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AKB48を卒業した岡部麟、俳優としても大人としても“カッケー女”を目指して

2014年にAKB48 チーム8のメンバーとしてデビューし、2024年4月に同グループを卒業した岡部麟。卒業後は6月の舞台「鋼の錬金術師―それぞれの戦場(いくさば)―」にウィンリィ・ロックベル役で出演し、10月もアガサ・クリスティー原作の舞台「ゼロ時間へ」の出演が決定しているなど、演技の道をまい進している。

今回は芸能生活10周年を迎えたこのタイミングで、改めて芸能界を目指したきっかけやAKB48時代の経験、さらに今後の活動などについて話してもらった。

■「ファンの人と出会えたことが一番の宝物だったなって思います」

――AKB48を卒業して約3ヶ月が経ちましたが、お仕事やプライベートでここが変わったなと感じていることはありますか?

岡部 舞台「鋼の錬金術師」に出演させていただいているんですけど(※取材時)、舞台に出演しながらAKB48の活動もやってきたので、そこからAKB48の活動だけがなくなったって感じで、生活的にはそんなに変わってない気がします。

でも、3~4日の連休が芸能生活が始まってから初めてありました。AKB48のとき、コロナ禍でお休みが続くことはありましたけど、リモートで打ち合わせをしたり生配信に出演したりしていたので、完全なお休みではなくて。何もない、何も考えなくていい連休が続いたのは初めてだったので、素直にうれしいです。ずっとゴロゴロしているだけですけど、楽しく過ごしています(笑)。

――「お休みはどう過ごしているんですか?」と聞こうと思ったら(笑)。

岡部 ちょっと夏が苦手過ぎて(笑)。夏は極力おうちにこもっているんですけど、それ以外の季節は大好きなので、1人で遊びに行ったりお買い物をしたりしています。

――じゃあ夏にやりたいことというのも、これといってないんでしょうか?

岡部 避暑という意味でキャンプに行きたいなと思っていて、今計画中です。子供の頃から家族でよく行っていました。AKB48のときはお父さんが出張に行っちゃったりして、家族の予定がなかなか合わなかったんですけど、この夏ようやく行けそうなので家族で行く予定です。

――芸能生活10周年を迎えましたが、このタイミングで改めて、どうして芸能の仕事をしたいと思ったのか教えてもらえますか。

岡部 元々は芸能人になりたいというよりAKB48に、アイドルになりたいと思っていました。でも、恥ずかしくてずっと誰にも言えなかったし、親に1回言ってみたら「芸能界は怖いところだよ」って脅されて(笑)。それにビビッてオーディションを1回諦めちゃったりもしたんですけど、最初で最後と思ってAKB48のチーム8のオーディションを記念受験しました。「もし落ちたとしても、今後の人生のネタになるかな」くらいのノリだったんですけど、奇跡的に合格して、それからはずっとアイドルが天職だと思って楽しんでやれています。

――アイドルが天職というのはどういったところで感じたんでしょうか?

岡部 ファンの人と話しているのがすごく楽しかったというか。どのアイドルもファンの人と触れ合う機会はあると思うんですけど、AKB48は特に握手会がAKB48から広まったというか、重要視していたので。

あんまりこういうことを言うと寂しいアイドルと思われるかもしれないけど(笑)、私は家族より何でも話せたのがファンの人でしたし、メンバーに話せないような悩みや葛藤にもファンの人は共感してくれたから、その絆は卒業してもファンクラブという場所を作ってもらえたので、大切にしていきたいなと思っています。歌もダンスも楽しかったけど、私は私のファンの人と出会えたことが一番の宝物だったなって思います。

――AKB48のメンバーとして長い間活動して、どんなところが成長できたと思いますか?

岡部 最初の3~4年は弱さを見せちゃいけないと思って、メンバーと話すのも避けていたんです。一匹狼みたいな感じで、メンバーのことを仲間ではなく敵だと思ってしまっていたんですけど、活動の中でつらいことや楽しいことを一緒に経験しているうちにちゃんと仲間と思えるようになって、戦友や親友と呼べるようなメンバーがつくれたのは宝物だったと思います。家族以外の誰かを心の底から愛してあげたいなとか、そう思えるような人間にしてくれたのが、AKB48にいてよかったなと思うことです。

■ミステリー初出演が決定「新しいことに挑戦することにドキドキしています」

――そんなAKB48を卒業して、今は舞台「鋼の錬金術師」の真っ最中です。

岡部 今まで演じたのが悪い役ばっかりだったので、「鋼の錬金術師」ではヒロインに当たるキャラクターを演じられて楽しいし、うれしいです。本当に真っすぐなキャラクターで、好きになってもらえる役をできるのは楽しいなって思っています。

――これからは俳優業がお仕事の中心になるんでしょうか?

