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「役者は考えることをやめさせてくれない仕事」駒木根葵汰が「役者」という仕事に今、思うこと

子供のころから「やりたい」と思ったことには恐れることなく飛びこんできたという駒木根葵汰。SNSで「イケメン高校生」として話題になり、スカウトを受けて芸能界へと飛び込んだ彼は、今日まで出会ってきた作品で役について、物語について悩み、考え続ける日々が楽しくて仕方がないのだという。スーパー戦隊で育まれた芝居欲は今、どのように芽吹いているのだろうか。

■全力全開!ゼンカイジャーで蘇った自身の原点。

——SNSでの活動が目に留まり、現在の事務所に。未知の世界に飛び込むことに対しての躊躇はなかったのでしょうか。
駒木根葵汰 躊躇ではなく、ワクワクする気持ちしかなかったです。もともと物事を楽観的にみるタイプでもあったのですが、失敗することについてもあまり考えないですし、とにかくやってみなきゃなにもはじまらないぞ、という気持ちで飛び込みましたね。
 
——そんな駒木根さんの名前を大きく広めたのはスーパー戦隊シリーズ「機界戦隊ゼンカイジャー」だと思います。一つの役とずっと向き合ったこの作品がご自身に教えてくれた「役者道」はどんなものでしたか?
駒木根 五色田介人というキャラクターが「全力全開」というキャッチコピーを元に生きているのですが、自分もやりたいことに飛びついていく性格ではあったもののこの介人に出会ったころはそういった性質が落ち着いてきていた時期でもあったんです。そんな時期にこのキャラクターと出会って、人生は一度きりだしやりたいことをやろうという気持ちに再びなることができました。どんな作品にも介人のように全力全開で飛び込むことは今も僕の心に宿っています。
 
——「楽しそうだな」と飛び込んだ今のお仕事ですが、「お芝居が楽しい」と思わせてもらった作品というと?
駒木根 それこそ「ゼンカイジャー」です。特にスーパー戦隊シリーズは特殊というか。普通に生きていて変身することなんてないですから、そういった意味でも特撮作品に出られたことは本当にいい経験でしたし、この特殊な世界を生きる介人を演じてきたからこそ、その後のお芝居にも繋がっていったと思います。介人からはギャップがあるような役とも出会いましたし、一つひとつの作品の中で普通に世の中を「生きている」一人の人間を表現することができたんだと思っています。戦隊ヒーロー作品と日常を描くような作品とでは表現に落差があるようですが、「生きている人間」として演じるときにはそんな日常の中のお芝居からも多くのことを感じられるようになりました。作品ごとにそれぞれ違う人間として生きることがまた楽しいんです。それに役を通していろいろなお洋服を着られたり髪形を変えたりするところも含めてお芝居って楽しいなって思います。

■常に芝居に集中している今が本当に楽しい


——役者という職業の魅力はどんなところにあると思いますか?
駒木根 やっぱり自分とは違う人間として生きられることではないでしょうか。最近の作品でいえば同性を愛している男性やピアニストを演じましたし、今は添い寝師でピンク髪のはっちゃけた子で。そういったまったく違う人物を演じられることは魅力ですよね。役と向き合っているときには頭の中が本当にいっぱいいっぱいになってしまうこともありますが、自分が体験したことのない職業や生き方、ルックスを体験できることは楽しいですし、この仕事に飽きることはないだろうと思います。もちろん一つひとつの仕事に対して悩みますが、その悩みがなくならないのもまた面白いです。考えることをやめさせてくれない仕事ですが、僕にとっては生きている日々に飽きることが一番怖いことなので常に集中している今が本当に楽しいです。
 
——これまで演じてきた役で苦戦した作品はありましたか?
駒木根 「差出人は誰ですか」の御手洗健が一番苦労しました。これまで役と自分とを切り離して考えていたのですが、この役と向き合ったときにはプライベートでも苦しさを覚えることがありましたし、演じていてすごく辛かったです。撮影は3か月くらいあったのですが、最初から最後まで同性に向ける報われない想いについて考えていましたし、相手に対してちょっと期待してしまうような瞬間でも報われないことがわかってもいるからこそ辛くて、しんどかったんです。それは今まで生きてきた中でも初めての気持ちであり、経験でした。

