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Solistiade反田恭平&Friendsレポその1<2022年5月8日サントリーホール>

遂にご帰国されました務川慧悟さん! 3月にフランスに戻られてから早や2ヶ月。早かったような気もするが、いやいややっぱり長かった。待ちわびてました。だってご帰国したというニュース聞いただけで私なんか、テンション上がりっぱなしですから(笑)。
今から6月11日までの約1ヶ月に1公演+α? なかなか凄い日程ではないですか(or いや、もっと入れられる←鬼)。もう全て観たい聴きたいのはファン心理なんだが、そこは気力体力経済力との闘いーふっ。
そんな務川さん、当初の予定から急遽追加で出演が発表された、Solistiade反田恭平&Friendsのファン感謝クローズドコンサート4公演が今回の帰国後初公演となりました。私はその第1回目の東京公演(サントリーホール)と第4回目の京都公演(京都市コンサートホール)に運良く席を確保いたしました! 今回はその第1回目東京公演、例によって素人感満載の務川さんに激偏りしたレポートです。

いつものごとく(といっても2回目なんですけどね照)非常に華やかなサントリーホール。入り口のモニュメントや広場の開放感と特別感やそこに至る建物やパサージュ。いよいよ中に入ってみれば赤カーペットに高級感あふれる内装、ゴージャス感にワクワクですね。ホール内に入るとあの巨大な客席がほぼほぼ女性で満席。ピアノコンサートはいつも女性が多いとはいえ、今回はそれ以上に女性度高め。皆さんなんか浮き浮きと華やいでいるように見えるのは自分が浮かれているだけではない、Solistiade会員のクローズドコンサート。さらにピアノに務川慧悟さんが出演されるとくればもうウキウキですわーーなどという間にもオケ登場。今回はJNOメンバーに慶應大学ワグネル・ソサィエティーオーケストラの皆さんを加えた特別編成。コンマスは東亮汰さん。そしてなんとヴァイオリニストの周防亮介さんのお姿も! 最後に指揮者の反田恭平さんがご登場。黒スーツに白シャツ、ドット柄の黒ネクタイ、ウェーブのかかった髪。うっすらと笑顔をたたえてゆっくりと足を運ぶ。

1.モーツァルト歌劇「魔笛」より序曲。

オケに颯爽と指示をする反田さん。そんなに大きくなく、優しさを感じさせる柔らかな腕や身体の動き。指揮のことはよく分からないのだが、最初の曲で皆さん緊張もあったと思うが、一曲目から全体にもう、信頼関係に基づくであろうある種の雰囲気が生まれている。拍手。
ここでマイクだったか、それとも登場してすぐマイクだったのか、もう私の粗末な記憶が曖昧なのが情けないが、まあそこは置いておいて(おっ!)反田さんが話した内容を思いつくままに書いてみる。例のごとく勝手に言い回し等を変えていますことご了承ください。

JNOは最初メンバー8人で始めたんです。ファンクラブも最初は80人のコンサートから始まって。それが今やメンバーも増え、昨年は佐渡さん指揮で演奏もしたり、こうしてサントリーホールでこんなに沢山のお客様に来ていただき演奏会ができるのはとても有難いことですね。
指揮をやりたいという思いはずっとあったのだが、僕もようやくそこそこピアノが弾けるようになったので(笑)先月からようやく指揮の勉強を始めました。それまでは趣味のように振っていたんです……というようなお話だったと。

2.「JNOを振ってみる」

僕は子供の頃はサッカーをやっていて、将来はサッカー選手になりたかったんです。ところが怪我をしてしまった。もう怪我をしたくないな、ピアノならそんなに怪我はしないだろうなと、そこからピアノの練習を真剣にやるようになりました。12歳の時に、会場はここではないんですが、テレビ番組の企画で初めてオーケストラを指揮する機会を得ました。それがとても楽しかったことが音楽の道に歩む大きなきっかけとなり、さらに指揮者になりたいという夢につながったと思います。今日の企画に出てくださる方も、何かしら今後の夢に繋がってくれるといいな。
という反田さんのお話の後、女子高生や小さな子、大人の女性の方までの6名がブラームス「ハンガリー舞曲第5番」あるいはモーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」からの抜粋を指揮した。
小さい男の子のハンガリーが非常に上手で会場から拍手喝采。最後に登場した女の子のアイネクライネも素晴らしかった。オケの皆さんは指揮に合わせてテンポや強弱を変え、臨機応変な対応がさすが。会場大盛り上がりの楽しい企画でした。
ラストに、反田さん指揮でアイネクライネが演奏された。

