元受刑者の生きづらさ、映画「過去負う者」
刑務所を出所した人びとが人生をやり直そうとして新たに住まいを見つけ、仕事を見つけようとしてもさまざまな困難に出会うことになるという現実があります。映画「過去負う者」(船橋淳監督)は元受刑者のための就職情報誌を編集している人びとと元受刑者たちの姿を描いています。「防犯」という言葉に日常的に取り巻かれ、「犯罪者」は自分たちとは別世界の人というイメージをつくりがちな私たち。元受刑者たちを受けいれようとしない今の社会に問いをなげかける作品です。
いわゆる台本は作成せずに、役を与えられた俳優たちが言葉と演技をつくってゆくという手法で撮影された作品です。
この作品と関連することですが、刑務所には知的障害のある方、生活苦におちいった高齢者、薬物依存の方、虐待被害経験者などがたくさん入所しています。福祉制度や医療の適切な利用、地域や職場の人びとの理解と配慮などによって社会生活を営むことができるはずの人びとです。話題になることは少ないけれど、大切な社会課題だと思います。
映画「過去負う者」公式サイト