マーケティング・経営戦略基礎①
経営戦略の全体像・事業戦略における環境分析
■経営戦略の全体像
経営戦略立案ではKSF(成功要因)と内部環境とのGAPを埋める戦略を立てる
■「戦略」とは?
目標を達成するためのアクションプラン
戦略と戦術の違い
戦略:大局的、長期的、方針
戦術:局所的、短期的、手段
■(業界)KSF(Key Success Factor)
その業界で成功するための要件
業界共通の要件 → 企業によって異なることではない
例えば「時計」だとすぐに時間がズレないなど。
■事業戦略における環境分析
■業界分析の手順
①イシュー(課題)の特定と仮説
②イシューに対する枠組みを考える
③枠組みの問いに応えられるフレームワークを考える
④検証結果から仮説の精度を上げる
①イッシュー(課題)を特定し、仮説を立てる
ここでのイシューは「業界特性」「顧客特性」から導き出せる、
この業界KSFは何か?
②イッシューに対する枠組みを考える
「業界特性」の枠組み
1.市場規模は?収益性は?成長性は?
2.収益構造からどんな戦いをすべきなのか?
3.マクロ環境ではどんな変化が起きているか?
4.外部プレーヤーからのどのような影響を受けているか?
「顧客特性」の枠組み
5.顧客のどのように分類されるか?
6.顧客のニーズとウォンツをなにか?
ニーズ・・・満たされない欲求
ウォンツ・・・ニーズを具現化した商品やサービス
③枠組みの問いに応えられるフレームワークを考える
1.市場調査結果(※フレームワークはない)
2.事業経済性分析(コスト構造分析)
3.PEST分析(外部環境分析)
4.5フォース分析
5.顧客セグメント分析
6.顧客KBF(Key Buying Factor)
④検証結果からKSFを導き、仮説の精度を上げる
仮説が正しかったのか、漏れや抜けがなかったか、仮説の裏付けを再確認する。
■事業経済性
コスト構造分析により規定される事業特性のこと。
◆コスト構造
このような変動費に対して固定比率が高い業界の場合・・・
・変動費をコストダウンしても効果があまりない
・固定費の稼働率を上げることが重要
→稼働率を上げると固定費を下がり、利益率も上がる
◆稼働率の経済
稼働率は高い方がいいが、100%を超えるとかえって非効率になる。
例えば、二人でトラックに乗って荷物輸送するより、一人ずつトラックに乗って荷物輸送した方が人件費に対する利益が高い。
だからと言って、三人で運ぶ量の荷物が二人で運んだら残業代が発生して逆に利益が下がってしまう。
◆規模の経済
規模が大きくなればなるほど、一つ単位当たりのコストが下がる
ただし、多品種少量生産業界では規模の経済が効きにくい
◆経験効果
累積生産が増えると変動費も固定費も下がる
ある程度まで下がると経験効果は出にくくなる
■PEST分析(マクロ環境分析)
政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)
業界を取り巻くマクロ環境について分析するフレームワーク
◆PEST分析で重要なポイント
①各業界に特化して考える
各業界で重要なPESTの具体的な項目はなにか?を考える
→絞らないと無限に出てきて大事な項目が分からなくなってしまう
②各業界で重要なポイントを抑える
飲食店の場合、食品保存に関する法律を知らないと一発アウト
③競合から抜きん出るためのポイントを抑える
固定概念で絞ってしまうと平凡な分析になってしまう
どんな要素がこの業界で一歩前に出ることができる可能性があるかを考える
■5フォース分析(業界構造のフレームワーク)
5フォース分析は外部プレーヤーからの影響要素と程度を把握するためのフレームワーク。
◆縦は「顧客の争奪状況」を示している
◆横は「利益」への影響を示している
◆5フォーム分析で重要なポイント
どの業界も厳しいという結果になる
→そこからどうやって戦略を立てるかがポイント
◆業界分析の手順
①分析する業界を明確に定義する
軽自動車業界の分析する場合に車業界を枠組みとするとNG
②各取り巻く環境はどんな理由でどれほど強いのか
矢印の大きさを視覚的に変えるとわかりやすい
③どのような戦いを強いられるか
②の分析結果からこの業界はどのように戦うことになるのか
そしてどうやったら大きい矢印を小さくできるのかを考える
◆動的分析
5フォース分析は静的な分析だがPEST分析と組み合わせて時間軸を考慮すると動的分析が可能となる。
静的分析:5フォース分析
動的分析:5フォース分析 x PEST分析
■顧客セグメント分析
顧客にはどんな顧客がいるのか、モレなくダブりなく分ける
どういう切り口と切り方をするのかが重要なポイント
年齢、性別などの切り口で分けるのか、日ごろ自炊するまたは外食するなどの切り口で分けるのか
その切り口と切り方の目的を明確化しておく
■KBF(Key Buying Factor)
顧客の購入要因
例えば
「色々な会社から似たようなテレビが出ているけど、ハードディスクがついているからこれにしよう!」
のように決定づける項目
◆顧客セグメントごとのKBF
顧客セグメント分析で分けた顧客のKBFはそれぞれ違う。
その顧客のニーズを洗い出し、KBFをそれぞれ特定する。
■KSFの特定
KSF(Key Success Factor)・・・その業界で成功するための要件。
「業界分析と顧客分析からその業界の業界で成功するためには?」
を考えることが外部環境分析のゴールである。
◆仮説の検証
最初に立てたKSFの仮説が検証結果とGAPがないか、抜けているところはないか確認する。
もし仮説と結果にGAPや抜けているところがあれば、途中に戻って精度を上げて、さらに高い検証結果を導き出す。