3.「スペシャルコーナー」ピアノ反田恭平

一旦オケのメンバーは退場し、反田さんのソロピアノ演奏のコーナーになった。
反田さんのお話。
先日ポーランドで師事していたパレチニ先生が、ショパン音楽大学から名誉博士号を授与され、その披露会で僕が学生代表としてピアノ演奏をしたんです。ツィメルマンもわざわざ東京から駆けつけたんですよ。そんな顔ぶれの中で先生もツィメルマンも弾かないで、弾いたのは僕。凄いことですよね。
今日はそこで弾いた曲マズルカとロンド、そして英雄ポロネーズを。僕のコンサートに来てくださる方は、またかと思うでしょうが。
というお話の後、ピアノに向かった反田さん。

ショパン:マズルカ風ロンド 何度お聴きしてもため息しか出ない珠玉の反田さんの名品。もう職人芸、いや巨匠の域。あの小粋で唸らずにはいられないニュアンスは反田さんにしか出せない。本当にコロコロと心地よいんだよなあ。
ショパン:ラルゴ変ホ長調 反田さんが有名にした曲といっても良い美しい曲。ショパンの頃のポーランドが、今の世界の状況と自然とリンクし、本当に心に染み入る。
ショパン:ポロネーズ第6番変イ長調作品53「英雄」 反田さんの英ポロをは華々しい勝利だけではない、複雑な色を感じさせてくれる。
会場はため息とともに大拍手。この3曲はもう反田さんの曲ですね〜。例えていうなら、真央くんのK.330や務川さんの妖精、ソナチネのように。
さて演奏を終え、やや息の上がった反田さん。
「ちょっと休憩をいれたいので、息をつく間を繋いでくれる助っ人を呼びます」と。おっ!
「彼とは同じコンクールで優勝してからの友人です。僕はコンクールは避けてきた人間だが、彼は果敢に多くのコンクールに挑戦して、ロンティボーやエリザベート、その度に何らかの賞を取ってくるすごい人」
という説明の後、つつつついに! 務川さん登場〜。光沢あるグレースーツに黒シャツ、ダークレッドのネクタイ、チーフ。「休憩するから何か話しておいて」という反田さんの無茶振りに、務川さん訥々と話し始めます。
「僕は半年前に初めてこの会場で演奏しました。そして今回は反田くんのおかげで再びここで演奏できることになり、とても光栄に思っています」
その間にも反田さんから「もっと話してて」「指揮に演奏、司会もあるから結構大変なんですよー」といった合いの手が入り、務川さんも「いや、今は休んで」「水を飲んでください」などと仲の良いやり取りが続く。反田さんの「今回僕が指揮で務川くんがピアノ。いつかはやりたいと思っていたが、こんなに早く実現するとは思わなかったね」「十年後くらいと思っていた」
「今回練習も楽しかったね」「リハもたくさんやった」なんてやり取り。もう仲良しーーー!
その間に椅子がもう一つ運ばれ、縦に並べられる。
「せっかく二人でいるので一緒に連弾を弾きたいと思います。ハンガリー舞曲1番と2番、そして先ほどの5番をお送りします」
おおお! 務川さんがプリモ、反田さんセコンド。お二人の息の合った演奏がとても素敵。だったのよ。しかし、うわっあっさりとした感想。いや忘却とは恐ろしい。

休憩

4.シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54 

第1楽章Allegro affettuoso
いよいよシューマン。
Tuttiからピアノ。このタターンタターンと降りて行くピアノ単独の6和音がドラマを予感させ、ラスト2音Tuttiによるカデンツ。からの連続で木管が第1主題を奏で、すぐにピアノが引き取る。第1主題の最初のCーHーAはクララのテーマ。2021年NHK交響楽団との11月定期でこの曲を演奏した藤田真央さんも語っています。

妻クララへの愛に満ちあふれている作品です。シューマンの作品に現れる架空の団体「ダヴィッド同盟」 に、クララはキアリーナ(Chiarina)として登場します。その「C-H-A」の音形が、ドシララ、ドシラというふうに何度も出てきます。「クララ、クララ」とずっと言っているような曲です。シューマンの曲は、他の曲もクララへの愛情に満ちていますけれどね。ブラームスにもクララへの想いを感じる作品がたくさんあります。
引用元:「N響 ニュース」https://www.nhkso.or.jp/news/20201008_2.html

