バッドガールの声を聴く
母が、キッチンで鼻歌を歌う。
その歌声は「わたしを聴いて」と言う。
母が、ただいまも云わずに眠りの床につくわたしを揺りおこす。
その手が「わたしを無視しないで」と叫んでる。
母が、彼女のお母さんの至らなさを語る。
語り声から「わたしをたすけて」が聴こえる。
…母の奥で叫んでいるちいさな子ども、死んじまえ、死んじまえ、死んじまえ。
その子どもとおなじようにちいさな子どもをかかえているわたし。
わたしは、母のなかに巣食っているその子どもが、大嫌い。
近寄らないで、あっちへ行って。
あなたとは友だちになりたくない。
わたしには、あなたをたすけられない。
けれどその子どもは、なぜだかわたしのことが大好きで、わたしをあきらめることができない。
あなたの友だちは、ほかにいるんだよ。
わたしじゃないんだよ。
わたしはわたしの友だちといっしょにあそびたい。
わたしは、その子が彼女自身の友だちをみつける夢をみている。
母は、
♡