「私はこの作品をやる運命」美山加恋、アニメ映画『フラ・フラダンス』の声優オーディションで意気込んだ理由
福島県いわき市にある“東北のハワイ”こと「スパリゾートハワイアンズ」のダンシングチーム、通称「フラガール」。そのフラガールを仕事に選んだ新入社員・夏凪日羽（なつなぎ・ひわ）と同期の仲間、そして彼女たちを取り巻く人々との絆を描くオリジナルアニメ映画『フラ・フラダンス』が12月3日（金）より公開される。
主人公・日羽（CV：福原遥）の同期となる新人フラダンサー・鎌倉環奈を、ドラマ、舞台、ミュージカルと着々と出演作を増やしている美山加恋が担当。2004年の子役時代、ドラマ『僕と彼女と彼女の生きる道』で、草なぎ剛が演じた主人公の娘役を務めブレイクした彼女だが、当時から“声優へのあこがれ”を持っていたと語る。
■「自分の新しい可能性が見えてきた」声優の現場
「小さい頃からアニメが好きだったこともあり、“声優さん”という職業を意識したのは、同年代の中でもとりわけ早かったと思います。だからこそ、『自分もいつかは……！』と思っていたのですが、タイミングもあって関わることができたのは、20歳を迎えてからなんです」
いま、今作を含めアニメ声優として参加できている現状を喜んでいるが、最初は役者現場との違いに戸惑っていたという。
「雑音を出さないための姿勢、マイクに乗る声の出し方、台本の持ち方など、わからないことが多かったですね。あとアニメでは、お芝居のように“素に近い演技”では駄目……というか、私がそれしかできないので、毎回試行錯誤していました。でも、そうやって全然違う体験をしたことで、自分の新しい可能性が見えてきたのは収穫です」
声優の現場で得た経験、そして自信は、役者業の方にもしっかりと反映されている。
「ドラマ『ラーメン大好き小泉さん』がわかりやすくて、あの作品は原作ありきでコメディタッチ。キャラクターに寄せたお芝居がうまく出来たんじゃないかなと思っています。そうした意味でも、声優はずっと続けていきたいですね」
■「実は演技よりもフラダンス歴のほうが長いんです」
『フラ・フラダンス』で用いられている「フラダンス」というテーマ。2006年の『フラガール』で、国内での知名度が一気に上がった印象だが、美山自身はそれより前、彼女が3歳の頃から取り組んできたという。
「実は演技よりもフラダンス歴のほうが長いんです。だからオーディションの時点で、『私はこの作品をやる運命だ！』と思っていました（笑）。いつかどこかでお芝居と絡めてできることないかなと思っていたので、今回やっとその機会が訪れて嬉しく思っています」
演じる鎌倉環奈という人物は、フラ全国大会優勝経験者で、プロ意識が高くしっかり者。それゆえ、他のダンサーにきつくあたってしまうことも。
「本当“リーダーシップの塊”っていう人ですよね。私は全然そういうタイプではないので、冷静に、かつ情熱的に……その塩梅は演じる上で難しかったです」
■フェンダー製のエレキと出会いギター熱が再燃
今年25歳を迎え、大人としての落ち着き、麗しさを備えてきた彼女が、いま一番好きな時間とは。
「それこそ『リーズンルッカ』で韓国語の連載をやらせてもらっているんですが、どういった文章を書けば見ている人にわかりやすく伝わるのか考えているときですね。パソコンで文を作成することも、あまりやってこなかったので新鮮です。SNSは結構投稿しているんですが、短文でごまかしてきたので（笑）」
また、それとは別に最近始めた“ハマリモノ”があるという。
「ギターをはじめました！フェンダー製のエレキで、スゴく可愛い形をしているんです。これまでアコギはお姉ちゃんのお下がりでやっていたんですけど、エレキに出会ってからは、よりチャカチャカと弾く機会が増えました。最初は指の皮がベロベロに向けて痛かったんですけど、指も硬くなってきて、覚えるコードも増えて楽しくなってきました。12月12日に誕生日イベントがあるので、そこで演奏を披露するのが目標です」
＜プロフィール＞
美山加恋（みやまかれん）
1996年12月12日生まれ、東京都出身。2002年舞台「てるてる坊主の照子さん」でデビュー。2004年、フジテレビ系ドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」の凛ちゃん役で注目を集める。以降、映画「いま、会いにゆきます」、「僕らのごはんは明日で待ってる」、NHKBSプレミアム「一億円のさようなら」、TBS「IRIS ～アイリス～」、日本テレビ 「美丘」、フジテレビ「鈴子の恋」、ミュージカル「ピーターパン」「赤毛のアン」など出演作多数。声優として、2016年日本テレビ系「エンドライド」でTVアニメに初挑戦したのち、2017年テレビ朝日系「キラキラ☆プリキュアアラモード」で主人公・キュアホイップ/宇佐美いちか役でアニメ初主演を果たす。2018年テレビ東京「アイカツフレンズ！」に蝶乃舞花役で出演。MCを務めるテレビ東京「あにレコTV」が放送中。2022年芸能生活20周年を迎える。
＜作品詳細＞
取材・文／東田俊介
写真／持田薫