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モノであふれる実家の片付けは、「断捨離」じゃなく・・・

私の親世代は、団塊の世代。
人口が盛り上がって多い世代。

その世代が70代後半になり、
平均的な健康寿命がもうそろそろそれくらい。

健康寿命とは、厚生労働省によると、
「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」
のことで、男性も女性も長くて75歳。

つまり、私の親世代は、
日常生活が制限されながら生活し始めていることが多い。

私の両親も例外ではない。

二人とも脚が悪く、歩きにくくなってる。

なのに、両親の家は、モノだらけ。

そもそも、この家の間取りは、
昔の「家とはこうあるべき」が盛り込まれた建て売り住宅。
玄関はこうあるべき
廊下はこうあるべき
台所はこうあるべき
生活スタイルを考えるよりも
あるべき、からパッケージされた昭和の間取りは、
いまや不便でしかない。

かつ、この世代はモノがない貧しい時代も知っていて、
もったいない、念のためから発生した、所有欲がすごい。

幸せとは所有することという世代。
なんでも置いている。
ボタンもごみ袋も割り箸もボロ布も景品もタオルも。

うちの両親の家は、
カベから荷物がせり出して、
床は小さな段差があって、
部屋の中にできた獣道みたいな通路も
誰かとすれ違うのが難しいほど。

ああ、荷物だらけ。

一度全部家の外に出して、
必要なモノだけ拾い上げたい。

ここに住む親も、
片付けられないのは当然として、
もしかすると掃除すらできてないかもしれない。

健康な私でも、
この家の掃除をどうやってしたらいいのかわからない。
掃除と言えば掃除機だけど、掃除機をかけようにも、
かけられるスペースがない。

私なら、ごみ袋を片手に掃除を始めるだろう。


実は片方の親が、腰の手術で入院した。
もう片方の親は、外出時は歩行器をつかってる。
近くに食料品店はない。

私が病院と実家に差し入れをしているのだが、
この家、どうやって掃除するんだ?と頭を抱えている。
両親のサポートに右往左往している今はいいが、
一ヶ月後、いったいどうなっているか、
想像したくない。

「あれ取ってきて」
と入院中の親からリクエストされたものは、
「いつも座っているところのこのへん」といって、
右手を2,30センチほど右に向けてバタバタさせる。

その「いつも座っているところ」に行ってみると、
そこはまるで「コックピット」
そこで右手をばたばたさせたら、
頼まれたモノはそこにあった。

目の前はテレビ。
モニターの左右には、自分の細々したものが並ぶ。

入院準備をしてたのだろう、
ほこりはなく、すべて直角に並べられていてるけど、
モノだらけ。
とにかくモノだらけ。

ないのは、お尻1つ分のスペース、座布団1枚分。
背もたれはベッド。
眠くなったらそのままベッドで寝ているのだろう。

まるで「コックピット」

ガンダム行きます状態。


あかん。

これは、あかん。

押し入れまでのスペースにモノが置かれてある。

床がほとんど見えない。

断捨離してるって言ってたやん?


・・・私のモノだけ捨てたか?



ところで、私は今、
自分の家のお片付けキャンペーン中。

外壁屋根修理から始まって、
網戸、エアコン、テレビ、食洗機、トースター、
キッチンの扉、壁紙、座椅子、調理器具、
そして不用品廃棄。
この1ヶ月に捨てに行った粗大ごみは50kg
燃えないごみは集積所まで6往復

モノがなくなると、
掃除しやすくなって、
今では息子が掃除機がけをしてくれるように。

私はできた時間で雑巾がけを存分に。

するとますますお掃除が進み、
お風呂や洗濯機、冷蔵庫まで念入りな掃除ができて、
家がピカピカしてきたように見える。(当社比)

とにかく、モノがなくなると、
掃除の好循環が始まる。
モノがなくならないと、
掃除できないことが身にしみてわかる。

なのに、実家はこんな状態。


先日、自分の家の台所にある、
長年放置した換気扇の掃除をお願いした方に、
実家がこんな状態なのとお話しすると、
「少しでも早めに整理しなくちゃいけない」と。


・・・そうですよね。


「私たちの親世代って、
モノを持つことに価値があった世代だから、
捨てましょう!って言うと、ほぼ進まない」

なるほど。

「断捨離しましょう、も伝わらない。
その断捨離という言葉や、その意味するところを
本心のところで理解できていない。
だって、自分で持っておきたい、
捨てたくない世代だから。」

確かに。

「片付けましょう、と言っても、
自分の居場所の周りを掃除し始める。
そして結局、
自分に必要なモノしかないエリアだから
片付くわけがなくて、疲れて、終わる。」

あああ、わかる。

「だから、親世代でもわかる言葉をつかうんです。
模様替えしましょう!って」


模様替え!


なんという昭和な響き✨
なのに、なんか、
壁紙が変わったり、
タンスの位置が変わったり、
新しい生活が待っていそうな気がする。

「断捨離や不用品整理や片付け
なんて言葉を使わないことが大事です。
模様替え、なら、この世代の方も
今までやってきたことがあるので、
理解できるんです。
それに、新しい生活が始まるようで、
ワクワクするでしょう?
その作業で、必ず捨てたい不用物が出てきます。
結果的に、捨てられます。」


模様替えしよう!


ああ、なんという説得力!

10年以上掃除しなかった、
ギトギトの油汚れで目詰まりしそうな換気扇を
3時間以上かけてキレイにしてくれただけじゃなく、
このようなお宝ワードを授与していただけるとは。

ハウスクリーニングさん、本当にありがとう。


この実家を売却することになっても、
誰かが住むことになっても、
どっちにしても、
空間を埋め尽くしているこの「モノ」の洪水は、
なんとかしなければいけないことは事実。

そうか、模様替えか!

以下、ハウスクリーニングの方がおっしゃった
ありがたい言葉をご紹介します。

日本人は新しい言葉が好きで、すぐ飛びつくんです。
洗剤と同じです。

新発売をうたうって
デザインを変えて値段を上げて売り出すけど、
中身は同じ。

言葉を換えてもやることは同じ。
昔の親世代に伝わる言葉をつかわなければ、
伝わらない。

モノを持ちたい世代に、
モノを持つなという言葉では理解できない。

「模様替え」か「断捨離」か、
言葉は違ってもやってることは同じです。

模様替しよ、そう言って、
まず自分のテリトリー以外、
押し入れ物置から始めることが大切です。



親とはお互い感情をぶつけ合ってしまうので、
なかなか進まないかもしれませんが、
ここ10年が勝負なのかなとも思います。

・・・猛暑の夏が終わったら、ですかね。
(先送り)

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