市役所がつくる文章が、難しくて伝わらない理由
市役所がつくる文章、本当に難しいですよね。
なんで、こんな表現になるんだろ?
今は、令和だよってつっこみたくなる文体、デザイン。
わかりにくいというか、
センスがないというか、
そこじゃないだろっていうか、
読む気が失せるというか。
市役所にいる私でもそう感じます。
どうしたらわかりやすくなるのか、
本当にもどかしいです。
なぜ、そうなってしまうのでしょう。
理由から考えれば、対策も浮かぶでしょうか。
まず、市役所の仕事って、
本当に幅広いです。
住民票、戸籍、死亡、転居、出生、離婚、
養子縁組、マイナンバカード、
市民税、資産税、軽自動車税、諸税、
納税証明、課税証明、滞納整理、
国民健康保険、国民年金、介護保険、
健診、予防接種、妊産婦検診、
生活保護、障害者福祉、高齢者福祉、
保育園、学童保育、幼稚園、こども園、
子育て支援、いじめ・虐待対策、
小学校、中学校、子育て支援センター、
給食、図書館、プール、教育センター
体育館、市民会館、公民館、文化財、
奨学金、就労支援、スポーツ振興、
社会教育・生涯学習、資料館、
公園、道路、橋梁、上水道、下水道、
都市計画、公共交通、交通安全、墓地、
営繕、洪水対策、防災、地震対策、防犯、
農業・水産業振興、商工業振興、治山、
観光、ふるさと納税、自治会、
消費者相談、行政相談、消防、救急、
公害対策、畜犬登録、火葬場、
地球温暖化対策、農業委員会、
選挙、法制、契約、財政、出納、企画、
公用車管理、情報システム、
広報、広聴、人事、総務、秘書、市議会
もしかしたら書き忘れてる仕事があるかも。
(一般廃棄物処理を忘れてたことに後日気づきました)
それぞれにさまざまな
法律、規則、条例などの
ルールが折り重なりながら
新しい制度、制度改正、
政治的思惑、慣例、世論、高齢化が
襲いかかってくる。
お金のことで言えば、
1年間の予算を執行しながら、
昨年の決算を整理しながら、
来年度以降の予算を考えながらやってます。
人事のことで言えば、
目の前のメンバーのことを考えながら、
来年度の仕事量や異動を考えながら、
誰にどんな仕事をやってもらうか考えています。
議会のことで言えば、
目の前の上程議案のことや
一般質問に対応しながら、
来年度以降の事業ことを考えながら
答弁したり、答弁調整をやってます。
市役所の人事異動は転職、とよく言われます。
その通り。
これだけいろんな関わりのない仕事が
市役所という建物の中に詰まっているなんて、
隣の人のやってる仕事が、まったくわからないなんて、
当たり前です。
だから、
「今、担当者が不在でわかりません」がおきます。
だから、
人事異動やジョブローテーションで
そこをフォローしようとしています。
だから、
人事異動は必要なわけですが、
転職が命令されて、1週間後には次の職場で
一人前に対応しなければならないという・・・
これが精神的にも辛いところ。
これを乗り越えられる頭の切り換え、
飲み込みの早さ、普段からの人付き合いが
市役所職員には大切です。
それぞれ職員が、
自分の担当している仕事を文章にしていくわけですが、
複雑な制度を、しかも人事異動があって、
すべてを理解できているかどうかも自信がなく、
公平に、正しく、しかも、わかりやすく説明するって、
どんなにすごい職員でしょう。
まず、国や県からの市への説明は、文字だらけ。
行政職員前提の書きぶりなので、まるで漢文(笑)
たとえば、新しい制度を始めるとすると…
職員は新しい制度を考え、
まず、上司に説明します。文章で。
そして、予算が必要なら財政部局に説明します。文章で。
人が必要なら人事課に説明します。文章で。
システム対応が必要ならシステム担当に説明します。文章で。
庁内でコンセンサスがとれれば、
予算要求の査定に、トップに説明します。文章で。
それが通ればいよいよ議会へ上程です。
議会に説明する前に、マスコミに説明します。文章で。
議会へは参考資料として説明します。文章で。
議員から委員会資料を要求されます。文章で。
なんとか可決されるといよいよ、
皆さんにお知らせが始まります。文章で。
SNS、広報誌、ホームページ、チラシ、ポスター。
いずれも文章は必須。
それぞれに特性があり、
それを理解して説明します。文章で。
いったい、何種類の説明文を書くのでしょう。
一番力を入れて乗り越えなければならないのは、
トップへの説明、査定のときと、議会への説明です。
ここの説明文は、力が入ります。
やっとやれやれで執行するとき、
私たち市役所職員のことばづかいは、
ユーザー目線になっていると思いますか(笑)?
もう、かけらもありません。
小うるさい高齢者が良く読む、紙ベースの広報誌にはぎりぎり配慮できるかもしれません。
広報担当者のチェックも入りつつ、
査定用、議会用説明資料よりはましになるかな。
比較的若い、中年層が目にするだろう
SNSやホームページ、チラシにまで、
どこまでユーザー目線、ユーザー配慮の表現になってるか、
はなはだ疑問。
だから、お知らせとして広く皆さんが目にするとき、それはSNSだったり、ホームページだったり、チラシだったりですが、
読む気が失せる、文字は多いのに、
理解できた気がしない文章になっているのです。
長い間、市役所の中でやりとりされ
説明が熟考された文章は、
市役所内の都合に合わせた言葉遣いが香り立つものとなっていることでしょう。
そこから改めてユーザー目線で文章を作る、
そこまで気が回るかどうか。
そこに力を入れる文化が醸成された職場かどうか。
もう次の仕事が目の前に積まれているよね。
わかりやすいかどうか、振り返る時間はありません。
正しくお知らせしましたけど、何か?文化。
ユーザーが知りたいことは何か、
知らなくてもいいと思ってることは何か、
選別するところまでたどりついていません。
市役所にはたくさんの職員がいます。
たくさんの仕事や制度があります。
たくさんの職員、説明文の作り手がいるからこそ、
「わかりやすい」工夫は、
たくさんの職員、それぞれの能力によります。
偏り、できます。
なにより、
説明不足だったり、
間違えていたら叱責されるので、
説明は十分に、
間違えないように慎重に説明するのが、
根底にあるルール。
わかりやすい説明文なんて、
本当にほど遠いです。
もしかすると、
業務をしている担当者が作らない方がいいのかもしれません。
でも、でもね。
現実どうなるか、想像できそう。
業務をしていない担当者が作ると、
正しくなかったり、十分じゃないと担当者に叱られて、
採用されないよね。
結局、担当者のなんともいえない説明文に元通りかもー。
「これがわかりやすい」と指摘や修正するには、
権力という説得力が必要かも。
とりあえず、
ホームページ閲覧数の多いホームページ、
時期的に集中するホームページから、
わかりやすさに向けて、
担当者に指摘するってことをやっていこうかな
と広報担当として思うのです・・・
ああ、私のnoteは、
いつも長文過ぎてわかりにくい。
それがわかりやすくやろうって言えたモノかしら。