岡部 そうですね、一番経験を積まないといけないなと思うところでもあるので。AKB48ではいろいろなことに挑戦させてもらったんですけど、そのなかでも演技をしたときに、こんな面白いんだって思ったんです。

それまではセリフを覚えられなさそうだなってイメージしかなかったんですけど、実際にやってみたらすごく楽しいし、ファンの人からもらった感想を見て、もっと自分はこういうことができるんじゃないかって自信が持てたり、俳優業だけを生業にしている人と接して、もっとこういう人になりたい、近づきたいと思って、それで演技の世界に足を踏み出しました。

AKB48を卒業してゼロから始めたんじゃ遅いと思ったので、卒業する3年くらい前からどんどん舞台のお仕事もAKB48と両立してやっていて、それで何とか今も舞台に立てています。お芝居以外も、絵が好きなのでイラストを描いて個展を開くということもしたいし、1本に絞らずいろいろやっていきたいです。

――10月の「ゼロ時間へ」への出演も決まっていますね。

岡部 ミステリー作品には出演したことがなかったし、プライベートでも全く触れてこなくて…「名探偵コナン」ってミステリーですか?(笑) そんな感じなんですけど、この年で新しいことに挑戦することにドキドキしていますし、すごくありがたいことだなと思います。「鋼の錬金術師」でご一緒している一色洋平さんも出演されるので心強いです。あと、「ゼロ時間へ」では私が一番後輩になるので、何とか食らい付いていこうという気持ちです。

――あと2年で30歳になりますが、こういう人になりたいという理想像はありますか?

岡部 アラサーですね(笑)。“カッケー女”になりたいです。よく取材でもお話ししているんですけど、天海祐希さんみたいになりたいです。お芝居でもとても尊敬しているし、芯があって頼れる女性に憧れているので、天海さんみたいな頼れる大人になりたいなと思っています。

【リーズンルッカ’s EYE】岡部麟を深く知るためのQ&A

Q. プライベートでハマっていることはありますか?

A. これからハマるんですけど(笑)、パスタの製麺機を買う予定です。お料理の動画を見ていて、パスタって自分で作れるんだ!って知ったので、グルグル回して出てくる機械を調べてるところです。なので、パスタ作りにハマることになっています!と書いておいてください(笑)。

Q. 地元・茨城のお薦めスポットを教えてください。

A. 今は夏だから…どうしようかな。やっぱり海ですかね。私が高校生のときに陸上部の合宿で行っていた阿字ヶ浦の海岸がお薦めです。合宿で行っていたから、私は砂でできた急斜面をダッシュするということしかやっていないので、楽しい思い出はないんですけど、横目で見ていた遊んでる人たちが羨ましかったので、皆さんはぜひそこで遊んでみてください。

あとは「日立市かみね公園」にある「かみね動物園」と「かみねレジャーランド」がお薦めです。よくロケでも使われたりしていますし、山の上にある遊園地なのでジェットコースターで景色に落ちていくような感覚になれます。

<編集後記>

取材日は舞台「鋼の錬金術師」の真っ最中でしたが、舞台が終わったら金髪も元に戻してしまうので、この姿を残しておこうとスタッフさんと話して、今回の掲載が決定したようです。ウィッグではなく髪を染めたのは、準備の時短のためやAKB48を卒業して気持ちを変えたかったからとのことでしたが、それだけではなく「AKB48にできるの?と思われていたと思うので、それを見返したいという気持ちが2023年の第1弾が終わってからもずっと残っていた」ため、「私、そんなおしとやかな女じゃないからみたいな、ナメられたくないっていう威嚇みたいな気持ち(笑)」という意思表示でもあったそうです。インタビューは終始和やかな空気でしたが、時折岡部さんの負けん気の強さが垣間見えました。

<撮影の様子はこちら!>

【プロフィール】
岡部麟(おかべりん)
1996年11月7日生まれ、茨城県出身。アイドルグループ・AKB48の元メンバー。愛称は“りんりん”。2017年11月、シングル「11月のアンクレット」で初選抜入り。同年12月にチームAとの兼任が発表され、チームAキャプテンに就任。24年4月、AKB48を卒業。

取材・文/須田紫苑
写真/溝口裕也


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