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セミナリーの「人生の備えレッスン」とは何か? どう教えるか?
セミナリー教師に召されている筆者が、レッスンについて一番関心があるのは、今年は「人生の備えレッスン」についてです。
この人生の備えレッスンとは、今年から新たに導入されるもので、セミナリーの一週間のレッスンの中で1~2回が、この人生の備えレッスンを学ぶ日になります。
この人生の備えレッスンのレッスンテキストはすでに公開されており、中身を読むことができて、またセミナリー&インスティテュートの教科課程訓練の中でもこれについて取り上げられ、説明がなされてきました。
今回は、今年から始まる人生の備えレッスンにおいて、今現在分かっていること、感じていることについて、考えてみたいと思います。
人生の備えレッスンは、単なるこの世的な対処療法や自己啓発ではなく、聖文、福音の観点からそれらの問題、課題に取り組むことを学ぶものである!
レッスンのテキストや内容が公開されていない昨年に、人生の備えレッスンのことを聞いて初めて思ったのは、「自己啓発セミナーみたいなものなのか?」でした。単なるこの世的な自己啓発セミナーならば、だいじなセミナリーの時間にやることなのだろうかと、疑問に思ったのが正直なところです。
しかし、実際のレッスンテキストが公開になり、このレッスンがどのようなものなのかが分かってきた時、なるほどな~と思いました。
この人生の備えのレッスンでのポイントになるのは、やはりイエス・キリストの福音、聖文の観点、切り口です。
これがないと、教師の知見やこの世的な知恵だけで教えようとすると、この世の自己啓発セミナーと同じになってしまいます。でも、この人生の備えレッスンはそうではありません。このレッスンも、「聖文コース」と同じように、以下の標準に従って構成されています。
わたしたちはどの学習経験においても,イエス・キリストとその模範,特質,贖いの力を中心にします。わたしたちは聖典と預言者の言葉にあるとおりのイエス・キリストの回復された福音を,生徒が学べるように助けます。わたしたちは生徒が自分自身で学ぶという,自らの役割を果たせるように助けます。わたしたちはどの学習経験でも聖霊を招き,その役割を果たしていただけるよう努めます。
このセミナリーレッスンの標準のポイントとして挙げられているのは、次の4つです。
・キリスト中心
・聖典ベース
・学習者重視
・御霊に導かれる
やはり、キリストの模範、行動、キリストの言葉、キリストの福音に照らし合わせて、この世の問題とどう向き合い、どう対処するかを学ぶことが大切なようです。
だから、人生の備えレッスンを教えていて、キリストについて触れない、キリストのことを取り上げないのは、このレッスンとしては方向性が違ってしまうでしょう。
人生の備えレッスンにおいても、あくまでもその中心はイエス・キリストなのです。
また、聖典、聖文から対処法を学ぶことも、このレッスンの重要な側面になります。聖文には様々なケースの出来事が載っており、この世のあらゆる出来事に対応、応用できます。なので、やはり、この世的な課題、問題、反対の力に対処する方法は、聖文から学ぶことがこのレッスンのポイントになるのです。
学習者重視とどういうことでしょうか。
筆者は、セミナリーレッスンの標準を読むと、生徒が自分自身で主体的に学ぶことを指しているのだと思いました。講義のように教師が一方的に教えるのではなく、生徒が自分の頭で考え、その結果自分で個人の啓示を受ける、自分で聖文から気付きや学びを得られるように、教師は生徒をサポートすることが大事だと思います。それには、やはり霊感を招く質問をどのようなものにするかが鍵を握っているのでしょう。
御霊に導かれることは、このレッスンと世の自己啓発セミナーとの一番大きな違いだと思います。レッスンの最中とレッスンの準備と、レッスンの目的、生徒が自身で考えることもすべて、レッスンに御霊を招くために必要な事柄です。また、自己啓発セミナーはおそらく自己の利益のために行われるものですが、人生の備えレッスンは、生徒自身の利益に加えて、他者を助ける視点も学ぶうえで大きなポイントになるのではないかと思います。
人生の備えレッスンとは、聖徒の必要に応じた特定のトピックに関する福音を応用する方法を学ぶものである!
人生の備えレッスンで学ぶトピックには、現代の青少年が直面する、あるいはこれから直面するであろう様々なものが準備されています。以下は、学習するトピックのカテゴリーを書き出したものの引用です。
・難しい質問や人生における困難な状況に対処する。
・自分や家族を養うために自立を育む。
・心身ともにさらに健康になる。
・学校で成功を収めるためのスキルを伸ばす。
・将来の教育や就職に備えるための計画を立てる。
・伝道や教会での奉仕に備える。
・神殿で聖約を交わして守る備えをする。
このトピックのカテゴリーを見て思うのは、レッスン的には「聖文コース」と全く同じだということです。つまり、生徒が福音の実生活への応用方法を学ぶことがレッスンの目的、ゴールである点が、共通しているのです。
それを鑑みると、人生の備えレッスンは、生徒の必要性の高い「特定のトピック」での聖文、福音の応用方法を学ぶレッスンだと言うことができます。
また、この世的に有益な、助けとなる情報や方法をレッスンから排除するべきかというと、そうではないと思います。信仰箇条13条にあるように、
……どのようなことでも,徳高いこと,好ましいこと,あるいは誉れあることや称賛に値することがあれば,わたしたちはこれらのことを尋ね求めるものである。
生徒の問題を解決、対処する上で役立つものであれば、取り入れることは間違ってはいません。大事なのは、そのバランスだと思います。
レッスンは、あくまでも「キリスト中心」「聖典ベース」「学習者重視」「御霊に導かれる」の4つの標準を満たすものにすべきで、聖典以外の役立つ情報や知識、方法は、補助的に用いるのがいいバランスなのかと思います。
その意味では、このレッスンを教える教師は、その中でどうバランスを取って教えるかを学ぶ必要があるかと思います。
4月から実際のレッスンが始まりますが、やってみて初めて分かることもあるかと思います。その際はまた、考えてみたいと思います。