おうちDTMの環境作り ~ あなたのIF、きちんと動いてますか?
ごきげんよう、永遠の初心者DTMerレーシーです。
ちょっと煽るような題名ですが、今日はお家でDTM環境を整えるとき意外と見落としやすい点やおざなりになりやすい部分を書いていこうと思います。
主にUSBの話です。
毎月自由に使えるお金を少しずつためて買った相棒たち。
その機材はきちんと本領を発揮できていますか?
最近主流になってきたUSBバスパワーのオーディオインターフェイス、きちんと定格動作していますか?
知ってるようで知らないUSBの世界
USBの規格がとにかくややこしいのは、日ごろPCやスマホに触れていても実感するところだと思います。
DTMをする上でも気を付けないといけない点は色々とあります。
結論から言えば、USB Type-Cのインターフェイスは必ずPCのType-Cに繋げということです。
・USBの口の形で送れる電流値は違う
意外と見落としやすい点です。デフォルトのUSB各バージョン毎の給電規格は以下のようになります。
バージョン : 最大電流 / 最大電力
2.0 : 0.5A / 2.5W
3.0 : 0.9A / 4.5W
3.1 (Gen1) : 同上
3.2 (Gen2x1) : 同上
3.2 (Gen2x2, Type-C) : 1.5A / 7.5W or 3A / 15W
4 (PD, Type-C) : 同上
電圧はすべて5Vです。
最近はQuick ChargeやPowerIQ等メーカー独自の規格も出ているので若干混乱しますが、USBのバージョンで給電できる値は決まっています。
上記を見るとUSB Type-Cの登場で給電量が大きく変化しているのが分かると思います。
古いType-B接続のインターフェイスではACアダプターなどが必須だったのに、最近のType-Cインターフェイスでバスパワーが主流なのは、Type-Cを採用することでファンタム電源、ヘッドホンアンプ、DSP等々諸々の機能を賄えるようになったからですね。
・PC環境を作るときはボトルネックに気を付ける。
自作PCなんかをやってると各所でボトルネックという言葉を耳にします。
どこか一つでも低規格のものが混ざれば、そのラインは一番低い規格の性能しか出せません。
インターフェイスをPCに直結した場合、
PCのUSB口→USBケーブル→インターフェイス
となります。
例えばUSBケーブルやPCのUSB口が、上記のUSB3.2 Gen2x2より低規格の場合、機材が想定している電力を確保できない場合があります。
よくあるのがType-A to Type-Cケーブルを使い、PCのUSB Type-A口に接続した場合や、安価なUSBケーブルの内部が低規格だった場合などです。
Amazon等で購入する製品はそもそも技適を通ってないレーン数の少ないものも多いので気を付ける必要があります。
例えばUSBハブを経由する場合はもっと複雑です。
そのUSBハブがどのくらいの出力を出せるのか、また転送速度は十分かを確認しておく必要があります。
私もセルフパワーのUSBハブを使用していますが、口によって給電量が違ったりもします。
また高機能なインターフェイスになると転送速度等も重要になってきます。
特にUSB4とThunderboltが統合されたことで一層ややこしくなっています。
例えばThunedrbolt4は転送速度が最大40Gbps, 給電は100W(20V/5A)となっていますが、USB4は転送速度が最大20Gbpsまたは40Gbps、給電は60W(20V/5A)または100Wとなっています。
つまり統合されたといってもUSB4の規格は満たすがThunderbolt4の規格は満たさないケーブルが存在します。
特にThunderboltのケーブルは6000円前後がザラと高額なので、USB4が共通規格だからと思い込んで安価なものを購入すると困ったことになることもあります。
