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長所を伸ばすか、短所を是正するか
私たち人間は、この地上での生活の中で教育を受け、仕事を得て、それによって自分と家族を養いながら生活していきます。まさに、額に汗してパンを食べなければならないのです。
そんな世の中にあって、自分の能力を発揮するためには、大きく考えると2つの方法があります。
1つは「長所を伸ばすこと」、もう1つは「短所を是正すること」です。自分の得意なこと、高い能力を有しているものをさらに伸ばすか、苦手なこと、できないことを是正、改善していくか、人はこの2つのバランスを取りながら、自分の能力やスキルを高めていきます。
この2つ、どちらも同じウェイトでやることは時間的に難しく、結果的に人はどちらにウェイトを置くかを選択しなければなりません。
「長所を伸ばす」ことと「短所の是正」と、人生においてどちらをより優先して取り組んでいけばいいのか、今回はそれについて考えてみたいと思います。
「長所を伸ばす」方が圧倒的に大事!!
この問題に対して、結論から言いますと、「長所を伸ばすこと」の方が、圧倒的に大事です。
その理由としては、「短所の是正」はマイナスがゼロ(一般人レベル)になるだけですが、「長所を伸ばす」ことはプラスがさらに大きなプラスになるからです。
仕事、それを使ってお金を得ることには、一般レベル以上のスキルが求められます。一般人ではできないことができるから、一般レベルではやらないようなことをやれるから、それに対して対価を支払ってもらえるのです。
短所であるできないこと、苦手なことができるようになっても、それはどんなにがんばっても所詮一般人レベルに到達するのが関の山です。それではプロフェッショナルとして仕事に活かすことはできません。
仕事として対価を得るためには、長所である得意なこと、研鑽してきたスキルをさらに伸ばし、磨いていくことが大事なのです。
そのことは、聖書にも有名な「タラントのたとえ話」として載っています。
すなわち、それぞれの能力に応じて、ある者には五タラント、ある者には二タラント、ある者には一タラントを与えて、旅に出た。
五タラントを渡された者は、すぐに行って、それで商売をして、ほかに五タラントをもうけた。
二タラントの者も同様にして、ほかに二タラントをもうけた。……
だいぶ時がたってから、これらの僕の主人が帰ってきて、彼らと計算をしはじめた。
すると五タラントを渡された者が進み出て、ほかの五タラントをさし出して言った、『ご主人様、あなたはわたしに五タラントをお預けになりましたが、ごらんのとおり、ほかに五タラントをもうけました』。
主人は彼に言った、『良い忠実な僕よ、よくやった。あなたはわずかなものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ』。
二タラントの者も進み出て言った、『ご主人様、あなたはわたしに二タラントをお預けになりましたが、ごらんのとおり、ほかに二タラントをもうけました』。
主人は彼に言った、『良い忠実な僕よ、よくやった。あなたはわずかなものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ』」。
主人が下僕に与えた「タラント」は、神が私たちに与えられた才能、能力、長所などの賜物を象徴しています。この物語では、二人の下僕はどちらも自分に与えられたタラント、すなわち才能、能力をさらに伸ばすことで、主人から褒められました。
この物語から読み取れることは、長所を伸ばすことこそが、私たちが人生において取り組むべき優先事項であることです。
もちろん、短所の是正は必要ない、一切してはならないわけではありません。優先度、重きを置く比重の話です。ただ、短所や苦手なことを是正しても、それは一般レベルになるだけで、仕事にはあまり役立たないことを覚えておきましょう。
日本の名言に「一芸は万芸に通ず」「一道は万芸に通ず」という言葉があります。これは世阿弥や宮本武蔵の言葉として伝えられており、意味は「特定の技術や芸を極めることで、他の多くの分野にも応用できる」というものです。
つまり、長所として自分の強み、武器を磨き、伸ばすことは、同時にそれに隣接する分野をも高めることに繋がり、さらには短所である苦手なことをカバーすることも可能になるのです。
だから、私たちは「長所を伸ばす」ことに、よりウェイトを置いて、自分に与えられたものを伸ばし、それを使って収入を得、またそれを使って人を助け、人の役に立つことに、取り組んでいくことが重要なのです。
それに「好きこそものの上手なれ」の言葉通り、苦手なことはつまらないですが、得意なこと、好きなことをやっていくのは楽しく、努力も苦になりません。そうして、知らず知らずのうちに自分の長所が伸ばされていくのです。
皆さんの長所、得意なこと、好きなことは何でしょうか。
ぜひそれを高め、伸ばし、それを使って働き、人を助け、人生を豊かなものにしていきましょう。