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芸能活動10年目“戦隊モノ3制覇”の木下彩音が見据える大きな夢

2015年9月23日、『第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン #kawaii』でグランプリを受賞し、芸能界入りを果たした木下彩音。
 
来年で芸能生活10周年を迎える彼女は『ウルトラマンR/B』『忍者戦隊カクレンジャー 第三部・中年奮闘編』『仮面ライダーガッチャード』などに出演。特撮作品でも存在感を示し、ファンから愛される存在だ。
 
そんな木下の現在地を探るべくインタビューを実行。芸能界入りから、2つのターニングポイント、今見据えている未来についてなどたっぷりと語ってもらった。

■オーディション中に見出した芸能活動の楽しさ

ーー『第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン #kawaii』でグランプリを受賞し、芸能界入りを果たした木下さん。もともと芸能界に興味はあったのでしょうか?
 
木下 いえ、15歳の時に母がオーディションに応募したのがきっかけで芸能の仕事をすることになりました。それまではわりと人前に出ることにも抵抗があって……。
 
ーーそうなんですか!?
 
木下 この仕事を始めて9年経ちますけど、未だに人前で何かをするっていうのは得意ではないですよ。自分から積極的にアピールするタイプじゃないんです。だから、自分が出た作品を「これ見て!」って言える友達と話しているとすごいなって憧れちゃいます。まだ自分に自信がないんですかね……。私の中でずっと課題だなって思っています。
 
ーーオーディションを途中で辞退するという選択肢はなかったのでしょうか?
 
木下 すごく些細なことなんですけど、大阪で行われた地方予選のときにお母さんと服装で揉めて(笑)。「だったら行かない!」って喧嘩したのを覚えています。結果的にはお母さんが言った洋服に着替えて行ったんですけどね。ただ、結果としてやるからには頑張りたいと選考が進むにつれ思うようになりました。
 
ーーすごく高校生らしい理由ですね(笑)。
 
木下 私はズボンで行きたかったんですけど、オーディションのテーマが“#kawaii”だったこともあって、スカートで行きなさいって言われて(笑)。今思うとたしかにお母さんが選んだ服装の方がテーマに合っていたので感謝しています。
 
ーー芸能活動が楽しいなと思ったタイミングはいつ頃でしたか?
 
木下 オーディションで10人に絞られたときに「ここまで来たら、勝ちたい!グランプリになりたい」と思うようになって、芸能のお仕事にも興味を持ち始めました。そこで初めてプロのカメラマンさんに写真を撮っていただいたりして、楽しいなって。「どうしたら良く見えるだろう」とか考えるのも楽しいなと思いましたね。

■上京、中国での撮影…感情がぐちゃぐちゃに

ーーご自身が考える最初のターニングポイントっていつでしょう?
 
木下 上京したタイミングですかね。最初は実家から通っていたのですが、高校3年生の10月に単位が足りなくなっちゃって。しかも、そのタイミングで中国の映画に出ることが決まって、北京に1ヶ月間行かないといけなくなってしまったんです。あの時は、感情が一番ぐちゃぐちゃになりました。
 
ーーそれはどうしてですか?
 
木下 自分が思い描いていた人生じゃない人生が始まるんだって思って、頑張らなきゃって思ったんです。ただ、その一方で東京自体もわからないのに、言葉が通じない北京に行って、慣れないことだらけだし、寂しいし、本当にダメかもしれないなと。「やるしかない」というのはわかっていたんですけど、急にひとりぼっちになった孤独感に押しつぶされそうになっていました。
 
ーーそのとき、心の支えになっていたものはなんですか?
 
木下 高校を卒業できずに上京することになったときに、仲の良い子たちが私のために卒業式をしてくれたんです。それから上京する日、朝の6時過ぎの新幹線に乗らなきゃいけなかったんですけれど前日に「テスト期間だから送れなくて、ごめんね」って言ってたみんなが新幹線乗り場で待っていてくれて。そのときの写真や動画を見て「頑張らなきゃ!」って自分を奮い立たせていました。今も地元に帰ったら集まる、大事な存在です。

■3つの特撮シリーズへの思い

ーー『ウルトラマンR/B』『忍者戦隊カクレンジャー 第三部・中年奮闘編』『仮面ライダーガッチャード』3つの特撮シリーズに出演されている方ってなかなかいない気がします。それぞれ、木下さんにとって、どんな作品か教えてください。
 
