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肉ふじの思い出
また思い出が…
先日の津田英語塾閉塾に続き、豊中ネタでまた衝撃のニュースが舞い込んだ。前に住んでいたころによく見ていた豊中の情報サイト「tnn豊中報道」さんによると、庄内の名店「肉ふじ」が1月末に閉店するというのだ。
肉ふじと言えば、あつあつのコロッケが超有名で、テレビで芸能人のおみやとして何度も取り上げられてきた。僕自身も祖父が豊南市場で店をしていた時に、学生の頃は年末は忙しくて人手が足りず、よく手伝いに行った。その時に店番をしている伯母から、休憩中にコロッケを差し入れてもらったものだ。独特のラードでこってり揚げられたコロッケ。濃厚でほくほくで、それはそれは美味。しかし、美味だからと言って二個も三個も調子に乗って食べると、たちどころに胃もたれしてしまうヘビーソウルフードなのだ。だから、小さいころとかは、母の市場での買い物についていった帰りに、自転車の後ろに乗せられながら、一個を大切そうにはふはふ言いながら食べていたのである。そういえば、最後に食べたのはいつだったろうね。
サルーンフジ
肉ふじと言えば、思い出すのは2階にあったレストラン「サルーンフジ」だ。いとこたちとの間ではこっちは「フジ肉」といっていた。まさに下町レストランの王道。行けるのは年に2回くらい。確実に行くのは、いつも正月三日に中山寺、清荒神、門戸厄神をお参りする三社参りというのをいとこ家族と言っていたのだが、その帰りは必ず庄内で降りて肉フジに行くのだ。
メニューは当然、ヘレ肉ステーキと決めていた。ステーキと名の付くものを堂々と堪能できるハレの日なのであった。いとこはちょっと安い焼肉定食を頼んでいた。それはそれで美味しいのだが、焼き肉のたれギトギトでちりちりの肉の味がもはやわからん状態。対して、ヘレ肉ステーキは確か分厚い肉の周りにベーコンが巻いてあったか。昔ながらのコーンポタージュスープとサラダ、キュウリが嫌いなのにこのときばかりは食べる。そして肉とご飯をいただくのです。至福。まさにその一言がふさわしい時間。
あの、フジ肉の自動ドアのシュイ―ンって開く独特の音。急な階段。行ったことがない3階。すべてが懐かしい。でも、庄内から足が遠ざかっている間にいつの間にか上のレストランは閉店してしまっていた。窓際の席から見えたごちゃごちゃした市場の雑踏。ああいう対面販売っていう昔ながらの店はもう時代遅れなんだろうな。豊南市場が撤退して、ドラッグストアに代わっても、下の肉ふじは頑張っていたのに、やっぱり人の流れがないと厳しいのかな。手伝っていた12月30日とかはほんとにもう、歩けないくらいぎっしり買い物客でにぎわって、それでも昔の昭和のころに比べたら人は半分くらいやって伯父とかが言ってて。地元のばあさんとかが手押し車でゆっくり買い物来て、こちらもいろんな商品「いらっしゃいいらっしゃい、安いよ」って恥ずかしがりながら声を上げて。そういう場所がまた消えていくんだなと思うと、やっぱりさみしい。