に乗って、雲に乗って、雪になって、きっといつか。人と人の思いはいつもつながっているから、私が思うようにあなたもきっと思っているんじゃないかなって。
本当に奇跡が起きて、いつか会える日が来るといいな。
じゃあまたね。
♡
二十五年くらい前、在米時代に知りあった
ノルウェー人のアネッタに向けて書きました。
連絡がとりたくて、数年前に、
彼女のかつての住所に手紙を送ってみましたが、
かえってきてしまいました。
だからもう手紙を出すことができないんです。
けれど、おだんごさんのおかげでこうして手紙が出せました。
心ってきっと届くと思います。
ふわっとでも感触が届くはずと信じています。
私、厚かましくもA賞を希望します。
というのも中川さんのファンです。
私の固定記事のトップ画は、
ちょうどこのおだんごさんの企画の
トップ記事と一緒なんですよ。
おだんごさん、ありがとうございます。
出せなかった手紙を出すことができて
とっても嬉しいです。