女子のモヤモヤが始まる1日の味方。竹中夏海が教える“フェムテック”とは。①
振付師の竹中夏海が推奨している“フェムテック”。最近よく耳にするこの言葉は一体どういうものなのでしょう。どうやら女子の強い味方であり、知っておくと役立つようです。初歩的なことから、竹中自身の時間の過ごし方まで、女子にも男子にも知って欲しい話を教えてもらいました。
■“フェムテック”とは、テクノロジーの力を用いて女性の健康問題の解決を目指す分野のこと
最近、ニュースや雑誌で取り扱われ、耳にする機会が増えた“フェムテック”という言葉。そもそもこれは何なのでしょう?「“フェムテック”とは、女性(Female)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、テクノロジーの力を用いて女性の健康問題の解決を目指す分野のことです。初経を迎える10代前半頃から閉経する50歳頃までの約40年間、女性に起こる不調や悩みに寄り添ってくれます。馴染みのある“生理用品”と呼べるものは法律で定められた基準があり、“フェムテック”は今の段階では“生理用品”と呼ばれるものではありません。あくまでもテクノロジーの力を用いて問題解決をしてくれるものです。」と健康問題の解決方法へのアプローチによる違いや基準があるようです。
「“フェムテック”のカバー領域は広いのですが、主なカテゴリとしては“妊娠/不妊”“月経”“更年期”“産後ケア”“婦人科系疾患”“セクシャルウェルネス”などが挙げられます。最近では“ベビテック”という言葉も出てきていて、オムツに小さな機械をつけて、湿り具合をスマホで見られるものや、今までにあった母乳を搾乳する機械とは違い、ブラジャーにマッサージ機能があって、それによって搾乳できるものなど、子育てをしていく上での問題をテクノロジーで解決してくれるものも出てきています。」と日々進化している分野のようです。
■女子の悩みに具体的な解決法と成果が出るものが欲しかった。
竹中自身が“フェムテック”を知り、興味を持ったきっかけを聞きました。「明確に『フェムテックというものが良いな』と思うようになったきっかけは、知人がフェムテック産業の発展に取り組む会社のCOOに就任したことでした。振付師という職業柄、女性ダンサーやアイドルと接する機会が多く、彼女たちがなるべくストレスなくパフォーマンスをするためにはどうしたらいいのかを考えあぐねていた時だったので、その方のお話や発信するフェムテックの情報を見ていて、興味が湧いたんです。根性論や気の紛らわせ方ではなく、具体的な解決法で成果が出るものが欲しかったので、テクノロジーの力で解決する、という考え方に惹かれ、意識的にフェムテックを取り入れようと思いました。」
■試したいけど高い…だからこそどういうものが必要か知っておきたい。
竹中が関わる、ダンサー・アイドル業界の中でもフェムテックは未だ一般的になっているわけではないようです。「フェムテック商品は“生理の貧困”が問題視される今の時代を生きている若い子たちには、まだ値段が高いのが現状です。繰り返し使えるものなので、結果的に高額なものではないのですが、良いか悪いかわからないものにお試しで高いお金を払うのは難しいですよね。だから、私がまずは使ってみて本当に勧められるものを勧めたり、誕生日にプレゼントしたりしてお試しで使う機会を作っています。」
自分自身の生活スタイルによって製品を選ぶことが好ましいようで、「ダンサーや、アイドルは毎月生理が来ても関係なくステージに立たなければいけません。絶対に経血が漏れないで、安心してステージに臨めるようにするための手段のひとつとして吸水ショーツや、月経カップについて知っておいても良いのではないかと思います。」
「吸水ショーツについては履くだけなのでお勧めしたいですが、月経カップは日常生活を送るだけなら必須なものではないと感じています。コンタクトと同じで初めての時は『これを目に入れるなんて怖い!』と思うように、月経カップも、体の中に入れるものなので、慣れが必要です。ただ、ダンサーやアイドル、スポーツ選手にとっては動きの制限が出たり、医療用シリコンなどでできていて、水の影響を受けたりすることもないので試していただく価値はあるのではないかと思います。生理の時期をピルでずらすという案もありますが、毎回、前もって病院に行って処方してもらうことも大変だし、急に水着になったりすることもあるグラビアアイドルなどにとってはなかなか現実的な方法とは言えません。月経カップをいざという時に使えるように、選択肢として増やしておくのは良いのではないでしょうか。」
■性別関係なく知識として知っておいて欲しい
最近はジェンダーなどについて関心を持つ人も増え、知りたい情報がすぐ手に入るようになってきました。そんな中で竹中が感じることを話しても来ました。「すべての女性が、性や月経について、オープンになる必要はないと思っています。ただ、性別関係なく当たり前にみんなが女性には生理周期があること、それに伴いあらゆる心身の不調が起きることを知っている世の中になるといいなと思います。ピルに避妊薬としてだけのイメージがまだ強くあったり、生理管理アプリが性行為のためだけにあるように言われたりしているのは間違った情報だし、それが故に無神経な発言が増えてしまえば誰かを傷つけることになります。知識として知っておくことが大事で、今はちょうど世の中の意識をアップデートさせる時期なんだと思います。」
【プロフィール】
竹中 夏海(たけなか なつみ)
1984年6月10日生まれ、埼玉県出身。日本女子体育大学舞踊学専攻卒業後、2009年に振付師としてデビュー。その後、様々なアーティスト、広告、番組にて振付を担当。コメンテーターとして番組出演、書籍も出版している。