この第1主題を、務川さんは本当に切なげ、というか心からの叫びを切々と訴えるように弾く。まさに歌。抑えていても溢れ出す思い。
反田さんの柔らかな手の動きに合わせて、オケメンバーも調和の合った演奏。
Tuttiからのピアノによる演奏、ピアノがメロディを主導し弦や管楽器が乗ってきて次第に盛り上がり、再びTuttiでカデンツ。務川さんは他の楽器とのアンサンブルを愛おしむように、何度もオケと反田さんに目線を送る。
ピアノ協奏曲だから当たり前かもしれないが、非常にオケとピアノとのやり取りが多い印象で、そこを重視しつつ、ピアノがしっかり主張をしているのが大変印象深かった。指揮の反田さんも、務川さんの自由に任せているというか、全面的な信頼を寄せているのが伝わってきた気する。
務川さんの演奏を堪能できる渾身のカデンツァののち、ピアノの伴奏ゾーンから最後は駆け上がりTuttiジャジャジャジャン!で第1楽章終わり(←語彙)。

第2楽章Intermezzo; Andante grazioso
ピアノのアウフタクトからのA-B-C-Dのスタッカートでの和音進行を、弦がフーガのように追う。へ長調の明るい曲調。流れるようなフレーズをピアノが弾き、オケが応えたり後を追ったり。
いやあ、こういうスタッカートと短いフレーズで世界を築くのは務川さんの真骨頂だと思うの。お互いの音やバランスを見ながらの場面が多くて、なんだか第1楽章よりもお互いの気持ちがより近くなった、みたいな(笑)。
それでいてなんともお洒落な感じが漂うのが、やはりフランス仕込みというか、務川さんの良さが非常に出た第2楽章でした。エスプリ〜。

第3楽章Finale; Allegro vivace
切れ目なく入る3楽章は大団円というか、明るく華やかなイメージ。
この第3楽章は、もうずっとピアノが鳴りっぱなしなイメージ強くて、つまりファン大歓喜な楽章と言ってもいいのでは(違)。
しかしど素人だからわかりませんが、このアルペジオの連続の感じはきっと何か工夫があるんですよ。同じってことはないはずですから←いや何なんだ、この感想は(呆)。しかし私この曲超好きなのですよ。
さて曲終盤(えっ)唐突だが、714小節目のこの3拍目の強勢、私大好きでして、なんならフェチといってもいいんだが、これと似たような感じが812小節と814小節、820小節と822小節のsfなんだが、ここがねやっぱりsfと続く和音の関係が強すぎず。というのが美学だなーと思いました(意味伝わるかな〜汗)。

分かるかなー


あとこの曲で美しいのは883小節目から898小節目に続く壮大なCis-H-H-Aの和音進行(各音の間に4小節のアルペジオ挟みの)が本当に多幸感に溢れていて、と書いてて今気づいたよ! ク・ラ・ラじゃないすか! あああーシューマン〜愛溢れすぎ! あああーそうかー。前からめちゃ盛り上がると思っていて、特に空を浮遊していくイメージ、つまり天にも昇る心地、なるほどね〜。

●30:10くらいの箇所です(技術なくてすみません)
ペライア(ピアノ)、ハイティンク(指揮)コンセルトヘボウ2009

ところで今回の務川さんは、私の感覚で言えば空に飛ばなかったのですよ。もっと実直な感じ。これはね、先ほどの美学のところで述べたのと同様に、務川さんの形の愛だと思うのよね。若者の真摯に突き止めた眼差しというのか。甘い愛だけじゃない、僕はこう行くのだ、という強い意思、非常に男っぽい骨太なシューマンだと感じましたね。もちろん観客のハートにズキュンですよ。スタンディングオベーション!

5.EC ラヴェル:組曲「鏡」より「道化師の朝の歌」


務川さんの初日のアンコール。この曲は3月にサンティアゴとのコンサートでソロ曲で弾いておられた。ダイナミックな演奏と細かな表現がもう上手いいい〜と箱に入れておきたいくらい。同じグリッサンドでもキラキラ美しい妖精とは違い、かっこ良く魔術的な感じがしますね。素敵でした。

というわけで第1日目終了! 盛大な拍手とスタンディングオベーションに送られて、オーケストラメンバーが退場して行く。
最後に反田さんと務川さんがもう一度顔を出してくださったのも本当嬉しい。

✳️読んでくださりありがとうございます。
色々考えて今も迷い中ではあるんですが、一応今回からアカウント名をツィッター と合わせることにしました。あまりにも長文を晒すのが恥ずかしすぎたためだったんですが、目に留めていただけると嬉しいし、既に読んでいただいている方もあり決めました。
もしよろしければ、今後も読んでいただけると幸いです。よろしくお願いします。




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