(九十九)梅を題材にして小唄「鷓鴣天」を作る
詩歌の分野では、梅は最も陳腐なテーマの一つである。何故なら、梅を題材にした詩詞はあり過ぎるからである。このため、どの様に描いても古人の真似になってしまいがちだ。
梅を詠んだ有名な詩詞をいくつか紹介しておく。まずは、梅を詠んだ詩で、「千古の絶調」と定評のある、有名な「暗香浮動月黄昏」の詩から紹介しよう。北宋銭塘(現浙江省杭州市)の人、林逋が詠んだ「山園小梅」を次に掲載する。
山園小梅
衆芳揺落獨嬋妍,占盡風情向小園。
疎影横斜水清淺,暗香浮動月黄昏。
霜禽欲下先偸眼,粉蝶如知合断魂。
幸有微吟可相狎,不須檀板共金樽。
この詩の情景から説明しよう。時は仲春の暮れ方で、場所は杭州西湖の北部に浮かぶに孤山島である。彼が詠んだ対象は、枝が疎らな若い梅の木で、その梅の木の近くを川が流れている。梅の花の色は、白鶴が舞い降りる事を考えると紅梅と解釈するのが妥当かもしれない。
「嬋妍」とあるので、梅を擬人化している。「可相狎」とあることから、梅を妻に擬えていると思われる。「妻」のいる場所を
その香りの来る方向から想像したのではないか。
陸游は梅を詠んだ詩詞が非常に多い。その中でも、卜算子(驛外断橋邊)の歌が最も知られている。
卜算子(詠梅)
驛外断橋邊,寂寞開無主。
已是黄昏獨自愁,更著風和雨。
無意苦爭春,一任群芳妬。
零落成泥碾作塵,只有香如故。
革命家で詞人の毛沢東も卜算子の曲を用いて梅を詠んでいる。陸游の卜算子を意識して作っている。
卜算子(詠梅)
風雨送春歸,飛雪迎春到。
已是懸崖百丈冰,猶有花枝俏。
俏也不爭春,只把春來報。
待到山花爛漫時,她在叢中笑。
当方も、「梅を詠む」というありふれた題で鷓鴣天を作ってみた。
鷓鴣天(詠梅)
看着紅梅念從前,枝頭蓓蕾未開顏。
含苞不語應心月,默默心心許個願。
春夕照,彩霞間,無聲風裡感無限。
微香已有新春意,祈望梅紅永美圓。