木下 まず『ウルトラマンR/B』は、実は違う役を志望してオーディションを受けたのですが、いずれにせよ「オーディションに通ったんだ」という喜びを感じられたのを覚えています。ただ、芸能活動を始めて間もない頃で、演技の経験も全然なかったので、セリフを覚えるのでいっぱいいっぱいで。長い期間かけて放送される作品の演出方法だったり、グリーンバックだったりと初めての経験をたくさんしましたね。
 
そう考えると、楽しかったというよりも、大変だった記憶が強いです。ただ、ウルトラマンに出たことによって、一気にSNSのフォロワーが増えましたし、今でもファンでいてくださる方が多いので、本当に出られてよかったなと思っています。
 
ーー続いて撮影したのは『忍者戦隊カクレンジャー 第三部・中年奮闘編』だそうですね。
 
木下 はい。放送はカクレンジャーの方が後だったんですけれどもオファーしていただいたのは仮面ライダーよりも先でした。カクレンジャーは、本読みで皆さんにお会いした時に当時と変わってらっしゃらない姿とか、長い年月が経っても自分の役を愛している姿勢にすごく感銘を受けました。アクションシーンを一緒にやらせてもらうシーンもあったのですが、もしも私が何年も経った後で自分がやってきた役をもう1回やるってなったときに、ファンの皆さんに懐かしさを与えつつ、レベルアップしてるじゃんって思ってもらえるように頑張らなきゃなって刺激を受けましたね。
 
ーーなるほど。
 
木下 自分の将来について「何年後とか何してるんだろうな」ってふわっと思ったこともあったんですけど、カクレンジャーに出演したことで「ファンの方って、ずっとついてきてくださるんだから、もっとちゃんと自分の役と向き合って愛せるようにしなきゃいけないな」と思いました。
 
ーー『仮面ライダーガッチャード』の撮影はどうでしたか?
 
木下 先に仮面ライダーの放送があったので「ウルトラマン出てた人だ!」ってコメントをいただいたのを覚えています。その時点で「2制覇している!」って言ってくださった方も多かったのですが、私的にはカクレンジャーをすでに撮り終わっていたので、もう「3連覇してるよ!」って言いたくて仕方がなかったですね(笑)。
 
ーーたしかに、それは黙っておくのが大変ですね!
 
木下 あと、仮面ライダーに関しては第9・10話に出させてもらって、第44・45話でまた再登場させてもらったのですが、それに関しても「再登場してほしい!」って声が届いていました。ただ、私も再登場の予定があるのを知らなかったので「いや、ないんだよね」って思いながらも、みんなに愛される役にできてよかったなって思っていました。
 
そこから実際に再登場が決まって、発表ができたときには、たくさんの人が喜んでくださって。めちゃくちゃいいタイミングでいろんな人に知ってもらえたなって思いましたね。本当に特撮ファンの方にはたくさん支えられています。
 
ーー1つ1つの作品もロングランですし、1クール放送のドラマとはまた違いそうですね。
 
木下 そうですね。アクションもありましたし、変身しちゃう役だったから声だけを録ることとかもあって、特殊だなって。それから、エキストラで来てくださる方とかも、特撮ファンクラブの応募で来てくださる方ばかりなので、皆さん逃げるお芝居がすごく上手なんです。それを見て、作品を好きな人と一緒に作り上げていくのも楽しいなと思いました。

■成長を感じた『探偵が早すぎる』への出演

ーー芸能生活の中で、自分が1番成長したなと感じた瞬間を教えてください。
 
木下 大学を卒業して、お仕事1本になるタイミングですかね。「何もなくなっちゃったらどうしよう」っていう不安が大きかったんです。そのタイミングで『探偵が早すぎる』に出演することになって、作品に助けられたし、全力を注げた感じがしました。
 
ーー芸能生活の中で、自分が1番成長したなと感じた瞬間を教えてください。
 
木下 元々見ていた作品だったということもありますし、実は第1シリーズの時に最後の2人までキャスティング候補になったものの選ばれなかったという経験がありました。その時は10代だったんですけど、全然演技もしたことなかったし、実力不足だったなと自分でも思っていて。だから、大学を卒業して、不安が大きかったタイミングで出られることになって、本当に嬉しかったんですよね。絶対に存在感を残すぞ、と挑みました。
 
ーー結構、負けず嫌いな一面もあるんですね。
 
木下 負けず嫌いかもしれないです!ただ人と比べてというよりも、やりきれなかった自分に対して「そこに行くまで何をしていたの?」「本当に100%だったの?」って考えちゃうという意味での負けず嫌いかなと。これでも最近は自分を褒めてあげられるようにもなったんですけどね。

■海外をフィールドに、再挑戦したい

ーー冒頭、自分をアピールするのが苦手だとおっしゃっていましたが、そんな木下さんが今考える自分の強みとはなんでしょう?
 
