出演作『9ボーダー』、『おいハンサム!!2』が4月からスタート!木南晴夏が考える、“自然”であるために必要なこと
女優として、母として、多忙な日々を送っている木南晴夏。2023年は数多くの話題作に出演し、2024年4月期も、『おいハンサム!!2』、『9ボーダー』といった作品に出演することが決定している。10代からキャリアを重ねてきた彼女が、近年の参加作や他の出演者から受けた影響とは?
■もっとナチュラルにお芝居ができればと思うように
キャリアを重ねると、これまでとは異なる役割が求められたり、まったく別の角度から物事に対応しなければならなかったりする。立場が変わればそこに新たな緊張が生まれるのは必然であるが、10代から芸能の仕事に邁進してきた木南晴夏が現在、心がけているのは自然体であることだ。ここ数年で、重要な脇役のみならず主演作品も放送されるようになり、TVドラマ、映画における存在感は明らかに増している。彼女はそうした周囲の盛り上がりを冷静に受け止めながら、演技という仕事と向き合っている。
「ここ数年で演じ方が大きく変わった、ということではないですが、昨年『ブラッシュアップライフ』の現場を経験して、もっとナチュラルにお芝居ができればと思うようになりましたね。“ドラマってこういう風に撮影するから、こうだよね”という形式張ったもの、自分のこれまでの経験の中で刷り込まれたものがあったのですが、物語としても斬新だった『ブラッシュアップライフ』で、それを崩しても良いんだ、と実感しました」
バカリズムが脚本を手掛け、何度も人生をやり直す「タイムリープもの」として大きな話題となった『ブラッシュアップライフ』では、特に主演を務めた安藤サクラさんの振る舞いに影響を受けたという。
「サクラちゃんのお芝居の影響は大きかったですね。作品の中でその役として生きるために、彼女はおそらく意識せずにやっている所作や振る舞いが、私からすると面白く、新しい視点だと感じる部分が多くありました。特に、“自然”や“日常”に対する捉え方ですね。直後に自分が『セクシー田中さん』で主演を務めたときに、その捉え方を演技に取り入れることができました」
■自信というのは大切なものだと納得できた時間
『セクシー田中さん』では、真面目なOLと情熱的なダンスを魅せるベリーダンサーという二面性をもったアラフォーの女性を、4月からスタートする『おいハンサム!!2』では不倫に走りがちな長女を、同じく4月期の新ドラマ『9ボーダー』では、直感的に生きる奔放な女性を演じる。複雑な経歴やキャラクターを持つ役どころも増えてきているが、そこに難しさは感じていないのだろうか?
「(難しさは)そこまで感じていないですね。自分自身も年齢を重ねてきて、同時に役の年齢も上がってきているだけなのかなと。私は、監督や演出の方が考える方向に合わせて、そのキャラクターを作っていく役割です。それが目指すことというか、今の自分が大切にしていることかなと思います」
一方で、自分ではない「役」を演じることで得られるものもある。何か別の存在になるということは、翻って自分自身を客観視することでもあり、それがポジティブな考えや生き方に繋がっているのも事実だろう。
「役に合わせてベリーダンスを習っていた時期があったのですが、その講師の方から “とにかく自信を持って、胸を張って!”ということをずっと言われていました。振りをそのまま再現することは練習すればできますが、自分がやっていることに自信がついて、余裕ができないと踊りで“魅せる”ことってできない。それくらい自信というのは大切なものだと納得できましたね」
最近では年下の俳優たちとも共演することが増えた木南。「現場を引っ張っていくようなタイプではない」と語る彼女は、撮影現場での振る舞いで気をつけていることがあるという。
「先輩・後輩の関係性であっても、相手が現場で話したいのかそうでないのか、すごく慎重に見極めます。というのも、自分が若いとき、撮影現場で先輩に喋りかけられるのがすごく苦手だった時期があったんです。人見知りだし緊張するし、うまく会話を返せないと嫌われるんじゃないかって常にドキドキしてしまって。自分のことでいっぱいいっぱいで、“お願いだから、今は話しかけないで~!”と思うこともありました(笑)。今ではかなり社交的になりましたけど、その頃の自分のように緊張する若い人たちも多いと思いますから」
■何でもチャレンジするのは好き。やりたいことはいっぱいある
2023年から複数のドラマ撮影が重なるなど多忙を極め、プライベートでも子育てに奮闘中の木南。もちろん、すべてが万事快調、というわけにはいかず、失敗や挫折も経験してきたはずだが、どのように乗り越えてきたのだろうか?
「うまくいかないことは忘れます。とにかく、今までうまく行かないことだらけだったので、忘れていくしかない。お芝居も、自分の中で満足したことってほとんどなくて、あとから“こうだったなぁ、ああやれば良かったなぁ”とか反省することばかりです。もちろん、そうした経験を糧にはするのですが、引きずらずにその場に置いていきます。そうしないと次に進めないタイプなので」
「失敗やうまく行かないことは忘れる」――そう語ってくれたように、木南は常に視線を前に、未来に向けている。それは仕事だけでなく、趣味における貪欲な姿勢にも現れている。パン好きが高じてはじめた「キナミのパン宅配便」のみならず、絵画やゴルフ、乗馬などにもチャレンジするなど、思い立ったらすぐに行動に出るところが、彼女の強みとも言えるのではないか。
「何でもチャレンジするのは好きなんです。でも、そのせいで自分を追い込みすぎることもあるし、時間がなくなって“うわぁ、私なんでこんなに忙しいんだろ?”って思うことも多々あります。趣味でいえば、ゴルフも結局、続いてないし(笑)……今は自分に使える時間も限られていますが、そんな状況の中でもできるものを選びながら、やりたいことを消化していきたい。まだまだやりたいことは、いっぱいあります」
【リーズンルッカ’s EYE】木南晴夏を深く知るためのQ&A
Q.最近、嬉しかったことは?
A.ようやく仕事の現場で、マスクを外して行動できるようになったことですね。マスクを付けていると、演者もスタッフの方々も表情が見えなくて、一回も素顔を見ないまま現場が終わることもありました。最近のドラマではようやく、スタッフさんの表情を見ながら仕事をすることができて、それが嬉しかったですね。
Q.趣味としてやってみたいこと
A.「馬に乗りたい」という目標があって、6年前くらいから乗馬をはじめました。馬に乗るのはすごく楽しいのですが、一度も場外に出たことがないんです。ここ数年、インタビューなどでも「場外に出たい」とずっと言っているのですが、いまだ達成できていません(笑)。
<編集後記>
「アクティブだけど自然体」という言葉がぴったりな木南さん。仕事も家庭もある中で、新しい趣味を発見する好奇心の強さ、そしてやってみたいと思ったらすぐにトライするその高い行動力には感銘を受けました。2024年も仕事は盛りだくさんのようで、女優としてますますの活躍を期待しつつ、今年こそ、馬と共に場外に出られることも願っています。
<マネージャー談>
どんなに過酷なスケジュールでも、周りを気遣ってくれる本当に素敵な人です。いつだって前向きで、でも心配性な部分もあって、そこも人間らしくてすごく好きです(笑)。
役作りのためにストイックに体を絞っていたころは、周りに何を言われても自分の追い求める姿までしっかりと追い込んでいたのが印象的でした。
ちなみにここだけの話、パンだけじゃなく麺も米も大好きです。
取材・文/森樹
カメラマン/嶌村吉祥丸
スタイリスト/中井綾子(crepe)
ヘアメイク/坂本志穂