舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』藤田悠×西野遼、物語内の“名コンビ”はプライベートでも仲良し 休みの日はカラオケで熱唱
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』が、2024年7月以降も上演されることが決定した。ロンドンで誕生した本作は、『ハリー・ポッター』シリーズの19年後を描く新たなオリジナル・ストーリーで、原作者・J.K.ローリングが自ら演出家のジョン・ティファニー、脚本家のジャック・ソーンとともに創作。映画を観た人にこそわかる面白さ、初めて観る人にも伝わるセットの壮大さなど、とにかく見どころはつきない。
今回リーズンルッカでは、1stシーズンから参加する「アルバス・ポッター」役の藤田悠、2ndシーズンから加わった「スコーピウス・マルフォイ」役の西野遼に話を聞いた。舞台ではかけあいの多い二人だが、普段から信頼しあえる仲のようだ。
■藤田はすでに350公演を突破
ーー舞台が終わったあとは、二人でご飯を食べに行くぐらいの仲と聞きました。
藤田「そうですね。次の日も舞台があるから、大体の人はすぐ帰るんですけど、遼はそんなことない」
西野「僕から結構誘っていて。『はる君、今日めっちゃお腹空いてるんですよ……』って(笑)」
藤田「自分は舞台が終わって、ちょっとしてからお腹が空くんですけど、遼は速攻でお腹が空く。それも牛丼屋さんに行きがちです(笑)」
西野「舞台は激しく動くんで、食べないと体重が減っちゃうし、元気が出ないんですよね。もう育ち盛りのわんぱく少年のように食べてますね」
ーー西野さんが2ndシーズンから参加して100回の出演を数えたところですね。一方藤田さんは……。
藤田「数で言ったら、350回を超えました。というか、遼はまだ100回なんだ。もっと一緒にやってる感がありました。未だに覚えているのが、遼が2ndシーズンから参加したとき、稽古でどうしていいかわからず寂しそうだったんですよね」
西野「2ndシーズンが始まる前から、しっかり稽古には参加させてもらってはいたんですが、みんなが仕上がっているだけに、自分がここに入れるかな……とずっと不安で。そしたら、はる君が積極的に話しかけてくれて、めちゃくちゃありがたかったです」
藤田「だって、何かかわいそうだったんだもん(笑)。そもそも舞台上だと親友役ですから、ギクシャクしたものは早めに取っ払った方がやりやすいなという思いもありました。いやでも、遼はずっと頑張ってるよね」
西野「(爽やかに)頑張ってます!」
藤田「それが僕も嬉しいし、一緒に舞台上で100%が出せるように後押ししたいんですよね」
■先輩・藤原竜也から学んだこと
ーー自分も舞台を拝見したんですが、普段の関係性が重要性になるほど、二人のシーンが多いですよね。
藤田「そうなんですよね。遼との出演シーンは相当経験を積んできたので、僕にしかわからないことも増えてきたと思います。『あっ、遼ここでもうちょっと行きたいんやろな』みたいな、空気感でわかってきた」
西野「そのへん流石ですよ。もう偉大すぎて」
藤田「すぐ偉大っていうんですよ(笑)」
西野「いやいや、はる君はオーディションも半年受けてたし、本当にどれだけの長い年月をかけて、この舞台のことを考えて立ってきたんだろうっていう、計り知れない努力をしてきた人だから。そりゃ尊敬の目を向けちゃいますよ」
藤田「でも、自分の今日の体調とかテンション的にどれくらいまでやれるんだろうみたいな、その不安みたいなのは、ずっと付きまとってますね。無理に気持ちを上げても、演技が不自然になっちゃうからバランスをとり続けるのが、難しいというか。だからスケジュールとかも1週間分しか見ないようにして、来週がどうなのかとか考えないようにしています」
西野「めっちゃわかります。一日一日の積み重ねですね」
藤田「(藤原)竜也さんとか、二回公演の日、初回のカーテンコールが終わった直後に、『はい次の一回!』みたいな、余韻に浸らずすぐ切り替えていくのを見て、すごいなと思ったんです。そうした"無意識の切り替え”は自分も意識するようにはなりましたね」
■人生で一番体に気遣ってる時期
ーー舞台は“生モノ”だと思うんで、体調とか相当気をつけてなければいけないと思うんですがどうでしょうか。
西野「僕、アミノ酸とかマルチビタミン、マルチミネラルは飲むようになりました。あと、お風呂入った後にストレッチ、喉も酷使するんで、吸入器使ったりとかしますね」
藤田「あれ入ってるよね。アイスバスみたいな」
西野「そうです。舞台が終わってすぐに、氷水が入った大きな容器に入ってクールダウンしてます。"すべてが落ちる”というか、めっちゃ気持ちいいんですよね」
藤田「プロ野球選手も使ってるやつらしくて、竜也さんも入ってましたね」
ーー藤田さんはどんなケアをしているんですか?
