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「溝が…」「爪の先を…」仲良し4少年『ビリー・エリオット』当事者だからこその知られざる苦労に共感大

イギリスの傑作映画『リトル・ダンサー』を舞台化し、第63回トニー賞で10部門を受賞したミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』。約4年ぶりとなる日本版が11月24日まで絶賛公演中だ。毎シーン鳴りやまぬ拍手と感涙に包まれる本公演で主人公ビリー・エリオットを演じているのが、浅田良舞、石黒瑛土、井上宇一郎、春山嘉夢一の4名。オーディションによる難関を勝ち抜いて大役を手にした4名が、公演中の現在の心境や知られざる苦労、公演後に食べたい御馳走などを教えてくれた。ステージ上で見せる勇姿とは一味違う、無邪気な少年たちの仲良しリラックスムードを味わってほしい。

■リアクションはしっかり聞こえている

──絶賛公演中の今のお気持ちをお聞かせください。
 
浅田:演じている最中は意外と緊張していない事の方が多いです。でも慣れが出てしまうのは絶対にダメなので、公演のたびに新しい自分、新しいビリーになれるように頑張っています。
 
石黒:公演では毎回お客様が違うので、拍手をもらえた時はとても嬉しいです。その反応を頂いて、これからももっとお客様を感動させていきたいなと思います。
 
井上:公演毎に新たな発見があってとても楽しいです。本番で演じてみてわかることも多くて、舞台に立つたびに自分をレベルアップさせようという意識が生まれています。
 
春山:バレエも歌も楽しくやっていて、そんな僕に対して拍手や歓声を頂けるのが嬉しくて。
お客様に対する感謝の気持ちが大きいです。
 
──上演中、あまりの喝采に“拍手鳴り止み待ち”という状況もあるくらい、観客からの反応も上々ですね。
 
浅田:ブラボーとか聞こえるね。
 
井上:口笛のような音もハッキリと聞こえる。
 
石黒:あの“ピー!”という口笛みたいな音凄いね。
 
浅田:拍手や歓声が凄すぎて歌のカウントが聞こえにくいときもあってドキドキすることもある(笑)。
 
──観客の反応は演者の皆さんにしっかりと届いているんですね。どんなリアクションをもらったら嬉しいですか?
 
石黒:自分は好きなことをやっているだけなのに、それに対してお客様が拍手をしてくれたり、ブラボー!と褒めてくれたりするのが嬉しいです。
 
浅田:自分として納得がいくものを見せることが出来た時にブラボー!と言われるとテンションが上がる。ちなみにお客様が泣いて鼻を啜っている音も聞こえるよね?
 
全員:聞こえる(笑)!
 
井上:手拍子でもブラボー!でも何でもいいので、反応をもらえるとどんどん楽しくなるし、気持ちもどんどん上がっていきます。
 
春山:お客様がこの舞台に入り込めてるのがわかるような、拍手とか手拍子とか掛け声とか。リアクションならば何でも嬉しいです。

■ステージ上の“溝”にまさかの苦労

──様々なシーンの中でバリエーション豊富なパフォーマンスがありますが、一番大変なシーンは何ですか?
 
石黒:これはみんな同じだと思うから、せーので言ってみる?
 
全員:せーの…『エレクトリシティ』!
 
石黒:思った通り、みんな一緒だ(笑)。
 
──その理由を教えてください。
 
春山:ビリーの1番伝えたいことが詰まっている曲なので、絶対に失敗できない場面だからです。歌があってダンスがあってまた歌があって、最後にダンスという構成なので息の使い方もそうだし、本当に感情が爆発してしまうと冷静に物事を進められなくなるので、爆発と冷静さを同時に保たなければいけないので難しいです。
 
石黒:歌を歌って息が上がっている中で、大声を出してまた踊るというのが大変。途中から「ヤバい!」「ミスるな自分!」という気持ちになる。ジャンプも飛びたくないくらい呼吸も上がっているし、一つ一つの技に緊張しながらやっている感覚です。『エレクトリシティ』終わりは喉がカラカラになり過ぎて、舞台袖にはけた瞬間「水!水!」となります。
 
浅田:それわかるよ、あれはヤバいよね。
 
井上:『エレクトリシティ』は練習の時からきつすぎて「もう無理!」となったこともあります。調子がいい時は前向きに取り組めるけれど…。
 
浅田:コンディションが悪いと「終わった…」って気持ちになる。歌って踊って疲れて…。
 
井上:でも僕ら頑張ってるもん!大丈夫だよ!
 