例えば私の使用しているAntelope audioのZen Q Synergy coreはあまりにも不評だったAntelope Japanのホームページに転送速度が40Gbpsを下回ると動作しないと明記されていました。
当該ページは閉鎖されたようですが、残念ながらAntelope公式ホームページをみてもこの情報は乗っていません。
Thunderbolt3で動作とかかれているので、その時点で当たり前だろうという話ですが、USB4/Thunderbolt対応をうたいながらThunderbolt規格に満たないケーブルも出回っているので注意が必要です。
一番良いのは多少高くても店頭で仕様を確認して購入することです。日本の店頭に並ぶ商品は認可を受けた製品になるので、パッケージの記載と実物が異なるリスクもかなり低いです。
USB Type-Cはなかなかに混沌としており、規格違反品なども多く出回っています。
稀にノートPC用にACアダプターの丸型プラグをType-C形状にした(充電制御などがない)恐ろしい製品も存在します。
そういった製品に限って説明書がなかったり、あっても読まない顧客等も多いので携帯やタブレット等に繋いで発火に繋がったりすることも少なくありません。
今回の話からは外れるので深堀はしませんが、「形だけType-C問題」はなかなか根深いものがあります。
オーディオインターフェイスを接続する場合最も良いのは、製品に付属しているケーブルをハブやアダプターなどを噛まさずに直結するということです。
特にType-CをType-Aに変換するアダプタ
勿論違反品なのですが、Type-Aで十分満たせる外付けストレージなどには付属していたり、そのまま売られていたりします。
その時々で使用していいのか悪いのかは少し考えればわかることですが、考えなしに使ってしまうと困った事態になることもあるかもしれません(特に給電側がType-Cの場合)
ハブを噛ます場合でもきちんと仕様を確認し、セルフパワーで供給するものを選ぶこと。
仕様が明記されてないものは避けた方が無難です。
最近はThunderbolt接続のドッグなんかも(それなりに値は張りますが)あります。
ケーブルの付属していない製品や交換したい場合は、一度メーカーの仕様を確認してみると良いでしょう。
USBでグランドループが発生する?/ オーディオとオカルトの世界
怪しげで高額な商品が跋扈するPCオーディオの世界には、USBの口に刺したり間にかませると音がよくなる魔法のUSBアダプターがあります。
字面だけで見るとあまりにもうさん臭すぎますが、知り合いに聞いて回るとすごく効果があったという人と良くわからないという人がいます。
どういうことでしょうか。
USBバスパワーで意外と見落とされがちな問題は、電源ケーブルを通してアースが取れないということです。
いや、通常は電源レーンを通してとれるはずなんですが、時と場合によっては取れない状況が(稀にですが)存在します。
基本的に多くのインターフェイス、DACではアルミ筐体を採用しており、回路の一部が筐体に接触、またはアースを落としています。
しかし音質を重視した一部の高額なモデルでは回路が完全に筐体から浮いているものもあり、そうなってくる場合重要になるのがPC側のUSB端子です。
稀にですが、PC側USB端子にアースが落ちていない場合があります。
これに関しては特に表記もないしぱっと見では分かりません。オンボード端子はMBを通して落ちているはずですが、PCケースのフロント等についている端子は場合によって樹脂のマウントに乗っかってたりして落ちてない場合があります。
そういった端子と先述のようなDACを接続すると、回路が完全に浮いた状態になりヘッドホン等を接続したときケーブルなどがアンテナになり盛大にノイズを出す場合などがあります。
冒頭の謎アイテムなどはこういった場合に威力を発揮することがあります。
DTMの世界ではおそらく存在しないのではとは思いますが、うーむややこしいUSBの世界。。
電源環境の分離 / オーディオとオカルトの世界2
電源で音質が変化する、なんてことを言う人がいたらどうでしょう?
