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大好きだった本を捨てました

小学生の頃から本を読むのが好きでした。

当時、昭和50年代なので、
インターネットやゲームがないのは当然として、
テレビは親が見せてくれず、
子どもだった私が「知る」体験は、
誰かとの会話か、本を通じてだけでした。

小学生のときは学校の図書室に入り浸り、
片っ端から読みました。
すぐに図書室の本は面白くなくなり、
私のまちには残念ながら図書館がなかったので、
読みたくても読めず、
最後は百科事典を愛読してました。

なかでも、
母に本を読みたいから買ってとお願いしたら、
母が誰かから私のためにもらってきた、
学研の新世紀百科事典。
ずーーーーーっと開いていました。

ちなみに、
国語の教科書はもらったその日に完読(笑)


高学年になると、女の子のなかでは、
赤川次郎さんの本がはやっていて、
近所のお姉ちゃんがおすすめして貸してくれました。

ところが、これがいけない。
読めない。
難しいのではなく、その逆。

2ページも読まずして拒否反応。

な、なんだこれは😭!
なにをわざわざ文字にしてるの?
みたいな気持ちに。

3つ年上のお姉ちゃんに丁重にお返し、お断りして、
どこか読む本がないかと困っていました。

本が読みたい…と言っていると、
隣の家のおじさんが、
推理小説の文庫本をたくさん持っていることを知り、
借りて読んでみると、面白い面白い。
これもまた片っ端から借りて読みました。

おじさんは、西村京太郎がお好きだったようで、
私も時刻表を読むのが好きになってしまいました。
時々、JR時刻表を買いました。
それで日本全国を空想旅したものです。

でもまたすぐに飽きて(笑)

そうこうしているうちに高校受験が近づき、
受験勉強が終わったら、
教科書に出てくる名作と言われる名作を
なんとかして読んでみたいと、思っていました。

図書館がないから、
借りて読む発想がなく、
ひたすら飢えてる状態。

枕草子も徒然草も奥の細道も、
百人一首は好きな和歌だけ、
日本国憲法も、教科書や資料集に載ってあれば
すべて暗記しました。
ちなみに、
苦手だった英語を勉強する方法も、
教科書丸暗記でした。

当時、国語の参考資料にあった
島崎藤村の「初恋」も暗記しました。
美しい七五調の古い文体の詩に、
情景を思い浮かべながら。

この「初恋」は、いまでもすらすらと暗唱できます。

中学生の頃の記憶って、
脳の奥深くに刻まれますね。

とにかく、知りたくて、
字が、本が読みたくて仕方がなかった。
今思えば、小学生中学生のときに、
もっともっと本が読みたかった。

高校生になると、
国語や歴史の授業で出てくる本、
たとえば、
夏目漱石なら、坊ちゃん、我が輩はネコである
ドストエフスキーなら、罪と罰、カラマーゾフの兄弟
三島由紀夫なら、金閣寺、潮騒
ヘルマンヘッセなら、車輪の下
谷崎潤一郎なら、細雪、痴人の愛
カフカなら、変身
源氏物語、雪国、人間失格、破戒…
とにかく読みました。

図書館という選択肢を知らなかったので、
お小遣いから文庫本で買いました。
当時、文学本の文庫本はとてもお手ごろに買えました。

そして村上春樹がブームになり、
私もはまりました。やれやれのハルキスト。
赤と緑の、ノルウェイの森からです。
ハードカバーは高校生の私には高くて買えないので、
ペーパーバックの文庫本になるを待って。

その後、
大学時代は引き続き名作と言われる本に加えて、
村上春樹、宮本輝、東野圭吾、宮部みゆきなど、
通学の片道2時間の電車の中でとにかく読みました。

ちなみに、読むのも1回ではなく、
何回も読むのが私のやり方。

1回目はとにかく速く。先が知りたいから夢中で。
2回目は落ち着いて。
3回以上読む本は、作家の目線でじっくりと。
村上春樹は英訳もされていたので、
英訳本も大学生協で手に入れて読みました。

子どもを生むまでは、とにかく文庫本を買って読みました。
何度も読み返しもしました。
シドニーシェルダンが流行ってたとき、
私はジョングリシャムが好きで、
好きすぎて、
海外旅行先で英語のペーパーバックを買ってみたり。
当然ですが英語なもんで、読むスピードが上がらず、
途中で読むのをやめたり。
調子のってたけど、英語はそもそも苦手だったことを自覚(笑)
スラングが多すぎて、
学校英語のお嬢さんはついていけなかったのよ…

という、私の読書人生を思い出しながら、
本を捨てました。


私も52才。

本はすでに30年は経っています。
もともと丈夫に作られたわけではない文庫本。
シミ、日焼け、破損、ほこりで、
手に取るとくしゃみのアレルギー反応がでるくらい。

このたび、整理しました。

急にすべて捨てるのも心苦しかったので、
本を置くエリアを決めて、半分にしました。

どうせ、誰かが捨てる本です。
息子なのか私なのか。

なら、私が捨てるのがいいでしょう。



文庫本は、買った本屋さんのカバーがついたままです。
カバーに本のタイトルと作家名、
そして読んだ日付を私の字で書き込んでいます。

大好きだった本。
でも、もう手に取らない、読まない本。

もう今はなくなった本屋さんのカバーも、
朽ちるようにすり減って…


本を捨てました。
ありがとうって言いながら。


本が読みたくてしかたなくて、
本屋さんもすごく元気だった。

このnoteを私の記憶として。


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