藤田「僕はちゃんと朝ご飯を食べちゃうと、途中で気持ち悪くなっちゃうので、ウィダーinゼリーと、あと朝バナナみたいなゼリー、それとプロテインを飲んで行くのが決まっています」
西野「プロテイン飲んでるイメージある(笑)」
藤田「朝ご飯にもなって、筋トレもしてるからタンパク質も取れたら一石二鳥かなと。ただ昼夜公演の間では、ちゃんとご飯食べますよ。あと昼夜間は“ちょっとでも寝る”っていうのは決めてて、15分ぐらいは仮眠取ってます。なんだろう、体を休めると言うよりかは“脳みそを切り替える”感覚ですよね」
ーーもしかしたら人生で一番体に気遣ってる時期かもしれないですね。
藤田「そうかもしれません。ちょっと体の調子悪いなってなった瞬間に急にビタミンとか摂りはじめる(笑)」
西野「わかるなー!」
ーーすでに7月以降も上映が決まっていて、どんどんリピーターも増えていきそうですね。
藤田「Xでその日の反応とか見るんですけど、『今日はセリフ間違えてた』とか、演出助手の方ぐらい見られていますからね(笑)。もう長い期間いますが、気合は常に持っています」
西野「本当細かいとこまで見てらっしゃいますよね。もちろん、初見の人たちも多いので、誰がいつ来ても楽しめるように、これからも頑張ります」
【リーズンルッカ’s EYE】藤田悠&西野遼を深く知るためのQ&A
Q. 舞台の休みの日、息抜きはどうしているんですか?
藤田「最初のうちはもう疲れちゃって、家で休むのが精いっぱいだったんですけど、本番に新鮮に臨めなくなっちゃうのが嫌で、最近は外に積極的に出たり、映画や舞台を観たりして、違う作品をインプットして変化をつけています。たまに『ハリー・ポッター』シリーズも観ますよ」
西野「二人でカラオケにも行きましたよね。はる君、喉が強いんですよ。次の日舞台があるっていうのに『大丈夫』って言って、めちゃくちゃ熱唱していて」
藤田「ああ、宮本浩次さん歌ったんだ。『宮本から君へ』の主題歌『Do you remember?』ね。遼はバラード系の曲を歌って喉を整えてたね(笑)」
西野「そういえば、『とびら開けて』っていう歌があるんですけど、デルフィー役の鈴木結里さんと、発声の練習を兼ねて、デュエットしたことがあります。僕の持ちネタですね(笑)」
<編集後記>
この仕事を受けるまで『ハリー・ポッター』に疎かった自分。さらに3時間40分という長丁場の舞台、「耐えられるのか…」と一抹の不安があったが、杞憂に終わった。あっという間で相当楽しめた。とにかく目についたのがセットで、舞台上に湖みたいなのができるし、「えっ、いまの演出どうやってセッティングしたの?」という驚きの連続。百聞は一見にしかずとはこのことを言うんだろうなと。これから見る方は劇場のある赤坂駅から、すでに気持ちが上がる装飾がしてあるので、そちらも見て欲しい。
<藤田悠マネージャー談>
「ハリー・ポッター」という偉大な作品がプロとしてのデビュー作となり、尚且つその本番公演を350回以上もこなし続けていく背景には、心身ともに相当なプレッシャーを掛けさせているはず。
…と思いきや、疲弊した姿をマネージャーには全く見せようとせず、普段はフランクで人懐っこい可愛らしいタイプ。(恐らく相当な負けず嫌い)
一方で、仕事へのストイックさや熱量が会話の端々から溢れ出てくるので、その「メリハリ」みたいなものが、今後俳優として面白く生きてくるのではと期待しています。
周囲のスタッフやキャストへの感謝を忘れず、常に何かを吸収していこうという姿勢は、私も彼から見習っていきたいと思います。笑
<西野遼マネージャー談>
初めて会った日から今に至るまでずっと、明るくて爽やかな好青年。その一言に尽きる男だなと。シリアスでスマートな表情を見せたかと思えば、顔をクシャっとさせて笑う表情を見せる一面もあり、そのギャップも彼の魅力なのかもしれません。
取材中は「かわいい~」の声をもらうべく、ちょっとあざとい言動?(笑) をすることも多々見られますが、なぜか憎めない、そんな西野遼。今後は舞台に限らず、ドラマに映画にと更なる飛躍を期待しています。
初舞台であることを感じさせない大胆で繊細な彼のパフォーマンスを是非、みなさま劇場で体感してください!
<撮影の様子はこちら!>
取材・文/東田俊介
写真/松井綾音
ヘアメイク/赤塚修二
スタイリスト/永田哲也