全員:そうだ!そうだ!
 
──観客として見ているだけではわからない、知られざる苦労はありますか?
 
石黒:ステージに傾斜があるのでバレエを踊る際に重心のかけ方が普段と違います。最初は上手く回れませんでした。
 
全員:そうそう!
 
浅田:普通にバレエをやろうとすると、前に行っちゃう!
 
全員:そうそう!
 
春山:ステージに(舞台装置を動かすための)溝があるのも大変だよね。
 
全員:わかるわ~!
 
浅田:シューズの指先が溝にハマると指先がグニッとなって…。
 
井上:ハマったら終わり(笑)。
 
浅田:椅子を回しながら踊る場所の真下に溝があるのも困っちゃう!
 
石黒:僕は側宙で足を踏み込む際、溝に親指がハマったことがあって。かなり焦りました。
 
浅田:縄跳びしながらのタップダンスも…難しいでしょ。
 
全員:うわ~!

■目が回らない秘策は同じ

──ハーネスを装着して空中で高速回転する場面もありますが、目が回ったりしないのですか?
 
全員:目は回る!でも自分の手の指先の爪を見続ければ平気!
 
井上:僕は最近、爪の先を見るのをやめました。それでも目は回りませんでした。
 
石黒:僕は全然慣れていないや。
 
浅田:回転の勢いが弱い時は下を見ても大丈夫かも。
 
井上:でもお客様の事を考えたら迫力という意味で高速回転が良いよね?
 
全員:そりゃそうだ!
 
──かなりの運動量を必要とする舞台だけにお腹もすくと思います。公演後に食べたい御馳走は?
 
井上:はい!僕は中華。餃子がいい。
 
石黒:わかるわ…。
 
春山:何にしようかな…。わかんない。パス。すみません!
 
石黒:僕は和食です。湯葉とかクリームチーズみたいに濃厚な豆腐料理を食べたことがあって、それがとても美味しかったから。
 
浅田:僕は麺類だったらなんでもいい!ラーメン、うどん、パスタならばカルボナーラかな。

■物欲皆無なビリー・エリオットたち

──全公演が終了した時に、ご家族からどんなご褒美をもらいたいですか?
 
全員:うーん、特に欲しいものはないです…。
 
井上:そのお金を今後の留学資金に回してほしい(笑)。
 
春山:今回の『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』がご褒美みたいなものですから。
 
石黒:誕生日プレゼントをもらえればそれで十分です!
 
──将来の夢は?
 
浅田:バレエダンサー。国内でトップになりたい。引退後は野球の解説者になりたいかも(笑)。
 
石黒:バレエの歴史に名を刻むダンサー!
 
井上:ロイヤル・バレエ団に入りたいです。
 
石黒:宇一郎君がロイヤルに行くなら僕も一緒に行きたいな。
 
井上:え?ホント?一緒に行こうよ!(石黒とがっちり握手)
 
春山:バレエ留学したいし、今回の経験を活かせるような場所で活動してみたいです。

<編集後記>

公演の最中は鬼気迫るパフォーマンスで観客を魅了する小さな名優たちですが、ステージを一歩降りると年頃の無邪気な少年に様変わり。誰からともなく劇中ナンバーを大声で歌い出したり、妙にツボって一斉に爆笑したり、とにかく明るくて元気。そのパワーに驚くこちらに「家に帰ると疲れを感じるけれど、会場にいる時は不思議と疲れない」と教えてくれた彼らは、まさしく選ばれるべくして選ばれた逸材だと実感しました。将来のヴィジョンもはっきりと持つ若き原石の輝きを、劇場で、生で、多くの方々に目撃してもらいたいです。明日への活力になる事間違いなし!