木下 本当に強みがありませんでした(笑)。ただ、今聞かれたら中国語ですかね。
 
ーーそれは中国での撮影経験の影響ですか?
 
木下 実は映画の話をいただくよりも前に、テレビの中国語講座を見て、独学で中国語の勉強をしたんです。高校生のときに「自分の強みを作りたい」って思って、英語の勉強をこんなにしているのにできないなら、別の言語を学びたいなと(笑)。そこから今も勉強を続けていて、日常会話を話せるようになったので、そこが自分の強みなんじゃないかなって。もっと今後仕事で生かしていきたいです。
 
ーーなるほど!ぜひ木下さんが描く今後のビジョンを教えてください。
 
木下 もっといろんな人に知ってもらうためにも、それこそ海外に行って、日本語を話してるような感覚で中国語をしゃべれるようになりたいなと夢見ているところはあります。世界中の人から見ていただけるような作品と良いご縁があったらいいなって思いますね。
 
ーー10代の頃は、寂しい思いもしたとのことでしたが……。
 
木下 きっと今も寂しかったり、辛くなったりするかもしれないなとは思います。ただ、私って、そういう環境に置かれたときに1番スイッチが入る気がするんです。そういう意味では「もっと自分に負荷をかけていいんじゃないかな」って最近考えていたりもするので、あの頃の私から成長したということを自分でも実感したいし、見てほしいなとも思っています。
 
ーーもう1回行きたいと思えるのは、なぜだと思いますか?
 
木下 やはりすごく大きな経験でしたし、あの頃の自分のMAXではあったものの、今思うと「もうちょっとやりたかったな」っていう悔しさもあって。リベンジしたいんです。 

【リーズンルッカ’s EYE】木下彩音を深く知るためのQ&A

 Q.最近のブームは?

A.サウナにめっちゃハマってます。昔ホットヨガをやっていたときはサウナに全然入れなかったのですが、今はもう水風呂を楽しみにサウナで10分12分耐えるのがクセになっちゃって(笑)。普段お仕事をしていると、汗をかかないようにしなきゃって思うことも多いのですが、その反動でサウナで思いっきり汗をかくことの気持ちよさに気づいちゃいました。

Q.ポムポムプリンのグッズを集めるのが趣味だそうですね!ずばり、どんなところが好きなのでしょう?

A.素朴な感じがたまらないんです。だから、ほっぺがハートのポムよりも、スタンダードなデザインが好きですね。LINEのアイコンも、もうずっと前から大阪のイベントの時に自分で撮影したポムの写真です。でも、最近はぬいぐるみが増えすぎちゃったので、我慢しています。実用的なグッズは買っちゃいますし、ガチャガチャを見つけたら回しちゃうんですけどね(笑)。ベッドのところに飾っているポムたちが癒しです。

Q.2024年も残りわずか。やりたかったけど、まだやれていないことは?

A.プライベートだと結構いろんなことに挑戦したんですよ。ダイビングとか山登りとか、花火大会に行くとか。夏っぽいことをたくさんできました。お仕事では、大河ドラマに出たいなって思っています。私、めちゃくちゃおじいちゃん・おばあちゃん子なので、2人が見るような作品に出たいんです。「よかったじゃん」って言ってもらいたくて。ぜひ昔から長く続いているようなシリーズとか作品に出たいです。

<編集後記>

とても柔らかな雰囲気で、ゆっくりと言葉を紡いでくださった木下さん。しかし、そんな彼女の胸の内には、メラメラと燃えるアツい思いがあると感じさせてくれました。きっと、努力家な彼女なら、日本と世界を繋ぐ存在になること間違いなし!これからも多くの人から、長く愛される彼女の活躍に注目していきたいです。

<マネージャー談>

僕も担当してまだ日が浅く、パーソナルを垣間見れたありがたい貴重なインタビューでした笑
彼女はどこか秘密主義的なところがあり、普段のコミュニケーションにおいても、核となる部分は自分の中に大切にしっかりしまってある印象を受けます。
しかしそれが彼女の魅力の一つであり、どこか深みを感じる要素なのかもしれません。
まだまだこれからの俳優人生、そんな彼女の魅力を多くの人に知ってもらえるよう頑張ります。

【プロフィール】
木下彩音(きのした あやね)
2000年2月21日生まれ、京都府出身。映画『Bi t t e r s a n d 』(21年)、『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』(19年)『探偵が早すぎる』(22年)などに出演。
現在はBS日テレ『0.5D』に出演中!
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取材・文/於ありさ
写真/林将平


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