代表の笹倉栄人が語る「今後のヘルスケア業界における起業のポイント」~前編~
「組織とITによって医療健康の社会課題を解決していきたい。」
この想いを持って、代表の笹倉さんはHIPs株式会社とALTURA X株式会社を創業した。
これらのスタートアップ企業は、医療が外部と切断されているという課題に対してデータ交換のプラットフォームを提供している。結果として、医療機関や個人間でのシームレスなデータ連携を実現する他、業務時間やコストの削減にも成功している。現在、このサービスは51施設の大型健診センターで順次導入されており、今後は、大型健診センター全体の約10%へのシェアと320万人のユーザー達成を目標にしている。
元々はフリーランスのコンディショニングトレーナーとして海外16カ国で活躍していた笹倉さんが、医療健康業界に変革を与えるビジネスマンへと変貌したことは驚きだ。創業から事業拡大に至るまで、ビジネスマンとしてどのような道を歩んできたのか非常に興味深い。この記事は、2024年1月20日に行われた大阪公立大学ヘルステックスタートアップスデモデイにおいて、登壇者の笹倉さんが語った「起業家としての失敗経験談」を記す。
起業家の至上命題であるPMFとは?
講義中、笹倉さんはPMFという言葉を連発した。初めて聞く言葉に戸惑ったが、PMF (Product Market Fit) とは、事業が最終的に伸び上がるタイミングのことであると知った。PMFを成し遂げることで、商品やサービスが市場に適切に受け入れられるようになるため、PMFの達成は起業家にとって最大の課題であるという。
<PMF達成までの3つのフェーズ>
1. 魔の川とも呼ばれる「研究開発」のフェーズ。
技術を世の中の課題や市場ニーズと結びつけ、仮説検証を行う。
2. 死の谷とも呼ばれる「製品化」のフェーズ。
アライアンスを組み、経営資源の調達・配置や開発投資を行う。
3. ダーヴィンの海とも呼ばれる「事業化」のフェーズ。
競争優位性を築き、グロースの準備を完了させることで、PMFを達成する。
起業家は、これら3つのフェーズを超えて初めて事業開発に成功し、「産業化」に辿り着くことができる。全体の約3%の企業しか「産業化」に成功していないことを考えると、PMF達成がいかに難しい課題なのかを想像することができた。今後のヘルスケア業界を先導する笹倉さんもまた、死の谷を幾度も経験し、産業化を目指すチャレンジャーの一人である。彼は創業時にどのような失敗をし、成長してきたのか。3つの失敗から得た学びを話す。
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