<プロデューサー談>

ビリー4名は長期のオーディションを勝ち残った、素晴らしい実力、個性の持ち主たち。
そしてクオリティをよりアップさせていく為に、本番が始まってからも日々稽古を続けています。
其々の魅力がどんどん増しており、千秋楽頃には今よりも更にパワーアップした4名を見て頂けるでしょう。一度ご覧になった方にも是非ビリーの成長を見届けにもう一度見に来て頂きたいです!
 
『ビリー・エリオット』は2017年、2020年と上演を重ね、今回が日本上演3度目。スタッフ、キャストのクオリティは公演を重ねる毎に上がり、特に大人たちが描く人間ドラマはより成熟したものとなっています!ビリー達の成長物語に限らず、たくさんの見どころが詰まった素晴らしい作品です!

<撮影の様子はこちら!>

【公演情報】
公式HP
https://horipro-stage.jp/stage/billyelliot2024/
 
<東京公演>
本公演:2024年8月2日(金)~10月26日(土)
会場:東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
 
<チケット料金>
S席:平日15,000円/土日祝15,500円
A席:平日12,000円/土日祝12,500円
B席:平日9,000円/土日祝9,500円
Yシート:2,000円(期間限定販売・20歳以下対象チケット)
 
<キャンペーンチケット>
東京公演 ビリーラッシュチケット当日引換券販売決定!
各公演日の前日 12:00 からホリプロステージにて【ビリーラッシュチケット当日引換券】を先着販売いたします。受付枚数は公演日時により異なります。
 
【販売券種】
ビリーラッシュチケット当日引換券:平日 10,000 円/土日祝 10,500 円
※ウェブのみの販売
※S・A席相当
 https://billy2024.com/news-detail.php?id=44
 
東京公演イベント
■ビリー・エリオット&マイケルコンプリートキャンペーン!
ビリー・エリオット役とマイケル役それぞれ4人全員を東京公演でご覧いただいた方へ非売品特製チャームをプレゼントいたします!
 
【対象出演者】
■ビリー・エリオットコンプリート:
浅田良舞、石黒瑛土、井上宇一郎、春山嘉夢一
 
■マイケルコンプリート:
髙橋維束、豊本燦汰、西山遥都、渡邉隼人
 
 
<大阪公演>
期間:2024年11月9日(土)~24日(日)
会場:SkyシアターMBS
キャストスケジュール>>
 
<チケット価格>
S席:平日15,000円/土日祝15,500円
U-25:平日12,000円/土日祝12,500円 ※ホリプロステージではS席のみ取扱い

【プロフィール】
浅田良舞(あさだ りょうま)
2012年生まれ。小学6年生。バレエダンサーである両親のもとで2歳からバレエを始める。一度決めたことは最後までやり遂げる芯の強さと勇気が持ち味。23年に英国ロイヤルバレエスクールサマースクールにスカラシップにて参加。ユースグランプリ2024日本予選プリコンペティティブ部門第1位。第81回全国舞踊コンクールバレエ第二部第二位。
 
石黒瑛土(いしぐろ えいと)
2012年生まれ。小学6年生。3歳でバレエを始める。明るく人懐っこい性格で、正義感も強い頑張り屋。大舞台にも強く、誰にも負けない探求心を垣間見せる。23年にはモナコ王立プリンセスグレイスバレエアカデミーへの留学を果たした。23年NBA全国バレエコンクール第1位、YBCバレエコンクール第1位。
 
井上宇一郎(いのうえ ういちろう)
2010年生まれ。中学2年生。バレエダンサーである両親からバレエを学び、3歳で初舞台を踏む。エネルギー溢れる踊りを見せ、海外への2ヶ月間の短期留学も経験した。繊細さと大胆さを兼ね備えた性格で、ピアノも弾きこなす多彩ぶり。22年ヴィクトワールバレエコンペティション第2位、パシフィックインターナショナルバレエコンペティション3位。
 
春山嘉夢一(はるやま かむい)
2011年生まれ。中学2年生。ビリー役への人一倍強い思いで努力し、役を掴む。レッスン中も楽しむことを忘れないポジティブな性格。バレエの他にも器械体操や二重跳びなど抜群の運動神経を見せる。23年NBA全国バレエコンクール(小学5・6年の部)第2位、22年バレエコンクールin横浜(ジュニア3部門)第3位。

取材・文/石井隼人
写真/田邊駿平


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