■見ている人が「こういう子がいたら楽しい」と思えるようなチャーリーを

——現在放送中の「星降る夜に」では添い寝屋でパリピ感あるピンク髪のチャーリーこと犬山正憲を演じていらっしゃいます。彼を演じることが決まったときにはまずどんなことを考えましたか?
駒木根 一番近しい存在がゼンカイジャーの介人だと思ったので、まずはTikTokをダウンロードしました。割と現代っ子でテンションが高いイメージでしたし、そういう動画はTik Tokにあるだろうと思って。でも自分が思っていたような動画が回ってこなかったんですよ。わんちゃんとか赤ちゃんの動画ばっかりになっちゃって(笑)。それでTik Tokを見ることは早々にやめてしまいましたが、とにかくテンション高くいくことを意識しました。ところが今の自分ではそのテンションの高いお芝居は1日1シーンで限界を感じてしまっていて(笑)。ゼンカイジャーのころはそのテンションで1年間走り続けられたのに!介人のときには延々あのテンションでいられたのに、むしろ今は「ウェ~イ☆」とするのに命を削っているような感覚です(笑)。作品自体が産婦人科医と遺品整理士という、命の重さを考えさせるようなセンシティヴな世界観ですが、その中でのチャーリーは視聴者のみなさんがクスっと笑えるようなアクセントになってくれるといいなぁと思っていますし、共演者のみなさんの空気感を大事にしながらチャーリーが「こういう子がいたらきっと楽しいだろうな」と感じてもらえるような役になったらうれしいです。
 
——作品の中で「生きている」駒木根さんからご覧になって、このドラマの見どころは?
駒木根 生と死のどちらもテーマとして持ち合わせている作品ですし、子供が生まれること、そして遺品整理を通して亡くなった方の想いも描く物語を通して心が温まりますし、北村匠海さん演じる音のない世界を生きる柊一星と吉高由里子さん演じる産婦人科医の雪宮鈴の恋模様からも目が離せないですし、家族の物語でもあるので、命を大切に想いながらしっかりと気持ちを伝えていきたいです。チャーリーの家族への愛も見守っていただきたいです。

【リーズンルッカ’s EYE】駒木根葵汰を深く知るためのQ&A

Q.今、興味を惹かれているものは?

「編み物です。年末に実家に帰ったときに始めたばかりなのですが、東京に戻ってからもずっと続けています。手芸用品専門店に行って、毛糸をいろいろと買ってきました。はじめたきっかけとしては、家でできることをとめどなく探し続けていることもそうですし、趣味の一環としてなにか新しいことをやりたいなって思ったことと、ピンク髪ということもあって帽子を収集していることでした。自分が思うような帽子が作れたらいいなぁ、と思っていますが、かなり時間が掛かりそうです。いつか自作の帽子を披露します!」

Q.2023年はこれが来る!

「ピンク髪!でも手入れが大変なんですよ。まずはお風呂で冷たい水で濯いでから黄ばみ止めのシャンプーやトリートメントをして、乾かすドライヤーも冷風ですし、ヘアクリームを塗ったらそのあとはオイルもあるし。40分くらいかかってしまいます。だから大変ではありますが、ぜひ街中で流行って欲しいですね。チャーリーきっかけで。ちなみに僕としては次の髪形は坊主にしたいので、ピンク髪のあとにはぜひとも坊主ムーブメントに到来仕手していただきたい(笑)!」

<編集後記>

一年前にリーズンルッカに登場されたときの駒木根さんはまだ「機界戦隊ゼンカイジャー」に出演中だったこともあり、現在の姿はガラリと精悍になった印象に。それだけゼンカイジャー後に出会った作品で「悩み、考え続けた」のだなと改めて感じました。五色田介人を見て育った子供たちの憧れを背負いながら、ますます進化していく役者・駒木根葵汰のこれからが楽しみです。

<マネージャー談>

スーパー戦隊シリーズに合格し、まさかの続投になり、この2年間は本人共々ジェットコースターに乗っているかのようでした。まだまだの俳優に主演というチャンスを与えていただき、演技について真摯に向き合って支えてくれたスタッフ、キャストの皆様に感謝しかありません。成長したなと思うところもありますが、仕事の合間の会話は、天然を爆発させることも未だあり困惑することも多く……好奇心は旺盛なので、え?またそんな趣味見つけた?と驚きますが、色々アンテナを張って、たくさんのこと吸収していって欲しいと思っています。

【プロフィール】
駒木根 葵汰(こまぎね きいた)
2000年1月30日生まれ。茨城県出身。2018年デビュー。2021年スーパー戦隊シリーズ「機界戦隊ゼンカイジャー」で主演・五色田介人/ゼンカイザー役を務め、一年間“全力全開”で駆け抜けた後には「商店街のピアニスト」の主演・澤本蓮役では趣味でもあったピアノを披露し話題に。現在はスーパー戦隊シリーズ「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」ゼンカイザーブラック・五色田介人役、「星降る夜に」の犬山正憲役で出演中。
Twitter
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取材・文/えびさわなち
写真/まくらあさみ
スタイリスト/千葉良(AVGVST)
ヘアメイク/吉村健
衣装/
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JOHAN SILVERMAN
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