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ヘッドホンレビュー iBasso Audio SR2

ibasso audioヘッドホン SR2を購入し1ヶ月ほどたちました。
ネット上で検索をかけてみても、いまいちレビューは出てこなかったので、何かの参考になればと思います。

お恥ずかしながら、店舗にてこの機種を試聴するまでibasso Audioがヘッドホンを販売してることを知りませんでした。
しばらくの間、音楽の世界から離れていた身にとっては、ibasso Audioというと携帯プレーヤーを作ってる、昔のCowonみたいなところね、といったふんわりした印象でした。

6万ちょっとという価格帯、高くもなく、安くもなく非常に微妙なラインです。
あと数万円出せば高級機と呼ばれるところに手が届き、2,3万円台には往年の名機やコストパフォーマンスに優れた良品が揃います。
このヘッドホンにはどういった価値があるのか、少しずつわかってきたので書き留めておこうと思います。


非常にシンプルな箱に、ベイヤーとそっくりなセミハードケースが入っており、その中から昔のベイヤーっぽいヘッドホンが入ってます。こういうとこはちょっとふふっとなっちゃう。

このヘッドホンの特徴は、非常に豪華な付属品と、その駆動効率の高さです。
いきなり音質以外の話ですいません。
開封するとまず、なかなかしっかりしたセミハードケースに、ヘッドホン本体と3.5mmアンバランスライン、4.4mmバランスライン、スペアのイヤーパッドがついてきます。


これは非常に嬉しいセットだと思います。
所謂オーディオグレードの高級ケーブルは使用したことはありませんが、付属ケーブルはCuAgということで見た目にもなかなか質が高そうに見えます。
実際購入前にいくつか2〜3万円台のケーブルも合わせて聴いてみましたが、大きな良し悪しの差はなく好みの問題だと思いました。純正ケーブルは非常にスッキリとした、ヘッドホンのキャラクターに合ったサウンドで、私は交換の必要を感じませんでした。

イヤーパッドは少し柔らかめで、しかし装着しても潰れすぎる感じはなく、長持ちしそうです。
優れた音質のヘッドホンであっても、長く使うと意外と悩まされるのがイヤーパッドです。
特にレザー系や古いビニール系は経年劣化で表面がボロボロと崩れ出し、スポンジの張力に負けて破れたりすることもあります。
AKGやベイヤー、Fostex等スタジオ機器メーカーは長期間酷使することを念頭に設計されており、スペアが手に入れやすかったり交換しやすかったりと長く使うほどなるほどなぁと思わせるところがあります。
SR2ではイヤーパッドが1セット同梱されているので、これは非常にありがたいです。

セミハードケースとも合わせて、買った状態で長く大事に使えるような配慮がされています。個人的には、この付属品だけで3万円くらいの価値があるのではと思います。

ただヘッドバンドの枠が少し小さく、頭の大きな人にはちょっと窮屈かもしれません。装着感は悪くないのですが、重量が395gと少し重めなのも人によっては気になるポイントかもしれません。


インピーダンスは24Ωで感度は108dbと、大きな見た目からは想像もできないほど鳴らしやすいです。
試聴に持ち込んだFiio X3 2ndという、現代のポータブルプレーヤーとは比べものにならないほど貧弱なパワーでも十分鳴らすことができました。
私の想像では、この製品のターゲットはハイパワーな環境を持っていない、DAP1台で音楽を楽しんでいる層に向けたものではないかと思います。
ちょっと贅沢なヘッドホンで音楽を聴いてみたい、、10万を超えるようなヘッドホンは大仰すぎるけど、2,3万のモデルより少しいいものがほしい、、という方が購入し、部屋でDAPにこいつを繋いで、ちょっとリッチな音楽ライフ、という光景が想像できます。
セミハードケースも、低価格帯にはまず付属してこないので、所有欲を高めてくれると思います。

6万円という、ちょっと中途半端な感じのする価格帯をうまくついてきた、非常に優れたパッケージングだと思います。

肝心の音質ですが、完全開放型というところを頭に入れて聴くと、すこしあれ?と思うかもしれません。
低音の量が開放型にしては多く、上から下までかなりしっかりと出ています。売りのシリコンサスペンションの恩恵かもしれません。密閉型のハウジング内部の音周りを使った低音の出し方と違う、クリアでタイトながらも十分な量感があります。
音場は広すぎず狭すぎず、といった具合で癖のない感じに仕上がっています。特段音抜けが良いというわけでもないですが、全体的にクリアな音がバランス良く出ており、現代のソリッドな音をみっちり敷き詰めたような曲でも破綻することなく聴かせてくれます。
もう少し下の価格帯、例えばK701やRP60、HD598等少し世代の古い名機達は、非常に素晴らしい音ではあっても、今となっては若干の音のにじみや、低位の甘さを感じますが、このSR2は特にそういったところに差を感じます。1Tのダイナミックドライバ、セールスポイントのシリコンサスペンション、カーボンのダイアフラム、そういったところをフルに使い、これまでの開放型にはなかった低音、解像度の高さや非常にクリアな音など、"現代っぽい音"を全面に出してきています。サウンドチューニングは非常にオーソドックスで、余計な付加がないので、あまりリッチなサウンドではありませんが、無個性に見えてその実、旧世代モニターヘッドホンを下敷きにしっかりとした方向性をもって開発されていると感じました。予想に反して非常に真面目な製品です。

ケーブルは3.5mmの両出しなので

ベイヤーT1のケーブルをつけてみました。
3.5mmヘッドホン側両出しケーブルは、メーカーによって1番と2番が逆になってたりするので、買い足す場合は注意が必要です。
T1ケーブルだと低音が少し多めにでるものの、ちょっとボワついた感じになってしまいます。個人的には純正のままが、非常にすっきりした本機らしいサウンドで好みです。
純正ケーブルの質は思った通りかなり高そうです。

見た目も昔のベイヤーと、Hifimanを足して2で割ったような感じで、地味ながらもなかなかカッコいいと思います。
白い三編みの純正ケーブルはちょっと派手かなと思いましたが、本体と合わせると業務機っぽかった見た目が一気にリスニング向けっぽくなるので、丁度いいかもしれません。
ケーブルもしなやかで、かといって弱そうな感じもせず扱いやすいと思います。

DAPだけで音楽を聴いていて、そこそこ鳴らしやすくてちょっといいのが欲しいという方。今10年前後昔のモデルを使っていて、ハイエンドまでいかなくとも少しステップアップしたいという方には是非一度聴いていただきたいモデルです。
同価格帯では、もっと音楽的に美麗でリッチな音を鳴らすモデルもあって、一聴すると非常に魅力的に聴こえます。
しかしその中にあって、Hifiでクリアなサウンドを鳴らす本機は地味ですが負けておらず、価格とのバランスが取れた優れたモデルだと思います。
正直ヘッドホンを出し始めてまだ2機種目のメーカーとは思えない完成度だと感じました。

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