ちょっとヤバい人かなと思うでしょうか。
自宅にアンプを置いてるギタリストの方とかだと、何を当たり前のことをなんて思うかもしれません。
自宅DTM最大の敵はノイズです。これはオーディオでも変わりません。
これは家への電源の引き込みかたや配電、間取り等々色んな部分で変わってしまうので、おおざっぱに私がこれまで遭遇したノイズ源たちを紹介します。このほかにもいろいろな原因があると思います。
1, ぱそこん
一番身近で一番大きなノイズ源はPCです。
その昔(今でもありますが)パソコンから音を出すにはサウンドカードという拡張カードを刺す必要がありました。今はオンボードでこの機能が搭載されているので、ケースやMBなどに直接イヤホンジャックなんかが付いていますね。
今でも高音質をうたうサウンドカードはありますが非常に少数で、殆どがFirewireかUSBで接続する外付けタイプのDA/ADになっています。
(転送速度の関係で外部オーディオインターフェイスだけれど、専用の拡張カードを使いPCIe経由で接続するものはあるみたいです)
ギタリストの方は弦アースをとってない状況で部屋の椅子に座って、パソコンのほうを向いたらノイズが盛大に出て、違うほうを向いたら消えたなんて経験をした方は多いと思います。
PC本体を出来るだけ影響のしにくいところに置くなどは、非常にシンプルですが効果の大きい対処法です。
あとケースのサイドはきちんと閉めましょう。パーツの換装が多かったり空冷だとどうしてもPCケースのサイドパネルをあけたままにしたくなりますが、きちんと閉めてアルミで覆ってしまうのは非常に大きな効果があります。
中身の見えるアクリルサイドパネルのPCケースも注意が必要です。
2,電源環境
コンセントの分離や電源タップのトラブルも多いです。
特にコンセントを共有する機器からの高周波ノイズです。
例えば部屋にエアコンや冷蔵庫を置いている場合、同じコンセントから楽器類の電源をとったりすると高周波ノイズの影響を受けやすいです。もし可能であればPCと楽器類も別のコンセントからとりたいところです。
しかしこの場合、離れたところにあるコンセント同士が配電盤から分かれてきているのか途中できているのかは場合によりけりです。
1000Wを超えるようなハイパワーなPCなどを使っている場合は、単純にブレーカーの落ちない容量に収める必要もあるので、そのあたり気を使う必要はあります。
電源タップを使用する場合もノイズの少ないものを使うのが対策になる場合もあります。
フェライトコアなどは音を発する機器そのものの電源ケーブルに取り付けるより、PCや家電などノイズを発する機器につけて回ったほうが良い場合も多いです。
3,照明
意外と見落としやすいですが、LEDはPWMなのでノイズ源になる場合があります。
私は遭遇したことがありませんが、友人宅で明かりをつけているとノイズがひどくて耐えられないという話は聞いたことがあります。
あとは蛍光灯などでも古くなってちらつくとそのタイミングで電圧降下が起きて他の機器の動作が不安定になることもあります。
特に蛍光灯のちらつきは、DAの音が文字通り乱降下してヘッドホンが壊れるほどのポップノイズが連発することもあったので早めに交換しましょう。
私の場合はPCとUSBハブ、機材用の電源タップとモニタースピーカーという風にコンセントを分けています。
電源タップはベルデン。
アースコネクターもついててローノイズな良い電源タップです。
オヤイデと違って電源ケーブルが取り外せるので好みのケーブルに変えれるのがお気に入り(電源ケーブルってかなり重たいので、移動の際は短いケーブルにして荷物を軽くしてます。)です
このように分けてから特にガジェット系アナログシンセとコンパクトエフェクターのノイズフロアは大きく下がりました。
その他の機器については電源が優秀なのかあまり変化はありませんが、基本的にノイズの少なめな環境でやれてるのではないかなと思います。
自宅でDTMをする場合、スペースや電源の確保は人によっては難しいところになってくると思います。
限られた予算で何を導入すればいいのか、、どうしても楽器や音源にかけたくなりますが、もし音質やノイズで悩んでいる場合電源やケーブル、接続を見直して、手持ちの機器の性能をしっかり引き出してあげるのが近道になることもあるかもしれません。
LLSY music
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