泣いているところを慰めてくれた宝のことを忘れられず上京した大進。予想外の再会から育む二人の物語を岩瀬洋志と小西詠斗が丁寧に紡ぐドラマ『タカラのびいどろ』
2022年に発表された鈴丸みんたによるコミック『タカラのびいどろ』がドラマ化。ペットのオカメインコを亡くして泣いていたところを慰めてくれた宝のことを忘れられず、地元・福岡から上京してきた大進は大学で宝と再会するも、冷たく突き放されてしまうが、めげずに宝を追いかける。そんな大進のまっすぐな瞳から宝も目が離せなくなっていくのだった。BL作品初出演にしてW主演での初主演となる宝役・岩瀬洋志さん、大進役・小西詠斗さんにドラマ放送前に話を聞いた。
■映像であるからこその楽しみもある作品に（岩瀬）
——原作や脚本から抱いた『タカラのびいどろ』の印象をお聞かせください。
小西詠斗 全体的に温かい話だなぁって思いました。僕自身はこれまでBL作品にあまり触れたことがなかったのですが、この作品に出演することが決まったことで原作を読ませていただきました。読んで感じたのは、ラブストーリーとしてすごく楽しめることです。特にこの『タカラのびいどろ』は友だちも悪い人が出てきませんし、すごく愉快な人たちばかりが登場するんですよね。変なおじさんにストーカーされるエピソードはありますけど、それ以外は本当に平和で。キュンキュンして、楽しめて、どんな年齢、男女の方が見ても楽しめる作品だなと感じました。
岩瀬洋志 僕もBLを題材にした作品にあまり触れたことがなかったんです。僕の周りにも読んでいる人たちもいなかったので、自分がこうした作品に主演として出ることになるとは思っていなかったです。年齢も性別も問わず、楽しめる作品なのかなと思います。
■大進のまっすぐに言葉を伝えるところは「すごいな」と思う。（小西）
——それぞれ自分自身が演じられた役の魅力はどういうところにあると思われますか？
小西 僕は（中野）大進はすごくかわいらしくて、ちっちゃくて、すごくあわあわしていそうな子なんですけど、実はすごくまっすぐで芯の強い子なんです。心の内に秘めているものがしっかりとあって、大事なところでの判断力やまっすぐに人に伝えられる部分というギャップがあるところが魅力だなと思っています。
——自分と共通するところや真逆のところというと？
小西 特に序盤で、考えすぎて頭がパンクしてしまうことが多いのですが、僕もそういうところがあって。考えすぎて、悩みすぎて頭がパンクすることがよくあります。そこは似ているのかなと思いますが、逆に大進のようにまっすぐに伝えられないし、正直になれないなと思うところがあるので、そこは大進を『すごいな』と。僕の持っていないところだなぁと思います。
——岩瀬さんはいかがですか？
岩瀬 宝という人間が実際にいたとしたら、一見不愛想だし僕は絶対に好きになれないんです。でも作品を通して宝がなんでこうなったのか。どうしてこういう行動をとるのか。他人を寄せ付けない、なかなか人と馴染めないような不器用な部分は、なんでこうなったんだろうという原因は見ていると伝わってきて、そこで「こういうことだったのか」と宝への理解が深まったし、それに対して共感する部分もあったんです。宝っておじいちゃんっこなんですが、僕もおばあちゃんっこなので気持ちがわかる。それに僕も一人っ子なので、小さい頃から一人でいることが多かったので気持ちもわかる。だから不器用でぶっきらぼうで、普通の人からしたら冷たいかもしれないけど、本当はもっと繊細な男の子なんです。多分、心が幼少期で止まっているんです。周りを形成するものだけが大人になっていて。心の底はまだ子供みたいな部分が垣間見えるところがあるんです。大進と関わっているときって、波長が乱れる。大進ってイレギュラーな存在だから。その瞬間にそういった部分が見えるし、そこが魅力のポイントです。そこにくる大進も魅力的なんですよね。
小西 大進はそれに気づくからね。宝の弱い部分に気づいて「僕がどうにかしなきゃ」って。宝は思っていることとやることが逆をいっているけど、大進はまっすぐ。
■８時間もの時間を掛けた本読みを経て役を作っていきました。（小西）
温もりを感じられる作品なので楽しんでください。（岩瀬）
——BL作品に初めて触れたというお二人ですが、撮影に入られる前に準備としてされたことはありましたか？
小西 二人のシーンばかりだったので、本当に二人でたくさんのことを話しました。それこそ「こうした方がいいんじゃないか」とか毎シーン、自然と話し合いましたし、物語が進んでいく上で成長する大進と宝のグラデーションをうまくつけられたらいいなと思いながら脚本を読みました。あとわかりやすいところで言えば僕は方言もあるので。博多弁をしゃべる役ということで、事前に方言指導の方と練習をさせていただきました。あとは本読みのときに監督のみなさんとすごく時間を掛けて役を作りました。あれは……８時間くらいやったっけ？
岩瀬 ん？
小西 本読み。
岩瀬 すごく大変だったね。
小西 本読み８時間って、僕は初めてだったのですが、それくらい時間を掛けて撮影初日に向けて役を作っていったかなと思います。
——岩瀬さんはいかがですか？
岩瀬 確かに本読みはすごかったよね。しかも大進は方言も大変だったしね。
小西 うん。脳みそってあんな風にパンクするんだって思った！
岩瀬 本当に２人ともパンク状態。そこからいろいろと話し合って折り合わせていって。現場の合間時間、撮影をスタートして、カットが掛かったあとのカメラの位置を変えるようなほんのちょっとの時間でもなるべく芝居を合わせよう、合わせようって言って。「こういう動きをしたいからこういう風にしてくれない？」とか「こういう風にセリフを言うから、それを受けて欲しい」とか。お互いに譲り合ってやっていたので、関係性としてもよかったと思います。
小西 ね。よかったよね。自然といっぱい話し合えたし。
岩瀬 役としては宝が年上で、大進が年下なのですが、実際は詠斗くんの方が先輩なので現場に入る最初のときにも僕は敬語だったんです。なかなか敬語で入っていた状態で宝と大進を演じろと言われても、ちょっとやっぱり引っかかる部分が自分たちにもあったので、詠斗くんが察して気遣ってくれたんです。「敬語じゃなくていいよ。タメ口できて！」って気軽に振ってくれたので、そこから仲も深まって。
小西 仲良くなるのは早かったよね。
岩瀬 早かったです。それが本当によかったです。
——そんなお二人の姿が楽しみです。では最後に視聴者のみなさんに向けてメッセージをお願いします。
小西 この作品はたくさんきゅんきゅん出来るシーンや感動できるシーン、笑えるシーンも詰め込まれておりますので、ぜひたくさんのみなさんに見ていただきたいです。僕たち、本当にたくさんコミュニケーションを取って、力を合わせて作り上げた作品ですし、宝と大進の心情の変化、そして周りの役のみんな、いろんなところに注目してみてもらえると嬉しいです。
岩瀬 みんなの心が温まる作品になっていますので、たくさんの人たちに見て欲しいです。ぜひ見てください。
【リーズンルッカ’s EYE】岩瀬洋志&小西詠斗を深く知るためのQ&A
Q．実は今年の夏、楽しみにしていることを教えてください。
A.
