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タウンミーティングの課題と目的

タウンミーティングってご存知ですか?

自治体の首長が、
地域で直接住民と対話するイベント・集会のことです。

「感染拡大予防の観点から、開催しない」ことがなくなった今、
各地で再開されているかもしれません。

市役所で広報広聴を担当するようになり、
タウンミーティングを所管することになりました。

各会場では10人から30人くらいの参加者で、
直接市長からの説明を聞いたり、
市長への質問ができたりします。

実際に10回弱開催してみて、進行してみて、
タウンミーティングの課題はいくつも考えられました。
終わって直後なので思いつくままですが。



① 参加者が限定的

しかたないとはいえ、参加者は高齢者の男性に偏っています。
高齢男性に来て欲しくないということではないのですが、
地域をよくしたい、とか、
行政と一緒に考えたい、と思っている人が、
高齢男性中心というのは、いかがかなと。

これからを支えようという人が参加しない、
今、この社会を支えている人が参加しない、
いや、参加しないんじゃなく、いないのか?
いや、でも女性の参加も少ないです。
住民の男女比は、女性が多いのに。
(平均寿命の違いですが)
そもそも、開催しても10人から30人までの参加者数です。

私は他の市長のお話を聞きに行ったことがあります。
どんなことを考えてらっしゃるんだろう、
どのように課題をとらえているんだろう、
信念は、真意は、なんだんだろうと、知りたくて、
タウンミーティングに参加したことがあります。

市外の人だって、子育て中の女性だって、
参加したくなる動機はあるはずです。

市役所としては、
課題を住民と共有して、お互いを理解して、
これからの未来を選択していきたいと思っているのに、
参加者が限定的なのは、克服すべき課題だと思います。

② 発言内容が一方通行

高齢男性が中心のタウンミーティングでは、
発言の雰囲気が、あまりよろしくないです。

「市はなにをしてくれるんや」
「わしらはこんなに苦労しているんや」
「高齢者ばかりで、もう動けないんや」
「市は何もしてくれてない、弱者切り捨てだ!」
みたいに、
詰め寄り型の発言が中心になりがちです。

これは、なんでだろうなぁ、
ご高齢の、この年代の男性の方が過ごしてきた社会の
特徴なのかな、と思います。

高度経済成長期の中で起きてきた問題は、
たいてい経済成長で、
えいやっ!と解決してきたんだと思います。

子どもが増えてきた→学校建設
税収入が増えてきた→公共施設(病院など)建設
公害・環境破壊が発生した→企業が公害対策の投資をする
物流が増えた→道路建設、改良
人が増えてきた→商業施設が進出してきた
住む家が不足してきた→駅から遠くても住宅地開発

この考え方でいくと、
子どもが減ってきた→なとかしたれ!
税収入が減ってきた→なんでやねん!
公害・環境破壊が発生した→企業は逃げて放置
物流が減ってきた→助けてくれ!仕事ないやん!
人が減ってきた→助けてくれ!買い物難民や!
空き家が増えてきた→どないすんねん!

これが人口減少、高齢化という現象が引き起こす問題であって、
ちっとも解決策が思い浮かばないわけです。
なぜなら、人口減少なんて経験したことないからです。
だからこそ、住民も市役所も、
日本全体が困っているわけです。

これまで人口増加と経済成長の波で、
問題には対応できてきた世代、高齢男性は思うわけです。
行政は、ちっとも解決しない!
(自分に解決策は特にないのに)

そして、イライラはつのります。
どうなってる💢
何をやってるんだ💢
しっかりせい💢
・・・と市役所に詰め寄る。

でも市役所にだって答えはない。
課題を解決しようと思って市長選挙に出た
市長がうまく答えられたらいいのですが・・・、
そんなことができないうちの市長の場合、
発言が一方通行になりがちです。

哲学的な思考と論理的な発言ができる資質が
市長には求められる、とは思います。
一定レベルの知能は必要です。

③ 重苦しい雰囲気

開催場所が、古い公民館。
開催スタイルが、対決型。
進行が、行政型。
しーーーんと静かな開催前5分間。
重苦しい雰囲気、この上ありません。

ボサノバ、ジャズ、ラテン的な音楽があればなぁ。
クラシックでもピアノ曲でもいいなぁ。
丸く囲んで座れたらなぁ。
お茶とかクッキーとか、あればなぁ。
進行が私みたいな市役所側の立場の職員ではなく、
中立的で、
市役所にも指摘・提案できて、
住民にも指摘・提案ができて、
かつ未来志向の発言をしてくれる人だったらなぁ。

重苦しい雰囲気では、
参加したい意欲はますますそがれます。

④ その後の行政の対応がわからない

しきりに参加者から言われたのは、
去年の指摘に対しての対応がわからない、
どうなったのかわからないというものでした。

そうです、「検討します」と市長が言ったら、
その場にいた参加者は期待するわけです。
「市長が検討するって言ったのだから、
何かが変わるんじゃないか?
私の提案が採用されるのではないか?」のように。

すべての会場で言われました。
その後の対応がわからない💢
というものは、その通りなんだと思います。

私たち行政サイドは「検討します」と言い、
検討した結果、要望への回答結果が、当初予算だと思っているわけです。

一般市民にはそんなだと、伝わりませんよね。
検討した結果、「不採用」です、ってなっていることを、
明確に説明したものはどこにもないわけです。

「検討する」の言葉の伝わり方は、
一般的には、
「検討して、それにする」と聞こえるわけです。
特に、市長が「検討する」と言った言葉の重み。
勇気を出して発言した参加者は、
「検討する」と言ってもらったら、期待しますよね。


私が聞いていて、
できそうもないことまで市長は「検討する」と、
とりあえず言っちゃってます。

あーーあ。

会議録をおこしてみても、そう言っちゃってます。


結果公表のやり方、今後の行政の対応の公表については、
私が改善しなければならないと思います。

「検討する」と市長が言っちゃったので、
「検討するスケジュールを教えてください」と
各部に調査をかけた、鬼のような私。

とりあえず、
「検討する」と言っちゃった点と、
「検討するスケジュール」は、
開催にご協力いただいた方には提示しなければ、と思います。
そして、1年後くらいには、どうなったのか、
また公表しなければならないなぁと思います。

タウンミーティングをなぜするのか

課題解決に一緒に考え、動いてくれる住民を
一人でも多く増やすには、
信頼関係の構築は必須です。

質問には答える。
検討すると言ったことは、検討する。
検討結果を答える。
それがタウンミーティングの意義だと思います。

住民と信頼関係を築き、
共感し、共通の課題に対して協働する人が増えることが、
タウンミーティングの目的だと思います。


私は住民に誠実に対応したいと思います。

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