レピスについて
はじめまして。レピスを主催しています大久保たえと申します。
「レピス」はフランス語で「スパイス」の意の単語、L’epiceから由来した店名をつけて、2013年に神戸市灘区の阪急六甲の近くの古い家屋の店舗の一階でスタートしました。
レピスを始めたときは29歳。それまで様々な食の仕事を転々としてきて、
ただただ「お菓子や料理に携わる仕事がしたい」という想いだけで猛突進してきました 。
お店を開くまでのストーリーを少しだけ・・
長崎の小さな町で育ったのですが、
小学生の頃からお菓子作りや料理が好きで、学校から帰ってきてはあれやこれやと実験をするのが楽しくて、
ただその分塩と砂糖を間違えたり(!)、台所を粉だらけにしたりと、母曰く大変だったそうです・・(苦笑)
実家が地元に古くからある温泉を経営する商売をしていたせいもあってか、日々お客さん、従業員さんなどいろいろな人たちが出入りしていました。時には忙しい仕事の合間をぬって母が庭に生えたつくしを採って天ぷらにしてくれたり、とても食べることや作ることが好きな子供時代でした。
高校時代にカナダのバンクーバーに1カ月ホームステイしたことがきっかけで、初めて「食があわない」という体験からあらためて料理に興味を持ち、(自分の食べるものは自分で作らなければいけない)
進学後は漠然と料理かお菓子の仕事をしたいな、と思いながら、語学も好きで外国語系の短大に進学し、
そこで世界を回る船旅に参加します。
世界中あちこちの文化を体験しながらも、どの国でもとにかく市場やレストランをめぐり、どの国でも食の豊かさに開眼します。
エジプトの鳩料理、キプロス島での魚料理の豪快さ、ベトナムの人の素朴なちまきのような朝ご飯、ポルトガルの長崎のカステラの原型になったお菓子・・。
3カ月たって日本に戻ってきたときには、「食の仕事をしたい、でも生産者のことを考えた素材を使いたい」と思うようになり、
その当時関西では少なかったオーガニックフレンチレストランのお店に見習で飛び込み、そのあとは愛知万博のオーガニックカフェの立ち上げ、
仲居さんの住み込みのバイトなどしながら、資金をためます。
現場を経験していく中で、今度は小さい時から好きだったお菓子の文化の発祥の地であるフランスの生活を体験したいという想いが生まれ、単身パリに渡り、半年間滞在します。22歳の時でした。
フランスパリで体験したのは、マルシェの豊かさやハーブやフルーツの使い方、また日本でもそうでしたが、レストランでの厳しい世界、
現地で生きる日本人女性のたくましさ、年上の友人たちとの出会いなどなどいろいろとありますが、
正直、初めて飛び込んだレストランで体調を崩して以来、厳しい料理の世界にうまく飛び込めず、悶々とした日々を送ってもいました。
その後神戸でパティスリーカフェを立ち上げる知人に誘われて、料理家の田中愛子先生と出会います。
料理研究家コースを開いていた先生のもとでレッスンを受けるうちに、今までレストランの世界しか知らなかった、自分の料理の世界とのかかわり方に興味をもち、その先生の「あなたはハーブで行きなさい」との言葉から、
小さく友人などからハーブクッキング講座やデザートの卸をはじめていきます。
先生を通して出会った「ハーブクッキング」の世界に魅せられて、自分の海外に少しですが滞在した経験と重ね合わせて色々と研究や活動をしていくうちに、2013年にカフェの居抜き物件で、インドの職人さんとテキスタイル製品を作る友人と六甲にお店を開くことになります。
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世の中には見渡せばたくさんの食の仕事のプロがいますし、決まった師匠のもとやレストランで何年も修行してというわけではないので、
正直なところ最初は見切り発車、試行錯誤の連続でしたが、
地元六甲のお客さんの声を聞くうちに、色々とランチやケータリングなども始め、
また神戸で始まった東遊園地で毎週土曜の午前中に農家さんが直接販売する「EAT LOCAL KOBE」の活動なども後押しして、徐々に神戸の生産者さんとのつながりもできていきます。
ハーブのテーマや、インドにつながりのある友人と協力してのスパイスワークショップなどもおかげで好評を頂き、
台湾でワークショップなども行うことができました。
5年ほどカフェを運営するのにとにかく必死でしたが、2018年EAT LOCAL KOBEの実店舗の立ち上げの手伝いに声をかけてもらったために、しばらく六甲のお店は一旦しめ、少し自分自身や家族との関わり方も見直しながら、
この2020年春から新しいアトリエ兼お店でまた新しい「アトリエ・レピス」が始まったところです。
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レピスのロゴマークは家の屋根のかたちに葉っぱをあしらったものです。
食のことを思い浮かべるときに、必ず私の頭に浮かぶのが「家」というシンボル。
食卓を囲む姿を想像するときの温かいきもち。
顔の見える人が生産者さんであったり、作り手であるものを食べるときの充実感。
料理教室でレシピをお伝えした料理を「家族が食べてくれました」という声を聞くときの喜び。
自分自身の料理は、レストランで食べるようなばっちりと”毎回同じ味”ではもしかしたらないかもしれませんが、
家の食卓で並ぶ料理のように、季節の素材の声や食べる人の気持ち、体調に寄り添った料理を作っていけたらと、より願う今日この頃です。
新しいアトリエには、大きな木のテーブルを真ん中に据えました。
同じテーブルを囲むスタイルで、
お店だけど、まるで家のテーブルのように過ごしてもらえたら。
知っている料理だけど、ほんの少しハーブやスパイスの効いた「よく知っているけどどこか異国の味」のする料理を囲んでもらえたら。
教室では、私が先生・・というよりも、集まっていただく皆さんの温かい空気間で、いつも和やかです。
ぜひ、テーブルを囲みにいつかいらしてくださいね。
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。
2020年4月 レピス 大久保 たえ
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