「ドラマ『タカラのびいどろ』の放送を僕自身もとても楽しみにしています。ドラマ以外でこの夏にやりたいことは、格闘技を見に行くことです。さっきちょうど（岩瀬と）話をしていたんです。ボクシングとか見に行きたいですね。あとは最近、運転をしていないので、車でどこかに行きたいです」（小西）
「海に行くこと！スケジュール次第ではありますが、ギリギリ行けるのではないかな、と今、ひそかに思っているところです。（マネージャーを見る）……絶対無理っぽいです（笑）。詠斗くんも言っていたけど、僕も格闘技を見に行きたいです。この夏、詠斗くんと一緒に見に行きたいと思います」（岩瀬）
Q．最近、印象に残っている「心が動いた瞬間」を教えてください。
A.「今日、久しぶりに洋志に会えたことです。“やっぱりカッコいいなぁ”って思いました。全然会えていなかったので、こうやって会えて、いろいろと話す時間があると楽しいです。これこそ“心が動いた瞬間”じゃないかなと思います」（小西）
「それ、俺が言おうとしていたのに！俺も詠斗くんに会えたことが嬉しいですし、こうやって話ができるのは心が躍ります。プライベートでは焼肉を爆食いしに行ったりしたんですけど、あのときは具合が悪くなるくらい食べました（笑）」（岩瀬）
＜編集後記＞
本記事の写真撮影時にも仲の良さを感じさせたお二人は揃って「雨男」だそうで、本作撮影中には１か月の撮影のあいだで７割もの日程で雨を降らせたのだとか。晴れろと祈った翌日大雨になってしまった、としょんぼりする岩瀬さんに「僕たち、きっと2人とも雨男なんだよ」と優しく励ます小西さんが印象的でした。その仲の良さがドラマでも優しいお二人の姿に繋がっていくと思うと、放送が楽しみです。
＜小西詠斗マネージャー談＞
小西は、真面目でいつも悩みがちで、でもどこかいい意味で適当なところもあり、そのバランスがいつも面白いなと思ってみています。
本人も言っているように、考えすぎてしまうところや昔インコを飼っていたところなど、共通点のある役と巡り会えたように思います。
雨にも負けず、風にも負けず、W主演の岩瀬さんをはじめ監督の皆さん、スタッフの皆さんとチーム一丸となって作り上げた作品です！
8時間の本読みがとても懐かしく思います。笑
初めて原作を読ませていただいた時から、ずっとワクワクしていました。
早く皆さんにご覧いただきたいです！！
【プロフィール】
岩瀬 洋志（いわせ ようじ）
２００４年１月６日生まれ。兵庫県出身。2019年、TikTokに投稿した動画で一気に有名に。SNSのフォロワーが増え、話題をさらったことがきっかけで芸能事務所からスカウトされて2020年にデビュー。趣味はトレーニング、ギター、甲子園観戦。特技はバスケ、水泳、スケボー、空手など。主な出演作にドラマ「最高の教師１年後、私は生徒に■された」の遠山泰次郎訳、ドラマ「新空港占拠」猿/丹波直樹役など。近作はドラマ「南くんが恋人！？」の江藤役。『タカラのびいどろ』の志賀宝役は小西とのＷ主演での初主演作となる。
小西 詠斗（こにし えいと）
2000年1月21日生まれ。広島県出身。2019年俳優デビュー。同年には「舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち」で堀川国広役に。以降多数のテレビドラマ、舞台に出演してきたほか、2020年からは4年間、日本テレビ系「ZIP!」流行ニュースキテルネ！リポーターを務めるなどマルチに活動している。近作に「『進撃の巨人』-the Musical-」のアルミン・アルレルト役、ドラマ「REAL⇔FAKE Final Stage」の菅原陽翔役など。6月8日（土）から「舞台『刀剣乱舞』心伝 つけたり奇譚の走馬灯」に堀川国広役で出演。
取材・文／えびはらなち
写真／松井綾音
▼岩瀬
スタイリスト／帆苅球、渡部莉菜（アシスタント）
ヘアメイク／池上豪
▼小西
スタイリスト／TAKURO、野嶋あいり（アシスタント）
ヘアメイク／Hyo