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第4回日本の学生が選ぶゴンクール賞最終選考作品4作品決定!

2024年のゴンクール賞が先日決定し、カメル・ダウドの「HOURIS」が受賞しました。ゴンクール・アカデミーがあらかじめ選考した作品を、各国の学生がフランス語で読み、自分たちの気に入った作品を選ぶというイベントが「日本の学生が選ぶゴンクール賞」となり、発表は2025年3月を予定しております。最終選考作品4作品が選ばれ、いずれも独特な世界観もった一読に値する作品ですので、ぜひこの機会にお手にとってみてください。


Prix Goncourt 2024 ゴンクール賞2024年

「私が真実の痕跡であり、10年間アルジェリアで起きたすべてを語る最も確かな証拠である。子どもの時から体に刻み込まれた一つの戦争の証拠を隠している。」若いアルジェリア人女性のオーブは、経験していない独立戦争を呼び覚まし、自ら経験をした1990年代の内戦を忘れなければならない。首にある傷跡と失われた声帯、悲劇は体に刻まれていた。声を取り戻すことを夢見て、お腹にいる娘だけに語られる物語。彼女に子どもを持つ権利があるのだろうか?自分の命が奪われかけたのに、新しい命を授けることができるのか?内戦について語ることを禁じられたこの国で、全てが始まり、亡者が語りかけるかもしれない故郷の村へ彼女は向かう。

1990年代のアルジェリア内戦「暗黒の十年」を背景に、戦争の恐怖と傷に向き合う女性を痛烈に表現した、カメル・ダウドの小説。アルジェリア内戦という禁忌を扱い自国アルジェリアでは出版禁止の措置を受け、フランス文学最高賞であるゴンクール賞を受賞した作品です。


Prix Renaudot 2024 ルノドー賞2024

ステラのお気に入りの木「ジャカランダ」の影に隠されている秘密とは?友人のミランはその秘密を知るのに何年もかかった。ツチ族の虐殺で荒廃したルワンダの地の沈黙を解くには長い年月が必要であったのだ。亡者に言葉を与えることで、若者たちは孤独から逃れ、美しいキブ湖のほとりで平和を見つけるのであろう。

ルワンダの恐ろしい歴史を、特有の優しさで包みながらガエル・ファイユが4世代にわたる物語を語ります。光と闇にそびえる木のように、矛盾を抱えながらも愛し生きることを讃える小説です。ルノドー賞2024年受賞作品。


ル・アーブルの浜辺で発見された遺体、唯一の手掛かりはズボンのポケットから見つかった映画のチケットに書かれた電話番号だけであった。それが自分の番号であるのにも関わらず、その男性に全く覚えのない語り手。青春時代を過ごした街ル・アーブル、地平線、映画館、遺体とのつながりを探る中で忘れ去られたはずの人生の瞬間を思い起こしていく。

推理小説のようでありながら、ページを追うごとに、過去や傷、そして失われた何かを探る、マイリス・ド・ケランガルによる内面的な探求の物語です。


母の死を受けて、25年前にフランスへ亡命したモロッコ人の教師ユセフは、遺産整理のために故郷サレヘの街へ戻る。若き日の恋人であったナジブや過去の声が一気に甦る。貧困と暴力、性的または社会的な「違い」が存在するサレの路地裏、そして「涙と砦」と呼ばれる旧市街の城壁。母や姉妹たちへの深い愛情、そして恐ろしい幼少期の「遺産」にユセフは向き合ってゆく。

同性間の恋愛が未だに罰せられるモロッコ社会の暴力性を描き、Prix Décembre 2024、Prix de la langue française 2024 など数々の賞を受賞した作品です。

フランスの多層的な社会問題が現れている作品が選考されました。登場人物の苦悩や悦びに共感しながら、フランスの今を読むことができます。読者は様々な価値観を包括することの大切さを学ぶことだろうと思います。

当店でいずれも取り扱いがございますが、完売してしまったタイトルもございます。いずれも再入荷予定がありますので、再入荷通知設定をしていただければ、いち早くご案内が可能ですのでぜひご利用ください。


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